8/31/2011

輝くホタルと能あるタカ。

螢のプレーをはじめて見たのはユース決勝、ガンバとの試合が初めてで、テレビ観戦だった。丸橋が左の攻撃的な位置で縦にガンガン勝負をしかけ、螢は今のボランチの位置より少し前にいて、攻撃の起点になっていた。
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確か序盤は優勢で2-0まで試合を持っていったのに、宇佐美にやられて逆転負けだったと覚えている。1失点してから動揺が走って、あれよあれよと4点もとられた。その時は「ああ、若いからメンタルができていないのか」と思っていたけれど、悪癖はなかなかなおらなかった。


やればできる。螢のポテンシャルは、それはスゴイもので、例えば日曜の試合、前半清武に出したロングパスや、得点シーンでの上がりを観てもらえれば、納得していただけると思う。

問題は、今まではそれが続かないでいたところ。一つ悪いプレー、失敗があると、そこからガタガタとプレーの質を下げてしまう。ボランチでもマークを外してしまったり、動きが途端に消極的になる。


浦和に同点ゴールを決められた瞬間、もちろん勝ち点を失うことも恐れたけれど、それ以上に螢が萎縮してしまうのが怖かった。勝ち点はその年その年でリセットされる。優勝争い、ACL出場権争い、賞金権争い、そして残留争いに絡まなければ、別に1つや2つ増減したところでチームがどうこうなるものではない。

だが山口螢という選手の成長は、チームのこの先5年、10年に関わる一大事だ。ユースから一貫して育て上げてきた、桜の血の流れたプレーヤー。彼の成功、失敗は、大きく言えばチームの育成方針の成功、失敗さえ意味してくる。

1-1のタイになっても、なお攻撃的に、アグレッシブにボールを追い続ける彼の姿は、それだけでジンと胸が熱くなるものだった。トップの試合くらいしか見ない俺がこれなのだから、ユース年代を追い続けているサポーターにとってはどれほどのものだったろう。


この試合、もう一人のヒーローは、彼。
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若いな、線細すぎる、大丈夫かな?というのが、南津守で見た扇原の第一印象だった。茶屋町とか、アメ村とかにいても溶けこんでしまいそうな少し草食系の青年が、僅か2年でこれだけのプレーヤーになるなんて、想像していなかった。ずっと彼を追い続けていた人であるなら当然の帰結なのかも知れないが…。

螢と比べて、彼は物怖じしていないように感じる。サイドチェンジ、楔のパス、どちらも成功すれば効果的だが、失敗すれば相手のカウンターを引き出してしまう。実際プレーを見た横浜FM戦でも浦和戦でも、パスがずれたり、相手に渡るシーンが何度かあった。

それでも彼は冷静に、黙々と、ロングボールを放ち続ける。シュートだって、弾丸とは言わないが、精度がいい。失敗しても、顔色ひとつ変えずにプレーし続けるメンタルは、パスの精度以上のストロングポイントではないだろうか。


二人ともまだ若い。このスピードで成長を続ければ、けが人の代役としてではなく、嘘偽り無い主力として活躍する姿を、すぐにでも観られるようになるだろう。

この夏は、何か悪いものでも憑いたように怪我人が続出した苦しい季節だった。だがその一方で若手、新戦力が現れ、チームの底上げができたという意味では、決して無駄ではなかったというのが、個人的な感想。離脱した選手が戻ってくれば、最悪の事態だけば回避できそうだ。まだまだ油断はできないが、しばらくは試合の余韻に浸らせてほしい。

8/29/2011

2011 J1 第24節 C大阪3VS1浦和 咲き誇れ若櫻。

後半3分 山口 螢(C大阪)
後半23分 高崎 寛之(浦和)
後半42分 扇原 貴宏(C大阪)
後半45+1分 倉田 秋(C大阪)




「セレッソユースから上がった選手は、ホントすごいっすよ」

と預言者は言った。それまでの不甲斐ない活躍を観ていて、半信半疑でいたけれど、ようやっと得心した。相手は浦和、下位に沈んでいるとはいえ、選手個々の能力の高さは強豪とも変りないチームだ。そのチームに対してこれだけの結果を残せたことに満足している。失点でさえ、セレッソの糧になってくれた。


