本当に最悪の月曜日だ。9連休なんてあっという間に終わってしまって、また長時間の、○○○で、×××な(自主規制)労働が始まった。休みの時は時計が速く進んで、仕事の時は遅くなる。誰かが絶対時計の針と、地球の自転と公転をスローにしているんだ。スーパーマンが地球を逆に回して時を遡らせた様に、誰かが誰かの苦しむ姿を見るために、こんないたずらをしているんだ。おまけに通勤途中に氷雨まで降ってきた。なんなんだ。腹が立つぞ。しまいには仕事の最中に携帯が鳴る始末。今何時だと思ってるんだよ!TPOを弁えろよ!
イライラしながら携帯を見た。公衆電話からだった。テレビドラマなら誘拐犯からの電話なんだろうけれど、現実に、こんな時間に、公衆電話から私の携帯にかけてくる人間はひとりしかいない。
「おまえかい?」
「…、うん」
「どうしたん?」
「あのな、先生に入院の話ししたらな、そうですね、今月中の退院を考えていますっていうてくれてん、それで電話しようおもうてん」
「そっかぁ…。よかったな」
「今週末の外泊も2泊出来るねんて、それであと何回か外泊したら退院ですよって」
「よかったな…」
「今仕事中?」
「そうや」
「うん、ごめんな、でも電話しようおもて…」
「気にせんでいいよ、電話してくれてありがとうな。うれしいな、長かったもんな」
「うん、うれしいよ」
「ホンマやな…」
「そやな」
そこから先は、あんまり覚えていない。向かいに上司である社長の奥さんがいるのに、私用電話をしながら、涙をボロボロと流している自分。ようやっと何か胸に突っかかっていたものがとれたような、安堵感からくる涙が、電話を切っても止まらない、しばらく経っても止まらない、まあ、何と情けない様子だったろう。でもそんな事はどうでもよかった。
一日の価値は平等で、いい日も悪い日も無い。時間はどんな時でも一秒間に一秒しか進まない。雨は自然現象で、冬の雨が冷たいのは当たり前だ。ついでに仕事に貴賎はない。
それから、どんなに辛い時だって、頑張ればそれなりになるものだ。さあ、退院の日はどうして祝ってやろうか。
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