10/31/2007

ぼくらの歩いている街。

自分が日頃踏んづけている街のことについて、以外に知らなかったり、日常起こっている非日常を当たり前として、その特殊性に気付かなかったりすることがある。

例えば徳島戦の時、私は猪飼野コリアタウンにいた。近所なので、散歩程度の意識しかない。最近買ったばかりのシグマ18-50 f2.8をつけっぱなしにして、やたらでかいカボチャだのとんでもない量のホルモンを焼いているおっちゃんだの目が痛くなりそうな真っ赤な唐辛子だのを撮っていた。それは私にとっての日常で、それが他の人から見てどうなのかなんて、意識したこともなかった。今では日本語とハングルと中文がちゃんぽんになっている看板を見ても、別にどうとも思わない。

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しかしこの街の日常は、世界なんて物差しで見ても、やはり少し変なようだ。コリアタウンの真ん中、班家食工房の2階で開かれている石川郁子さんの写真展「通い続けた町で…」を拝見し、ご本人と話をする機会があったのだけれど、コソボなどの戦地を回り、沖縄の風俗を丹念に撮り続けた方であっても、鶴橋、桃谷辺りは「五感をフル稼働させないと歩けない」らしい。

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鶴橋駅の南東辺りはさすがに私でも迷う時があるけれど、他の場所に関しては普通に暮らしている分にはとりたてて違和感は感じない。土着していると自分自身もその街の一部になってしまうから、身近すぎるのもいけないのかもしれない。一歩ひいた目線で、アウトサイダーとして撮影された石川さんの写真を観て、ふとそんなことを考えてしまった。

石川さんは私との話の最後に、様々な文化や民族、階級を取り込み、受け入れていく大阪のエネルギーについて語ってくださった。住み着いている人間には判らないが、まだこの街にも余力は残っているらしい。


おしらせ

このエントリでご紹介した石川郁子さんの写真展「通い続けた町で…」は11/18まで、コリアタウン、班家食工房2Fにあるギャラリー渡来にて催されています。会場時間は9:00~18:00(最終日は16:00まで)コリアタウンにお越しの際は是非ご来場下さい。

10/29/2007

全然時期ハズレな山形戦前後のお話。

いやね、山形戦の前に思ったんですよ。最近写真撮る枚数減ってるなと。

私が持っているニコンのD200D300が発売決定するまで、ニコンのアマチュア向け機種ではトップクラスの性能を誇っていたカメラです。シャッターを押すだけで毎秒5コマまで連写可能。2Gのメモリを積んでいて、jpegで撮っても、40秒も連写していればメモリが一杯になります。しかしいかんせんゴツイのでなかなか気軽に撮る機会が無く、これという絵が撮れていなかったんですよ。

というわけで試合の前後にはスタの素材集めをしていました。負けていたらエライことだったんですが、まあ勝てたことだし…。

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試合後にはこの方の言うとおり、Four Season's Burgさんところでお食事。ハンバーグ専門店というとお子様っぽい感じですが、長居には不釣合いなくらい大人の雰囲気を醸し出していました。

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注文したのは牛肉100%のハンバーグ300gきのことベーコンのホイル焼き添え。

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牛肉100%って意外とサッパリしているんですよ。少し荒く挽いた肉の中にはさいの目の生肉がゴロゴロ入っていて食感も楽しい。お酒を飲まなければ1500円程度の予算で腹いっぱいゴハンが食べられるいいお店を見つけました。お店の紹介は近々にこちらでいたしますのでしばしお待ちを。

こうして勝って、メシを食って、笑って過ごせるのはサポ最高の時間ですね。あと四つ、この調子です。

徳島0VS2C大阪 勝てばいい。

友人たちが淡路島を南下し、鳴門へ向けて歩を進めている頃、私は近所の駄菓子屋で冷やしあめを飲んでいた。

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諸所の事情で家でのテレビ観戦だったわけだが、ブラウン管を2時間眺めるだけでこれだけ体力を消耗するものだろうか。クタクタになった試合だった。


原因は慣れない4-3-3の布陣を敷き「よそ行きサッカー」をしてしまったため。

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この並びだと攻撃陣の持ち味が生きてこない。動いて受けるプレーヤーのはずの古橋、香川、柿谷が、揃ってゴールに背を向ける、はたまたサイドに張り出して止まって受ける。これでは攻撃にリズムが生まれない。