スタメンを見ればチーム状態の苦しさがわかる。藤本がベンチに戻り、スタメンに変化はないが、今度は中後が外れた。FWのサブには若い永井と杉本。

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序盤は両チームの「負けたくない」「ミスしたくない」という気持ちが消極的に出て、よくない。コンタクトプレーでは激しいものがあったが、局地戦ばかりでいいようにボールが流れない。上本が田中達也に膝を入れられ、脳震盪を起こすも大事なし。

その中で扇原はよくできていたなと覚えている。マルチネスとは今の時点では比べるべくもないけれど、ベクトルは同じ。両サイドに綺麗なロングボールを供給して、浦和を左右に振っていた。

もう一人、絶対に書かなければならない存在は、ファビオ・ロペス。ガンバとのダービーでは1トップとして、鹿島、清水、横浜FM戦では3シャドーの一角として登場したものの、正直期待外れな部分が大きかった。

ところが今日は違った。清水戦からコンビを組んでいる播戸との息が少しずつ合い始めて、スピードの緩急が出始め、ボールを受ける動き、受けてからの動きがスムーズになった。ダービーの頃の彼と比べれば、まるで早送りのよう。主戦場たる左サイドの前線、相手右サイドバックの裏がガタガタだったのも幸いして、再三再四好機に絡む。守備でも播戸と対になり浦和の守備陣を追い回す。

前半に不満があるとすれば決定機の少なさ、シュートは僅かに2本。ファビオ・ロペスの突破からのいいシュートと、ファビオ・ロペスが受けて清武に流し、清武がスルーしたところに扇原という流れの二つだけ。山口が感じて出したボールと清武のいい飛び出しの組み合わせもシュートまで持っていけず。どれも決定的だっただけに印象深いが、他には得点の匂いのするシーンが一つもなかった。これは課題。スコアは動かず後半に。


ところが後半立ち上がりに、あっけなくスコアが動く。ファビオ・ロペスのこの試合3度目か4度目の左サイド突破、中に駆け上がったのはボランチの山口螢。長い距離を上がっていたのでノーマーク。冷静に右足インフロントでファーサイドのポスト近くに流しこみ、1-0!最近あった得点後すぐに失点という流れもなんとか防ぎ、ようやくリードしたアドバンテージを有効利用し始める。こういう試合が見たかったんだ!

浦和は前線のデスポトビッチがあまり機能せず、前線でのタメが作れないでいた。先制されて火がついたか、後半15分にスピードのエスクデロ・セルヒオ、高さと強さの高崎と前線をそっくり入れ替える。

この交代はセレッソを苦しめた。特にセレッソの右サイドにいるエスクデロ・セルヒオと原口の連携から何度も危ないシーンを作られる。

対するセレッソはペース配分無視で動き回っていた播戸を予定通り下げて、こちらも高さ、強さの杉本を入れる。

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後半25分


杉本は前節の得点が自信になったか、いい動き。やはり相手右サイドの裏を突いて決定機を作り、後は流しこむだけというシーンも、ところが不発に終わってしまう。最初の得点からこの杉本のプレーまで、いくつか決め切れないシーンが続いていたので、悪い流れ。

その直後に、失点。やはりエスクデロ・セルヒオと原口にやられた。右サイドでタメを作られ、原口がバイタルまで入って切り替えし、ミドルを一度はキム・ジンヒョンが弾くも、高崎に詰められて同点。時間も後半33分と、そろそろ試合を潰さなくてはいけなかったところだけに、重苦しい空気。


それでも希望が持てたのは、両軍の守備に差があったから。この時間に来て茂庭がよく動くようになり、山口、扇原のボランチも気持ちを切らさずに堅実に働いてくれていた。対する浦和はファビオ・ロペス、杉本、丸橋、清武に再三突かれている守備のギャップを埋めることができず、得点をとるために攻撃的なカードばかりを切ってしまっていた。

