前半14分 ジェルマーノ(C大阪)
前半19分 柳楽 智和(福岡)
後半31分 オウンゴ-ル(C大阪)
湘南戦にあわせてテンションを上げていたのは誰が見ても明らかで、今日の一戦はどれだけそのテンションを維持できるかと注視していたが、やはり調子は下降線、チームとしてのポテンシャルが大幅に下がっていた。また福岡がセレッソ対策を講じていた為に試合は混戦模様を呈していた。それを勝利に導いたのは、春から取り組んでいたシステムの併用策と、怪我から復帰した古橋の個の力だった。
スタメンは不動のメンバー。アンカーの位置に羽田が復帰し、トリプルボランチの並びが元に戻った。
ただしこの試合に関してはこのシステムが通用しなかった。香川、小松という中心線には必ずマンマーク、時には二人以上のブロックが入った。特に小松はこの徹底マークに苦しんでいた。
その点でいくと香川はマークを従えるのも慣れたものという雰囲気。ドリブルでスペースを突き相手DFを混乱させる。一瞬の隙を突いてボックスまで進入すると相手はたまらずファウル、PKを獲得した。これをジェルマーノがぎこちないモーションながらもキッチリと決め、幸先の良い出足と期待させた。
しかし勝負事はそう簡単に行くものではない。1点ビハインドを負っても福岡の出足は早く、セレッソのパス回しの制度の悪さも手伝って危ない位置でのボールロストやケアレスなプレーを生み出していった。失点自体はセットプレーからの混戦を決められた形だが、そこに至るプロセスはこうした小さなミスやそれを誘発させた福岡の意地が作り出したものだ。かつて知ったる布部、久藤らもセレッソ封じに東奔西走していた。特に久藤には一度いい形でサイドをえぐられている。
スコア上はタイであるものの、流れは福岡が握ったまま前半が終わった。後半レヴィークルピがどのような修正策を練ってくるのかと思っていたが、選択はより攻撃的にプレーし、相手をゴール前まで押し込む強気の作戦。守備で機能していた羽田を外し、古橋をトップに据えた。4-3-2-1から4-2-2-2へシフト。
ベースとなるシステムは一つで、他のシステムはあくまでオプションというチームは多いが、セレッソは3トップでも2トップでも同じクオリティでプレーが出来る。そして古橋は個として捉えても危険な選手。この二つの要因がプレーエリアを徐々に福岡ゴール前に押し上げていった。後半早々流れの中から古橋が飛び出し好機を演出。
また古橋が入ったことでセットプレーに俄然迫力が増した。江添には得点となったシーンの前にもドンピシャというボールが来ている。香川も良いキッカーだがキレ、スピード、正確性はまだ古橋に一日の長があるようだ。
そう、得点シーンだ。江添の幻のJ初ゴール。あのシーンだけ見れば単なるキーパーのファンブルだったが、それ以前にもセットプレーからさんざっぱらチャンスが生まれていたのだ。前半から飛ばしていた福岡の頭と足が止まり始めた後半半ば頃から、それはより得点の匂いのするものになっていた。あの得点は偶然に見える必然なのだ。
こうしてセレッソは再びアドバンテージを得られた。そこにきて福岡のハーフナー・マイク投入。細かく繋いでサイドを丹念に突くクリエイティブな攻撃を放棄し、ロングボールを長身の大久保、ハーフナーに当てるだけのシンプルな攻めに切り替えてしまった。正直に言うならばこの選択はセレッソを随分と楽にさせるものだった。長いタテのボールに対処し、スペースがたっぷり生まれているボランチのラインに競り落とせばいいのだから。
かくて、勝負あり。セレッソは第1クール最終戦を何とか勝利で飾り、自動昇格権である2位で終えることが出来た。4-3-2-1が機能し始め、小松が絶好調になった後半6試合のスパートが効いた格好だが、勿論楽観視は出来ない。これからは香川が代表で抜けるというシーンが生まれてくる(それは夢のような栄誉なのだけれど)香川という絶対の存在が抜けた時、チーム力をどこまで維持できるか、それが今後のカギとなる。
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