攻撃時に不用意にボールをロストするので、守備も不安定だった。この試合まで5試合連続無得点の徳島が拙攻を繰り返していたので助かっていた場面も多々あったが、もし上位チームとの対戦であったなら失点は避けられなかったろう。


確かに「負けられない」という重圧はあった。香川や古橋、ジェルマーノといった面々が(不慣れなポジションとはいえ)納得のいかないプレーを続けていた理由の一つは間違いなくそれだ。ただし試合への入り方、指示によって回避できた要素もあった。今は新しいことを試みる時季ではないだろう。


前半を不甲斐ない内容で終えたセレッソは、後半頭からアンカー役だった藤本を下げ酒本を右サイドに投入、香川を一列下げて、プレーし慣れた4-4-2に戻す。

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これでようやっと普段のセレッソに戻り、各自いつものプレーをすれば良くなったのだが、それでも流れが悪いのは相変わらずだった。古橋、柿谷と小柄なFWしかいないのに、相手のプレスに押されてロングボールを多用するなど、ちぐはぐなプレーが続いた。


この試合セレッソが唯一素晴らしかったのは、そんな流れの中からでも得点し、失点を抑え、勝ち点3を奪えたこと、それに尽きる。流れの中から得点できないならセットプレーで、ジェルマーノの今季2点目は値千金のヘディングゴール。

その直後に2枚目のカード。FWでも孤立気味だった柿谷から長身の小松へスイッチ。

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攻撃では貢献できなかったが、終盤押し込まれた時間帯、自陣ゴール前で高さを発揮した。


結局ロスタイムに「気分屋」ゼ・カルロスが驚異的なゴールをあげ、2-0での勝利。今のコンディションを考えれば最良の結果かもしれない。京都が破れ、仙台が1-0の勝利だった為、勝ち点、得失点差で僅かに差を縮めたセレッソ。残り4戦、ミッションはまだ始まったばかりだ。

10/25/2007

C大阪3VS0山形 帰ってきた皇帝。

10代の少年が1人入っただけで、こうもチームは変わるのかという驚きがあった。このチームが組織的に機能する為には、香川という存在は欠かせないのだと改めて思い知らされた。

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前節の4-3-3から4-4-2にシステムを戻し、ほぼベストメンバー。注目は右サイドに入った柿谷と、出場停止開けの香川、2人の10代。

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可能性に満ちた選手起用だったが、残念ながら柿谷は結果を残せなかった。前節でも見られたが、自分のポジションを意識しすぎてしまい、持ち味の自由闊達さが欠けてしまっている。何度かいい動きをしているシーンがあったものの、決定的な仕事は出来なかった。


それでも試合の流れ自体はセレッソペースだった。やはり香川の復帰は大きい。カルロスが上がったスペースを埋め、ボランチと共にボール奪取に奔走し、フリーでボールをもらい、決定的なパスを送り、自らも相手守備陣を切り崩していく。全盛期の森島に勝るとも劣らないほどの運動量で、チームに貢献している。

もう1人、チームの大黒柱である古橋も好調を維持している。やはりゴール前での嗅覚は凄まじい。先制点となったループシュートも、山形ディフェンスラインの僅かな隙間をかいくぐりながらのもの。


問題があったとすれば守備だろうか。クルピ体制になってから両サイドバックは攻撃的にプレーするようになったが、山形攻撃陣は徹底してその裏のスペースを突いてきた。特に左サイドでは何度も起点を作られ、苦戦した。FWに決定力があったなら試合自体がどうなっていたか判らない。前半も半ばを過ぎるとさすがに香川、ジェルマーノがフォローに入ったり、柳沢がオーバーラップを自重して全体のバランスをとるようになったが、それでも左サイドがアキレス腱であることに変わりは無かった。1-0で折り返せたのは、ある意味幸運だった。


後半に入ると、クルピは思い切った策に出る。リードしている場面で一度に2人、選手を交代させたのだ。プレーにやや軽さの目立っていた小松と、慣れないポジションで四苦八苦していた柿谷を下げ、森島康、酒本を投入する。

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するといきなり思いがけないシーンが生まれる。山形が切り札として投入した財前が、セレッソの選手(テレビで確認、酒本)を後ろから引っ張り一発退場になったのだ。これで山形のゲームプランは大きく狂ってしまった。