その差が、同点かと覚悟を決めた後半42分に形となって現れる。やはりファビオ・ロペスの左サイド突破、スピードにのって中に折り返すと、最後はよく上がっていた扇原。相手に潰されそうになりながらも左足一閃、ボールはゴール右隅に突き刺さる。キーパー加藤は一歩も動けず、再びリード。


いい状態のチームであれば、ここからの一手、反撃のための策が残されていただろうが、浦和はこの時点でカードを全て切っていて、後は個々の頑張りに頼るしか無かった。セレッソも今年同じような試合を何度も経験してきたから、その辛さは我が事のようにわかる。まるで我が身が泥沼の中に入っていくような錯覚さえ覚えた。ファビオ・ロペスがロスタイム、容赦のない飛び出しからループシュート、枠に当たるも倉田がこちらもよく詰めて3-1。試合を完全に決定づけた。

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後半45+2分、お役御免のファビオ・ロペスと永井が交代


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後半45分+5分、時間稼ぎと守備固めに藤本



今日の試合は若手にとって、単身海を渡ってやってきてくれたファビオ・ロペスにとって、そしてセレッソにとって大きな試合になった。まだ何も決まってはいないが、今まで下を向いて歩いていたのが、上を向いて歩けるようになった。

この夏は苦しかったが、主力が怪我をした中で、若手に成長の場が与えられ、苦しいながら結果を残してくれたことを、まず喜ぼうと思う。播戸、ボランチ、3シャドーが今日の出来であれば、キム・ボギョン、小松の復帰も無理させずに済む。本当に大きな勝利だ。

8/28/2011

約束しよう。

ゲリラ豪雨とかいうやつで、窓の外はひどい雨で、地面なんか見えなかった。キッチリと窓がしめられていたけれど、それでも殴りつけるような雨音が轟々と響いてきた。

「チーム状態は、今はよくないっすけど、勝ちますよ」

と、うつむいたまま、でも力強く、そして少しぶっきらぼうに言った彼の様子を、俺はずっと見ていた。

この無愛想な負けん気が、彼を支えているのだな。高見にまで登らせているのだな。

もう一試合、信じようと思う。とか言いながら、ずっとずっと信じているんだけど。

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サポーターになるということは、そのチームと結婚するようなものだ。

調子がよかろうが悪かろうが、病める時も健やかなる時も、ともにあるということを決意した時、人はサポーターになる。たまに離婚する人もいるけれど、実際の結婚よりも少ないかも知れない。

俺は、セレッソと、セレッソを愛し、少しでも強くなるよう努力を続けている人達、サポーター、スタッフ、スポンサー、関係するすべての人達と結婚した。

だからいかに苦境だろうと、むしろ苦境だからこそ、彼らを支え、応援しようと思う。彼の約束が予言になるように、今日も戦おう。

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8/27/2011

ありがとう。

昨日は某異業種交流会で盛り上がってた。
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主催者の人がすごくセンスのいい人で、使うお店がいちいち素敵なんだよね。だから参加していても楽しいし、話が弾むし。毎月いろんな人に会って刺激を受けたり、実際にビジネスになったりする。それはありがたいし、嬉しいし。クライアントになる人も仕事を受ける人もノリよくできる仕事って大抵できがよかったりするし。まあ悪いことは殆ど無い。


昨日輪をかけて嬉しかったのは、フランスW杯を生で観た方や、沼津出身のエスパルスサポーターの方と交流できたこと。
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二人とも海外や静岡にいた時間が長くて、身近に、当たり前のようにサッカーがある。話をしていても、俺が隠れキリシタンで、二人はヨーロッパのカトリック信者みたいな感じ。羨ましいことこの上なかった。

特にエスパルスサポーターの方とは長い時間お話することができて、長谷川健太とか、澤登とか、バロンと堀池さんありがとうとか、西澤の男気とか、ゴドビとレヴィーの違いとか、そんな話をガツガツできて、心が洗濯されたように真っ白になった。正直ここ最近は精神的にへたってたので、この出会いを神様に感謝した。


今年に入ってから、意識していないところでサッカーが好きということがプラスにはたらくようになって、人とのコミュニケーションがスムーズになることが増えてきた。すごく自然にサッカーと向き合える、それも仲間と共に。こんなに嬉しいことはない。

こういう毎日が続けばいいのに。
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8/26/2011

Osaka football lovers 2011.

