後半38分 栗山 裕貴(鳥栖)
後半40分、青山は足をつってしまい、プレー続行が不可能な状態だった。ピッチ脇には藤本が準備万端待っている。プレーが切れれば交代、誰しもが思ったはずだ。だが乾はあまりにも何気なくスローインを行い、結果鳥栖の逆襲を食らう破目になった。チーム状態が良くない時というのはこういうものなのだろうか。これを辛抱せよというのはサポーターにとって酷だ。事実ロスタイム、1点差だというのに一部の観客は家路についてしまった。あの観る者の心躍るサッカーが復活するのは何時になるのだろう。
スタメンが試合ごとに酷い事になっているように感じるのは気のせいか。ベストメンバーと比べると前田、江添、尾亦、アレー、ジェルマーノ、古橋がいない。
それでも新戦力達はよくやった。青山は本職のボランチとして、上がり目にポジションをとった濱田をよくカバーしていたし、乾は噂に違わぬ「セクシー」なプレーをしてくれた。真ん中に偏りがちになる攻撃陣にあってサイドを意識したドリブルを多用、前半から魅せてくれた。濱田も古巣との対戦とあってよく動き、ゴールまでもう一歩というシーンを演出している。
ただしそれらはあくまでこの台所事情の中では、という注釈がつく。やはりベストメンバーの際のポテンシャルと比べると一段見劣りがする。
特に顕著なのは最終ラインと前線での動きだ。
小松と森島康のツートップ、決して悪くは無い。ただギリギリのところで上手くハーモニーを奏でられない。それを止むを得ないこととして徹底してクロスを放り込むならそれもアリと思えるが、どうしても中央突破にこだわる(若しくは相手にそこに誘い込まれている)攻撃にあってはこの不協和音は足かせだった。
最終ラインでは山下と柳沢がひたすら狙われた。柳沢は上がった後ろのスペースを必ず使われる。ただだからといって柳沢にオーバーラップを自重させるのは自殺行為になるから、仕方が無いといえばそうなるのだけれど。
山下は判断のスピードに厳しいところがある。ゆとりを持ってプレー出来る時は確実に相手に競り勝つ。しかしギリギリの判断、マークの受け渡しなどではボロが出てしまう。タテへのパスが必要な際にはプレスをかけられしどろもどろになる事もしばしば。そういう時には前の選手がボールを受ける動きをしなくてはいけないから100%山下の責任ではないけれど、今日ももどかしい場面が沢山あった。
数少ない収穫は、後半白谷を入れ、前線にスピードとクイックネスを兼ね備えた選手を並べた際にチームとしていい動きが出来たこと。
何年もセレッソを観ているけれど、セレッソのユニフォームを着た、小柄で、屈強な選手達が相手ゴール前まで群れを成して駆け込む姿はいつ観てもいい。特に後半になり、両者の陣形が間延びしてきた際は効果的だ。白谷はこの日一番ゴールに近づいたヘディングシュートを放っている。
ここまで書いてくると、やはり後半40分の乾のスローインはあまりに勿体無いプレーだと言わざるを得ない。仮に引き分けだったとしても互いの順位は変わらない。勝ち点1を分け合うのと相手に3を献上してしまうのとでは点と地ほどの差がある。ワンプレーでその一年頑張ったこと全てがご破算になるサッカーというスポーツの恐ろしさを、サポーターは痛いほど思い知らされてきた。だから、この流れからの失点は看過できない。
過ぎ去った試合を顧みても悲しいものがあるが、水曜には2位山形との直接対決が迫ってきた。そして守備陣の中にあって孤軍奮闘してくれた羽田がこの試合に出られない。どれ程の苦境を乗り越えれば、勝利の女神はセレッソに微笑んでくれるのだろう。
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