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こうなると俄然勢いが出てくるセレッソ。2点目は香川の積極的なドリブルから生まれた。ペナルティエリア深くまで進攻するとニアにラストパス。これにまたも古橋が反応し、ヘッドで押し込む。試合終盤に貴重な追加点

その直後にもラインの裏に抜け出した酒本が、相手GKまでかわしてゴール、試合の流れを決定付けた。

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試合終了間際にはカードが溜まっている前田を下げる余裕の采配。終わってみれば圧勝だった。

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しかし一つ一つのプレーを精査すると、まだまだという箇所がいくつも見られる。特に守備に関してはもう少し練磨の必要性があるだろう。あと5戦を戦い抜くためには、勝利の中からでも問題点を見つけ、改善していく精神が必要だ。

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10/23/2007

あいにくオレはものわかりがわりー方。

ってKICKの歌詞書いてもわからんね(汗。

以前にも書いたけれど、私は諦めの悪い性質だ。よく言うと粘り強い、悪く言うと未練がましい。まあ、とにかく好きなことなら人に「もう止めておけば?」と言われても、最後の最後まで続ける。


これが自分の人生なら大変だ。とにかく何かしら結果が出るまで、何ヶ月でも何年でも続けなきゃいけない。「最後」っていうのは「人生の最後」だから、とにかく止められない。


でも今のセレッソなら話が早い。残り6戦、自分が出来る最大限の応援をすればいいのだから。どんなにしつこい性質でも、12/1の東京V戦のタイムアップの笛の時点で結果が出て、どうなるかが決まる。

それなら、6試合くらいなら、全力で行ってみないかい?ホームに限るなら10/24の山形戦、11/11の福岡戦、12/1の東京V戦、たった3戦だ。それくらいなら三十路のオヤジでも頑張れるよ。今まで42試合も頑張って来たのなら、ここで諦める手は無いだろう?


諦めたら、足を止めたら、そこが自分の死ぬ場所、負けた場所になる。それは癪だから、私は最後まで歩くよ。一緒に来てくれるなら、心強いな。

10/22/2007

仙台2VS1C大阪 再起動せよ。

日頃していないことをする。そうすると、日頃出来ていることでも出来なくなる。今日のセレッソはそんな感じだった。何もかもがちぐはぐだった。

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この試合、セレッソはメンバー、布陣を大きく変えてきた。香川の出場停止から逆算した結果か、中盤には守備的な選手が3人入り、4-3-3に近い形に。

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ところが、これがあまり機能しない。攻撃は左サイドに偏り、両軍が人数を割くので狭いスペースでの小競り合いしかなくなってしまう。

守備に関してもボランチが3枚になり、前線の運動量が減った為に中盤でのディレイが出来ず苦しかった。荒れたピッチも手伝って、いつものパスサッカー、中盤が機能するサッカーが出来ない。

それでもセレッソは善戦した。PKを奪われ、あわやという場面も耐え忍び、僅差の勝負に賭けていた。

しかし先制点は仙台。何気ないスローインの場面、どちらサイドのボールなのかで全員の集中が一瞬緩んだ。これが命取りになり素早いクロスに対応し切れない。

不運はさらに続く。中盤の底にポジションをとっていた羽田が相手選手と交錯、顔面から流血し、交代を余儀なくされる。

リードされていたこの場面で、クルピの選択は森島康投入。慣れた4-4-2に戻し、反撃を試みる。

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うって出た後半、滑らかなパスワークは蘇らなかったが、あくまで攻めに徹するメンタリティーが同点弾を生む。クロスの先にいたのはセットプレーで上がっていた前田。1-1。

もし勝つチャンスがあったとすれば、この時間帯だった。何度か惜しい場面もあった。しかしツキが無かった。集中力も欠けていた。

チャンスを逃せば、表裏一体、ピンチが待っている。僅か5分後、またしてもクロスに対応し切れない。


いよいよ後が無くなったセレッソがとった策は小松を下げ、右サイドで仕事が出来る酒本の投入。古橋を本来のポジションに戻す。

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しかしこの交代も効果が薄かった。それぞれがそれぞれの仕事をしようとするのだが、それに専心していたからか、大事な場面でのアドリブが皆無だったのが、その理由。

例えば仙台のロペスや、今日出られなかった香川などは、時折ポジションに固執せず、空いたスペース、相手にとって危険なポイントに顔を出す。この転調がチーム全体の流れを良くするのだが、今日のセレッソにはこの動きをする選手がいなかった。柿谷でさえ左サイドに固執していた感がある。勿論そんな人間が何人もいれば混乱してしまうのだが、全てが調和の中にあっても、チームはそれ以上のポテンシャルを発揮できないのだ。