水曜の試合は、久しぶりにHUBで観た。
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心斎橋店の機械が故障したとかで、急遽ダ・オーレ店での中継となったのだけれど、突然の変更にかかわらず結構な人でごった返していた。レプリカ姿のおっちゃんやお姉さんも多数。
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定番フィッシュアンドチップス。モルトビネガーをどんどんかけて。


試合は残念だったけれど、こうしてサポーター同士お酒を飲みながらワイワイと試合を見るのも楽しい。大阪だとこういうところって少ないからね。CHANTさんとか蹴球堂さんくらいかなぁ。知っている人はぜひコメントやメール、お願いします。


でもやっぱり関西だとサッカーってのはマイノリティな存在で、こうして共闘していないと孤独で寂しい。今スタジアムに来ている観客数は、日本のプロスポーツの中では野球についで多いらしいけれど、リピーター率がとても高いのだそうだ。つまり一人が何十回と試合を観ているということ。一見さんには間口が狭いのかどうなのか…。
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そういう意味では子供の頃から当たり前のようにJリーグがある世代は大事にしないとなと思う。選手、サポーター、スタッフがしっかりと仕事をすれば、小さな子供たちの心を動かすこと、きっとできる。それを信じているから、近くの子供達でも行きたいと言えば連れて行くし、見知らぬ子でも桜色のユニフォームを着ていれば優しくできる。

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この子とはダービーの時に鶴が丘で出会った。かわいいTシャツでしょ?これ、オリジナルデザインらしい!お父さんとお揃いで着ていた。いつもセレッソを愛する気持ちを持ってくれているのは、本当にありがたい。


老いも若きも、男も女も、どんな人種でもどんな宗教でも、サッカーは垣根なく飛び越えて心の中にいつく。その力がセレッソとともに、大阪でも根付くように頑張らないとね。できることは限られているけれど、それをコツコツと…。


追記

清武の怪我、軽傷ぽくってよかった。念のため土曜に確認に行きますね。
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8/25/2011

2011 J1 第23節 横浜FM2VS1C大阪 旅の終わり。

前半15分 兵藤 慎剛(横浜FM)
前半44分 中村 俊輔(横浜FM)
後半14分 杉本 健勇(C大阪)


ああ、甲子園でもあるまいに、夏の盛りのこの熱さの中、自宅に帰る回数も数えるほど、一つ所にもとどまれずのジプシー生活は、セレッソに甚大な被害をもたらした。マルチネス、小松、キム・ボギョン、今日は清武。次々と中心選手が倒れていく。残った選手達も前半から動きが鈍く、この3試合を走り続けた選手達の疲弊は、モニターを通しても容易に見て取れた。


スタメンを見てもチーム状態の悪さがよくわかる。トップの播戸は上り調子だが、中盤には得点を量産していたキム・ボギョンの名前が無い。ボランチはユース出身の山口螢と扇原、2列目には前節同様にファビオ・ロペス。茂庭は復帰したものの、今度は貴重な控えの藤本が外れて、控えでセンターバックができるのは高橋祐太郎だけ。ベストメンバーには程遠い。

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選手層の厚さ、勢い、チームの成熟度、どれをとってもマリノスが一枚上手。セレッソは僅かに圧力をかけられただけでミスをしたり、体が動かず、危険なボールロストを繰り返す。守備では急造ボランチが機能せず、3シャドーも運動量不足でボールがつながらない。前半15分の失点は中に走りこんでくる兵藤のマークがつききれていなかったのも痛いが、その一歩前、左サイドの攻防で粘りを見せられなかったのも残念だった。

前半ただ一人、気合の入ったプレーをしていたのは播戸。ペナルティエリア、左サイドからの速いクロスボールを受けると反転シュートも枠外。その後もボックス内に走りこんできたファビオ・ロペスにやさしいタッチのボールを供給し、シュートを誘発させるがこちらも枠外。前半のチャンスといえばこれくらいで、あとは殆どマリノスのペース。

