8/26/2017

2017明治安田生命J1リーグ 第23節 磐田 1vs1 C大阪 #cerezo #photo #diary

鹿島戦の日に、磐田戦の話をするかね……。まあ、許してくれ。


磐田市の西部には今之浦川という川がある。その支流は小さいものだが、河岸段丘を形成し、川の西岸はダラダラと坂が続く住宅街になっている。東岸にはイオンタウンとセブンイレブンが一件、スイーツショップと藪、残りは軒並みヤマハの関連施設。ヤマハスタジアムはヤマハの体育館やら本館やらが立ち並ぶ土地の隅に、そっと申し訳ない様子で佇んでいる。



8月19日の磐田市はうだるような暑さだった。大阪よりは湿気が少なく過ごしやすいが、その分直射日光は鋭く、肌に刺さるように紫外線を運んでくる。夜になれば日は落ちるが、昼間にタップリ陽の光を吸い込んだ大地が、その熱を吐き出し続ける。河岸段丘のその底の、熱気と湿度のたまるスタジアムに、魔法使いが待っていた。

スターティングラインナップ


GK、キム・ジンヒョン。DF、右から松田陸、マテイ・ヨニッチ、山下達也、丸橋祐介。MF、ソウザと山口蛍、二列目右には水沼宏太、左に柿谷曜一朗。FW、杉本健勇とリカルド・サントス。

リザーブ、丹野研太、田中裕介、木本恭生、関口訓充、福満隆貴、秋山大地、澤上竜二。

魔法使い対ゴール前の騎士


磐田のシステムは3-4-2-1、だが中村俊輔は一人だけシステムに縛られず、動き回る自由が与えられていた。彼が自由に位置取りし、ロングフィードを左から右に、右から左にと送り続ける。セレッソの右サイドには俊足で小回りの利くアダイウトンがいる。彼に引きずられて右にシフトすれば真ん中を川辺駿に割られる。


セレッソは選手の距離を密にし、堅いブロックを作ることを是としているので、長いボールに振り回されるとどうにも苦しい。それでも、清水戦から一週間以上インターバルがあり、この日に照準を合わせてきたセレッソには体力があり、なんとか耐え忍んでいた。


セレッソの攻撃もサイドから。左の丸橋、柿谷、右の水沼は攻撃の橋頭堡を築き、そこから中央の杉本、サントスへとボールを送る。サントスのスピードは脅威ではないが、強靭な体躯でボックスに入られると、磐田の守備も人を割かざるを得ない。


その中でも、特に右サイドの水沼は体力とスピードがあり、正確なクロスを上げる技術があった。そして中には今、国内で最も決定力のあるストライカーが待っている。日本代表に選ばれた杉本が。前半37分、水沼、右サイドを突破。そのクロスに杉本の足が届けば、カミンスキーは対応できない。先制。


削られる心身


それでも不安は残る。後半戦になれば、体力が落ち、選手間のスペースは広がっていく。心のスタミナも削れるものだから、判断も鈍く一歩目が遅れる。

磐田の狙いも、清水の狙いも同じだ。長いボールで逆サイド、また逆サイドとセレッソのブロックを左右に振り回す。ボールを持って自発的に走るのと、相手に合わせて動かされるのとでは疲労がまるで違うのだ。だから、スペースが広がるスピードも、判断が落ちるスピードも急激だ。


ユン・ジョンファン監督も無策ではなく、後半14分の時点でリカルド・サントスを下げて木本を入れ、5-4-1のシステムに切り替えた、いつもより10分は早い。杉本も体力が残っているから下りてボールを受け、柿谷や水沼に託すプレーができていた。相手が攻め、セレッソが受ける。清水戦と流れは同じだが、清水戦よりはずっといい動きができていた。

最後の魔法に屈す


終盤の同点に追いつかれたゴールは、流れからではなくセットプレー(コーナーキック)からの流れだった。クロスを入れたのは中村で、決めたのはストライカーの川又堅碁。アシストのスペシャリストとゴールのスペシャリストがピタリと合わせたのだから、どうしようもないという言い方もできる。少なくとも、無策のまま敗れたアウェイダービーや、流れに飲まれた清水戦よりは良化している(無論、インターバルが長く、スタミナが落ちる流れが緩やかだった点も考慮しないといけないが)


だが、「割とマシ」なんて状態では鹿島には勝てない。春先のような俊敏なプレッシングと勤勉さに加えて、ここ数試合続いている「ブロックの外に人を余らせ、そこにボールを当てることでセレッソを振り回す」というセレッソ攻略のベースを崩す必要がある。

この一戦が、セレッソの今後を決める。さあ、ならばやろうじゃないか!!


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