結局効果的な反撃が出来ぬまま、試合を終えてしまったのだが。ロペスが簡単にレッドカードを食らってしまったのは、仙台にとって余計な出来事だったろう。勝ち点を考えれば当面の相手は仙台、京都ということになる。その仙台はこの後福岡、東京V、湘南、京都と厳しい相手との対戦が続く。その中でエースを欠くのは大きなマイナスだ。仙台で殆ど何も得られなかったセレッソの、それが唯一の収穫かもしれない。


過ぎ去った事を悔やむ時間があるならば、次の試合、いかに勝つかを考えなければいけない。可能性が残っている限り、闘いを逃れてはいけない。

10/19/2007

もしも君が望むなら…。

OFFICIALで福岡戦について「GET J1 ―満員応援計画―」なるキャンペーンが組まれている。だが一度長居に来られた方ならば、これがどれ程大変な計画か、容易にお察しいただけると思う。

これを「また無茶な事を」とか「どうせ無理に決まってる」などと言って放つことは簡単だ。だがそうして振舞って、当日空席を見つけて、それで心が微塵も痛まないなどということもあるまい。セレサポなのだから、セレッソの役に立つ、チームのためになることがしたいという欲求は、誰しも持っているはずだから。

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だから私はあえてこの話に乗ろうと思う。駅前でのチラシ配りは出来ないかも知れないが、ダウンロード版を知人に配るくらいなら何とかできる。仕事もやりくりして時間を作る。家族も連れて行く。勿論勝利の女神も連れて行く。勝ち点を積み重ねる様を、鉄壁の守備を見たいなら、貴方も家族、友人、知人を連れて長居に集まってほしい。

こういうバカっぽい企画に限って、参加してみると奇妙な面白さがあったりするものだ。貴方にはあの感覚を是非味わっていただきたいとも思う。そうしてあの感覚の中毒患者がたくさん生まれて、いつも長居が満員になれば、それはそれでいい事なのだけれど。さて、今回の一件、どうやって成功させてやろうか。それが当座の大事だ。

10/17/2007

最近の12thの写真がちょっと冒険している。

写真を撮り始めてからというもの、他人が撮ったものが気になって気になって仕方が無かったり。それと写真を撮った人間の感覚が少し分かるようになったり。

例えばJ's GOALのフォトニュースなんかだと、試合結果には必ず一枚一番印象的な一枚がそえられるのだけれど、それがハンパなゴールパフォーマンスとかだと、

「ひょっとしていいシーン撮り逃しているのか?」

などと邪推するようになった。悪いやっちゃ。

それで、タイトルの12thだけれども、最近「あちゃー」という写真と「おおっ!!」とうなるのが混在するようになった。なぜかあちゃーほど表紙とかだったりするのだけれど、以前のように可もなく不可もなしという面白みの無い写真だけという状態よりはずっといい。

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今回だと江添と小松のところの写真がいい感じ。少し小松が切ない扱いだけれども、色味も構図もレイアウトも好きだ。ひょっとかしてカメラマンの中の人が変わってしまったんだろうか、というくらいいい感じ。こういう渋めのって出すのに勇気がいると思うけれど、あえて出すところがいい。うむうむ。


実はセレサポでカメラ好きという人は結構いるから、こういうところに注視している人って少なくないと思う。SBにいると、殆どプロ仕様ってカメラを持ってる人が何人か見るし。試合観ていて一番多いときなんかは5、6人くらいいたかな。そういう人に撮ってもらえればコストも抑えられるしいい写真が撮れそうな気がするけれど、どうなんだろう?


私はというと、会社から借りていたニッコールの17-35㎜ f2.8を、とうとう返さないといけなくなってしまった。買いなおせばいいじゃんとか思ってもあれ一本で15万くらいするのだ、そんなもんパッと買えないわな。

ということで代用のレンズを探しているのだけれど、どうしたものか。F値を落としてもニッコール(ニコン純正)にこだわるか、サードパーティーまで考えるか(これするとお師匠様の低空ドロップキックを食らうのだけれど、背に腹は変えられないし…)どっちにしても撮る人間が進化しないと確実に写真の質が落ちてしまう。ここ一番はコマめに単焦点でいくべきなのか?どうなんだ?という事で愚痴エントリになってしまいました、あうあう。