不運は続くもので、前半終了間際にも茂庭のクリアボールが中村俊輔の足にヒットして失点。この出来で2失点は痛すぎた。中村はこのプレーで足を痛めて下がったが、逆に体躯の強い渡邉千真が後半から入り、茂庭、上本を苦しめることになる。


普通なら後半頭から手駒を切ってチームを活性化させたいが、パンチの効いたプレーヤー、局面を打開するサブがいないので動けない。ただマリノスも予定外の選手交代で少しずつチームの総合力が下がり始めた。セレッソがサイドを広く使った攻撃から形を作り始める。

ところがその両サイド、丸橋と酒本も連戦の疲れがありありで、縦へのスピードが無い。あと一歩、いつもなら出ているはずの足がでない。酒本が一度いい突破を見せたが、それ以外は歯がゆいものばかり。


後半13分になってようやくカードを切る。精彩を欠いていた山口を下げて杉本を入れ、倉田はボランチに下がる。4-2-2-2にシフトして前線でのポイントを増やす。持ち味のはずの中盤でのパス回しは捨て、現実路線に。

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後半13分


杉本は自慢の高さではあまり形を作れなかったが、足元の柔らかさでマリノスの守備を崩す。入ってすぐ、ボックス内で清武の速いパスを受けてシュートを放つとこれが決まる。起死回生のゴール。

ここからはイケイケの攻撃が続く。清武を軸にして、播戸、杉本が絡むような形。丸橋、酒本は無理をせずアーリークロスを入れて、雨でスリッピーになったピッチでのイレギュラーを誘う。

もし怪我をしている主力がこの場にいればとは、よもや言うまい。この試合無理をしていない選手は誰もいなかった、皆ベストを尽くしてくれたと思う。倉田の顔からは表情が消え、茂庭、上本も小野、長谷川、そして渡邉、キム・クナンといった強力な前線とのファイトで体力を削られていた。調子がいい播戸と言えども例外ではなく、気力でプレーしている様子。扇原は試合の流れに自分を合わせるのに手一杯で、ファビオ・ロペスは自分の持ち味もチームメートのよいところも引き出せないままだった。


そうして恐れていたことが起こる。清武の体が悲鳴を上げ、後半29分に左膝を負傷。乾、マルチネス、キム・ボギョン、ボールをキープできるプレーヤーがいなくなっていた中、チームの心臓として攻守にわたって活躍していた清武が、タンカに乗せられ、苦悶の表情でピッチを去る。

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後半30分


この時間になると、チームはチームとしての形を失い、狭いスペースの個々人が頑張るような状態になっていた。味方が相手に詰められてもフォローに行くことができない。少しパスの受け渡しがズレただけでもボールがラインを割ってしまう。悲しいシーンが続いた。

溜飲を下げたのは、清武に代わってピッチに入り、右サイドで暴れまわった村田の存在。ウインガーのようにただラインをタテに走るだけではなく、時には中に切れ込み、またある時はボックスの中に入り込んでくる。そのスピードはチームの中でも突出していて、観ていてワクワクするものだった。春先のチャリティーマッチではただ前に突進するだけのプレーヤーだったが、しばらくぶりの実戦で自身の成長を披露してくれた。


敗戦は、それはどうあっても悔しい。もししっかりと戦力が整っていたらと思うこともある。ただ少なくとも、これからも続くシーズンを諦めるような気分にだけはならないでいよう。最後の最後、シーズン最終節試合終了の笛が吹かれるまで、チームと共に戦おう。それが、サポーターに与えられた仕事であるから。

8/24/2011

愛情のない写真はかわいそうだ。

と、思う。

別に高いカメラ買って高いレンズ買ってシャッター押せばいいってもんでもなくて、レンズがどうとか解像度がどうとかヒストグラムが、カラーバランスが、とか言ってる人に限って酷かったりする。

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iPhoneだし、夜景だし


絵を描くのに似ている気がする。いい筆といい絵の具を用意したってみんな名画が描けるわけでもない。弘法筆を選ばずなんて言うし。弘法さんだって「ぶっちゃけこの筆は無いわ~」って時もあるだろうけどね。
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要は気持ちなんだろうと考えてる。

どんなふうに撮ったら、この女の子の可愛さを伝えられるんだろう?どんなふうに撮ったら、この風景の素晴らしさを切り出せるんだろう?どうやったらこのゴハンのおいしさを伝えられるんだろう?そんな気持ちでシャッター押したら、少なくとも酷いのは撮れないと思う。
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この葉菜を撮る時は、覚えているけれど、絞りをいじって、被写界深度(ピントが合う奥行きの広さ)をコントロールした。
結局開放で撮った一枚がいい感じで襲いかかってきてくれた。葉っぱの生きたいって気持ちが撮らせてくれたんだと思う。
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ゴハンの時は、大抵作ってくれた人のことを考えている。ゴハン屋さんのゴハンは見た目もキレイじゃないとダメだから、盛り付けも頑張ってる。どこかの角度から見ると(それは多くの場合、テーブルに座ったところからだから、それ程苦労しないけれど)パッと華やぐ感じがする。そこから撮ればいい。
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真上からってのは変化球っぽい


食べログとかで適当に撮った写メで「味がまずい」ってのは、少しかわいそうだし、テレビの画像をコマ送りして酷い表情の時を狙うのもあんまりな…。できればお互いプラスになる活動がしたい。

写真が上手くなるのには、機材より知識より先に気持ち、撮る相手を思う気持ち。だと思うよ。

8/22/2011

サッカーのない日は生きていたくないです。

雨だからというわけではないですが、昨日はどこにも行きませんでした。出かけて気分を変えたいなと思いましたが、何もできませんでした。
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思うに、ホームゲームのない週末は、とても苦痛です。何も楽しみがないのです。仕事は、それはやり甲斐もありますが、辛いことがないでもなく、そうして休みだからといって気楽に過ごせるものでもないのです。

今はもう、何の苦痛もなく過ごせる空間が、サッカーのある日の、あの長居のあたりしか無いのです。

サッカーのない週末は、負けた日よりも辛いのです。たとえ負けたとしても、サッカーがそこにあれば、いくらか心が安らぎます。ですが、無いのはもうどうしようもなくて辛いのです。


セレッソの状態は、酷いものです。けれども、おれの気持ちをいくらかでも救ってくれる、その一点において、必要な存在なのです。

なので、試合のある日は、どんなに厳しい状態でも、応援をします。救ってくれたセレッソに恩返しをする方法は、これしかないからです。

これは中毒なんでしょうかねぇ。
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8/21/2011

2011 J1 第22節 清水3VS3C大阪 今が底と…。

前半8分 小野 伸二(清水)
後半31分 播戸 竜二(PK)(C大阪)
後半32分 播戸 竜二(C大阪)

後半35分 高木 俊幸(清水)
後半42分 播戸 竜二(C大阪)
後半44分 高原 直泰(清水)



これで勝てないのなら、多分しばらく勝てない。そんなもの精神的なものだと笑えれば幸せだけれど、この文章を書いている今でも暗澹たる気持ちになっている。

扇原や清武、そして誰より播戸の活躍は、賞賛すべきものだ。だが、それゆえに絶望するのだ。これだけよいプレーヤーが揃い、ところどころ宝石のように光るプレーがあるというのに、勝てないどころか、リードを5分間守ることもできないでいるのだ。


この試合のスタメン、レヴィーはさぞ悩んだことだと思う。茂庭出場停止、マルチネスは負傷で帰国、ファビオ・ロペスはまだチームにフィットしておらず、高橋大輔、小松は怪我、中後は疲労の色が隠せずでは、どんなメンバーを組めばいい?