10/15/2007

京都2VS2C大阪 進軍止まず。

負けなかった、今はそれだけでいい。あれだけミスをして、上位相手に勝ち点3を与えなかったのだから、幸運だった。

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スタメンは、前節札幌戦から代表に召集された森島康が抜け、小松が入った以外は固定メンバー。

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立ち上がりのセレッソは、京都の高く、遅いラインの裏をつく意図からか、それともパスサッカーを仕掛けるには芝の状態が良くないとふんだからか、ロングボールでの攻めが多かった。ボールの精度が悪く、小松、古橋への収まりも悪かったので、この点は反省材料だろう。普段どおりの中盤での組み立てが出来ていれば、もう少し押していけたかもしれない。

ただし京都もセレッソの攻めを封じようと必死だった。香川には2人マークが基本。アレーやゼ・カルロスのような持ちたがるタイプの選手には、ミスを誘おうと必ずプレッシャーがあった。

それが一番悪い形で出てしまったのが、1点目の失点だったろう。カルロスはあのシチュエーションで一番してはいけない選択をしてしまった。今日は好調だった吉田でも、あの攻めは止められない。

さらに言うと、その後のゼ・カルロスはこのミスを取り返そうと、過度に速い攻めをしたがっていた。フリーの受け手が近くにいてもアーリークロスを入れてみたり、難しいタテへのボールを出してみたり。足を引っ張るという言い方は不適切だが、自制心を欠いてしまってはカルロスのいい部分が消えてしまう。


セレッソがちぐはぐな攻めを見せる中、京都は回数こそ少ないものの、脅威となるべき攻撃を仕掛けていた。セットプレーで、ハーフカウンターで、サイド攻撃で、あの手この手で守備に揺さぶりをかける。吉田が好調でなければ、もう1点とられていたかもしれない。それを1-0でやり過ごせたのは、やはり幸運だった。


更なる幸運は後半立ち上がりにあった。徳重がゼ・カルロスをブロックして今日2枚目のイエロー、退場となったのだ。

これで反撃への糸口がつかめたかに見えたセレッソ。しかし京都も秋田、森岡といった歴戦のツワモノを中心に、しっかりとした守備ブロックを作る。時折パウリーニョまで守備に参加する場面さえあり、手を焼く。

そうして効果的な攻めが出来ないセレッソは、焦りからか少しずつ前がかりになっていた。プレーの精度にも問題があった。アレーのパスミスから始まったカウンターは、まさに京都が意図していた攻撃だった。あれだけのスペースを与えては、難を逃れるのは難しい。2-0。


普通の試合なら、これで大勢決したと見て良いだろう。2-0、あって2-1のシチュエーションだ。それでもセレッソは果敢に攻めた。数的優位を生かして香川がフリーマンになり、バイタルエリアを右に左に駆け巡ると、また少しずつ流れを引き戻せるようになった。

それに拍車をかけたのは、途中交代で入った柿谷、酒本。

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高さこそ無いが、速さを武器にタテで勝負が出来る2人が入り、相手を混乱させることが出来た。

結実したのは後半40分。香川、古橋、柿谷が細かいパスワークで京都守備陣の足を止めると、香川のキラーパスが柿谷へとわたる。キーパーまでかわす冷静さを見せた柿谷のゴールで1点差。これで過去2戦勝ちきれていない京都がいよいよ浮き足立った。

ロスタイム間近の京都コーナーキック。普通ならショートコーナーで時間稼ぎをすべきところだが、キッカーはろくに味方が上がっていないセレッソゴール前に蹴りこみ、易々とカウンターを許してしまった。古橋、柿谷、香川、酒本、セレッソの前線にはスペースとギャップを突くことにかけてはリーグ屈指という選手がずらりと並んでいた。足の止まりかけていた京都が彼等を止めるのは容易ではなかったろう。古橋の渾身のシュートがゴールを捕らえ、遂に遂に、セレッソは窮地を脱した。

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あの流れの中、もう1点取れていたかもしれないし、そもそもゼ・カルロスがあんなプレーをしなければ、横綱相撲が出来ていたかもしれない、ただ、それは仮定の話であって、現実は引き分け。勝って肩を並べることはかなわず、上位3チームとは勝ち点が広がってしまった。それでもセレッソの昇格への可能性は、十分すぎるほど残っている、悲観する必要はどこにも無い。今サポーターに必要なものは、最後の最後までチームを信じ、サポートする強固な意志だけだ。それを柿谷、古橋、そしてチームが教えてくれたではないか。

10/14/2007

西京極に行く理由。

オレ達が何故西京極に行くのか。

そこで試合をする為だ。

そこで勝利する為だ。

そこで京都サンガよりも多くゴールする為だ。

それ以外に何がある。

他所の事に興味は無い。

ただセレッソの勝利のみに意味がある。

明日、セレッソを勝たせる。ただ、それだけだ。

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10/12/2007

白状するならば…。

昨日私は泣いていた。試合終了の笛を聴いて泣いていた。それはうれし涙でもなく、勿論かなし涙でもなく、ましてや前にいた大学時代の同級生(○○歳)がつけていたすげーキラキラのカチューシャに目が眩んで泣いたのでもなく、ただただ単純に、辛くて辛くて泣いていたのだ。90分間耐えて耐えて、そうして耐え抜いた辛さで泣いたのだ。ああ年甲斐のない男よ。

試合後はいつもの場所でカレーを食べた。友人と一緒に学生みたいにガツガツ食べた。

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いつも美味いカレーだけれど、その日はまた特別美味くて、最高だった。泣いていたのは、内緒にしていた。そうして夜中に帰って、記事を書いて、少し寝て、会社に行った。もう心身共に抜け殻状態で、仕事はまるで手につかなかったけれど、気分だけはやたら良かった。こういうのって、サッカーに出会わなければ味わえなかっただろうな。それを思うと、やっぱりサポーターって幸せな存在なんだよ。次に泣く時は、絶対にうれし泣きにしよう。頑張るべ。

10/11/2007

C大阪1VS0札幌 血戦。

夕暮れ時の長居の空は、雲ひとつ無くて、風も穏やかで、不思議なくらい静かだった。

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これから始まる死闘のことなどまるで知らない素振りのスタジアムの中で、しかし確かに、その足音が聞こえていた。私はといえば胸は高鳴っているというのに、緊張したからか手足は冷たいし、気持ちは朦朧として、いつもの力がまるで出ない。

それでも試合開始の時間が近づき、ユニフォームを身にまとった選手達の姿を見ると、カッと血がめぐり、意識が集中していくのがわかった。今日は何が何でも勝たなくてはいけない。全身全霊を持ってサポートしなければ、札幌は突き崩せない。だからこの試合の応援は、いつにも増して、全力のその先まで力を出そうと、そう心に決めた。

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スタメンはほぼ天皇杯ホンダロック戦と同じ。酒本の位置には濱田、2トップは好調だった森島康と、この試合に照準を合わせてきた古橋。

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試合開始から15分程経った頃。これは厳しい戦いになるだろうなという想いにとらわれた。札幌は基本的にリアクションサッカー、相手のミス、ほころびを突き開いて勝つサッカーをするのだけれど、今日は特にその意識が強かった。守備の帰陣は早く、すぐに4-4-2のラインが出来あがる。最低引き分けでもいい札幌と、絶対に勝たなくてはいけないセレッソの、意識の差を十分に加味した戦い方だった。攻撃に厚みが無いのがせめてもの救いだったが、とにかく点をとらなくては話にならない。

ただし、札幌は一つ計算違いをしていた。札幌にとってベストの展開は、中盤、出来ればボランチがボールを保持した時にプレスをかけてそれを奪い、速いカウンターを仕掛けることだった。中盤でのボール回しの際の圧力のかかり具合を見ればそれは明らかだった。しかし今日の中盤、濱田、アレー、ジェルマーノ、香川は、何れも今季最高に近い出来だった。4人のトータルで考えれば一番の出来と言っていい。ボールのキープ力は高く、いい状態で、前を向いてプレーをしているので、悪い形でボールを奪われなかったのだ。

アレーとジェルマーノはよく頑張ったと思う。特にアレーはプレッシャーに負けず、前に前に、丁寧にボールを運んでいた。容易にはボールをロストしないし、最低でもシュートで終わるので、チームへの負担も少ない。

香川はもう別次元といった感じで、2、3人がかりでもするすると間を抜けていってしまう。ある時はゼ・カルロスと左サイドで、またある時は濱田と右サイドで、相手が嫌がるプレーをコンスタントにし続けていた。

先制点、そして今日唯一の得点シーンも、右サイドから出たボールを、香川が相手のラインとラインの間に出来たスペースで受けた瞬間に勝負があった。ブルーノが気付き、飛び出た際に出来た最終ラインのギャップに古橋が駆け込む。それを見た香川は絶妙のワンタッチパス。キーパーとの1対1も冷静にいなしてゴール。私は選手が疲弊し、陣形が脆くなった終盤勝負だと思っていたので、前半35分などという早い時間にゴールが生まれるなど思いもしなかった。予想外の喜び。


しかしその後、長い長い我慢の時間が始まった。相手に弱気を見せず、ミスを無くし、55分間、冷静に振舞う。それがどれ程困難な事か。札幌は失点後もスタイルを極端には崩さなかった為、胃の痛くなるような神経戦が延々と続いた。

そんな中で、ホンダロック戦では脆さを見せたCB、羽田と前田の働きが光った。極めて冷静に、自分が出来る仕事を黙々とこなしていた。前田がイエローを一枚貰い、ボールの処理ミスからあわやのシーンを一度作った以外は、ほぼノーミス。

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唯一ヒヤヒヤとしたのはゼ・カルロス。どんな試合であれ、自らのリズム、スタイルを崩さない。それは長所であり、短所でもある。天真爛漫なプレーは、相手に付け入る隙を与えかねない。実際大怪我になりそうなシーンもいくつかあった。ただゼ・カルロスがいたからこそ相手を押し込めた、というシーンも同じくらいあったので、この辺りは微妙かもしれない。


後半は、もう我慢比べといった様相。どれだけ自らのプレースタイルを維持できるのか、心身のスタミナが切れた方が負けだった。

果たして、中盤のボールをキープする能力は落ちなかった。香川は相変わらず、ジェルマーノは猟犬のように駆け回り、アレーは自分の間合いに入ったボールをしっかりとホールドする、濱田も目立たないながら、しっかりと仕事をしていた。2人がかりのプレスにも落ち着いた対応。もう少しミドルシュートの精度が上がっていれば、楽な戦いが出来たかも知れないが、これまで3試合で1点もとられなかった相手を向こうに回して押し気味の試合展開、文句は言うまい。


森島康から小松への選手交代もいい時間帯だった。

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森島康は何度かのジャッジと接触プレーから冷静さを欠き始めていた。あのままプレーしていたとして、森島康らしいプレーが出来ていたかは疑問だ。フリーラン、前線からの守備、キープを冷静にこなす小松がベンチにいる。使わない手は無い。

2人目、3人目の交代に躊躇したのも理解が出来る。守備固めなどして中盤のメンツを代えるのはリスキーだし、それならばこのままで、という意識が働いても不思議ではない。結果として、辛勝ながら勝ち点3を首位から奪えたのだから、こちらも文句は無い。


上位陣の勝ち点差がどんどん詰まってきた。京都、仙台上位対決2連戦如何では、昇格争いの「台風の目」から「一角」へと変わる可能性すらある。今はただ勝利に酔いしれたいが、明日からはまた新しい戦いに向け、意識を高めよう。残り8戦、落としていい試合は一つも無い。

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段幕

071010_1646~0001.jpg貼り終えたよ。


10/09/2007

原点。

天皇杯の初戦、大抵下部リーグのチームと当るのだけれど、その度に考えてしまうことがある。それは、本当に今のチームが愛せているか、愛情表現がちゃんと出来ているか、ということ。

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昨日のホンダロック戦でも、2年前のホンダFC戦でも、私個人の主観で言うなら、そしてこと応援という一側面だけに限定するなら、正直完敗だった。

勿論失うものなど何も無い強さ、失うものを守りたくなる弱さというのはある。サポーターにもなんとなく力が入らず上の空というところが出てしまう、それは仕方が無いのかもしれないけれど、何とか出来るなら何とかしたい。

最初ホンダロックの応援団がSBアウェー側に陣取った時、彼を見て私は笑っていた。

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そう、赤くて3倍早くて、その上コールリーダーまでしている少佐。

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イロモノにも限度があって、彼は明らかにスレスレだった。そんなユーモラスさを、つい笑ってしまったのだ。

彼以外にも珍客はいた。

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ところどころにゴレンジャーがいるのがお分かりいただけるだろうか?彼らもまたスレスレだ。

それでもホンダロックの応援団は彼らに乗せられるかのように、声援を送り続けていた。スレスレでも認められていたようだし、それどころかリード役として存在しているかのようだった。

それは多分彼らのユーモラスな風体の中に、熱いサポーターとしての魂があったからなのだと思う。もしそうでなければ、こんなに一所懸命に応援したりしないだろう。

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私は彼らに詫びたい、彼らこそサポーターの見本だから。どんなになっても、どんな姿でも、チームを愛する強い意志を示し続ける、それこそが本当のサポーターだと思うから。


もう水曜には天王山、札幌戦が待っている。その時は彼らのように、明るく、熱く、激しく、チームを盛り上げなければいけない。チーム、フロント、サポーター、三位一体出なければ、札幌は倒せないはずだから。

10/08/2007

天皇杯3回戦 C大阪4VS2ホンダロック To be or not?

天皇杯2回戦、セレッソの上位にいる4チームは全てメンバーのランクを落とし、敗れた。無論わざと負けたわけではないだろう。しかし負けてもいい、という気持ちが無かったわけでもないはずだ。対するセレッソは、現時点でのフルメンバーでホンダロックを迎え撃った。

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意図は三つあったように思う。一つ目、セレッソはとりわけ気持ちでプレーの質が変わるプレイヤーが多い。森島康やゼ・カルロスはすぐに思いつくだろうが、古橋のような真面目なタイプもよく「引きずる」それならばいっそキチンと勝った方がいい。

二つ目として、セレッソは前節試合が無かったというところがある。実戦感覚を取り戻すためにも、ベストメンバーである必要があったのだ。

三つ目はケガ。右ヒザを痛めている古橋以外にも、ベストコンディションではない選手が何人かいた。彼らの代役と、今までのベストメンバーとの間のギャップを埋める意味でも、主力を投入しなければいけなかった。

結果論になってしまうが、今回主力を出したのは正解だった。特に三つ目の意味において。


その現時点でのベストメンバーはこちら。

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古橋は大事をとって休養、ベンチからも外れた。江添のところには羽田。


序盤から試合を支配はするのだが、覇気がイマイチ感じられないプレーが続いていた。あの時間帯に失点していたら、少し不味い事になったかもしれない。

しかし先制はセレッソだった。35分、二人のマーカーにしっかり封じられていたはずの香川が抜け出し、逆に相手を撹乱、お得意の左サイドからしっかりとゴールを奪った。

これですんなり行くのが大抵なのだが、すんなり行かないところがセレッソ(それはいいところでもあるのだけれど)その僅か2分後、ホンダロックにシンプルで美しいゴールを決められ、前半を1-1で終えてしまった。スタンドからはブーイングが飛ぶ。


後半は反省したのか序盤から猛攻。明らかにペースを上げていた。何としても点をとりに行くという姿勢が感じられた時間帯、押せ押せの中、セットプレーからの流れで羽田が倒され、PKを得た。森島康がこちらは豪快に決めて再び勝ち越し。

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これで勝ちをある程度確信したのか、疲れの見える小松、やや精彩を欠いた酒本を一度に下げ、柿谷と濱田が同時投入された。

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この交代は実に効果的だったし、意味のあるものだった。酒本と濱田、タイプの違う右サイドが二人いる事は有利だ。また柿谷は香川、森島康との相性が良く、古橋や香川がケガ、出場停止で出られない際のサブとして、十分な能力と親和性を発揮した。

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3点目は交代早々の濱田がいい仕事をしている。右サイドからタイミング、コントロールともに絶妙なグラウンダーのクロスを供給。中の森島康は流し込むだけ。

こと後半の攻撃に関しては、ほぼ満点の出来だった。3点目以外にも惜しいシーンが何度もあった。香川、柿谷、森島康、濱田のフロントラインは十分な破壊力を持っている。

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しかし守備には課題が残った。2失点目はセットプレーから、ドフリーの選手にバックヘッドで決められるお粗末さ。誰かが競っていれば、あれほど簡単に失点する事はなかったろう。とんでもないミスこそ無いが、微妙なところで意思疎通が出来ていないようなチグハグさを感じた。

試合を振り返れば、終了間際、濱田の素晴らしいパスから「ロスタイム男」香川のゴールが生まれ、4-2というスコアになったが、決して楽観出来ないという雰囲気は、スタンドからも感じ取れた。いつも陽気なジェルマーノの表情が全てを表しているようだ。

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僅か3日後には、首位札幌との大一番が待っている。今日の反省を生かし、水曜に備えて欲しい。