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この図ではファビオ・ロペスと清武、倉田は同じ高さにいるが、日本人二人は下がってボールを受ける回数が多いのに対して、ファビオ・ロペスは攻撃になるとすっと杉本と同じ列に上がって相手のDFラインと駆け引きをすることが多かった。スタート時は扇原がセンターバック、藤本がボランチでアンカー的な仕事をしていた。ベンチには村田が入っている。


立ち上がりは急造チームの体がモロに出て良くない。清水の新外国人カルフィン・ヨン・ア・ピンがDFラインの1つ前、倉田や清武、キム・ボギョンが使いたいエリアにどっしりと構えてトリブルを粉砕される。そこから広くボールをさばかれて後ろ向きに走らされるシーンが多かったように思う。

ヨン・ア・ピンは筋骨隆々としていて、プレースタイルはアマラウとマルチネスを足したような感じ。広いエリアをカバーするのは苦手なようだが、担当した場所は必ず死守する。持った時も運動量はさほどではないが視野が広く、セレッソのプレーヤーがどちらかのサイドに寄っていると、必ず逆サイドにふられて苦しい。


この試合3度失点しているが、そのどれもがあまりいい形ではなかった。清水の最初のシュートはクロスに合わせた小野のヘッドで、たたきつけられた分長身のキム・ジンヒョンはカバーしきれず。競り合いで1対2と数的優位に立っているのにこの体たらくだ。


セレッソも攻撃の形を作ろうと、清武、キム・ボギョンあたりが奔走していた。ただし例のヨン・ア・ピンが固く、あまりいい形を作れない。ワントップの杉本までうまくボールが入らず、入ったとしてもCB2枚とアンカーの3角形の中。余程早くボールを動かさないとあっという間にボールを奪われてしまう。

タテのスピードも少し鈍化していたが、横へ散らす回数も少なめで、悪い時のセレッソのパターンに入っていた。本当にいい所がない前半で、欲求不満。


後半になって、ポジションをテコ入れ。扇原と藤本の位置を変えた。

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こうすると扇原、清武と2枚、サイドに散らしたりドリブルで持って上がったりと、アクセントをつけられる中盤ができて攻撃にリズムが生まれる。またセンターバック相手に四苦八苦していた杉本は左サイドに流れる回数を意図的に増やし、ボールを保持する回数と時間が増えた。こうして起点が何箇所か生まれ、攻撃のパターンがすこしずつ増えていった。

サイドでは酒本、丸橋が攻撃的に絡み、何度かいいクロスを上げる。酒本のDFを一人外してのクロス、杉本がヘッドで合わせるも枠外。丸橋も攻撃に関してはいい動きで、両サイドから清水を押し込む。対する清水ゴドビ監督は攻撃的なアレックス、守備的な岩下を入れてチーム状態にキープさせる。小野はもう90分間フルでプレーすることができないのか、小野のために必ず1枚、カードを切らなければいけないようだ。


後半28分、セレッソは数少ない手駒の中から播戸と山口を入れ、決めきれずにいた杉本、ヨン・ア・ピンとの接触で足を痛めたキム・ボギョンを下げる。

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後半28分


杉本に比べ体躯で劣る播戸、運動量も決して多いわけではないが、この日は点を決めるという強い意志があった。入ってすぐに一仕事、左に流れたファビオ・ロペスが播戸の足元に鋭いボールを入れると、ボスナーが引き倒してPK。キッカーはその時点で最も得点を上げている選手(この時点では倉田)のはずだったが、鹿島戦の乾とは違って播戸が自らキッカーに。これを冷静に決めて1-1のタイに持ち込む。

続けざまに播戸、テレビではリプレイが終わってすぐ。またしても左からのクロスを今度は頭ですらせてゴールニアに空いた狭いエリアに。たった2分で1-2と試合をひっくり返す。


普通ならここで勝ちだ。勢いは間違いなくセレッソだったし、メンバーにしても慌てず試合に集中していれば何をすべきか理解できたはず。それが、できない。勝ち越しから僅か3分後、高木俊幸のスピードに乗ったドリブルに誰もアタックせず、シュートを撃たれる。詰めもしないで立っているだけのDFなどキーパーにしてみればブラインドにしかならない。キム・ジンヒョンは自身の右側隅を通ったボールに反応できなかった。


しかしセレッソはもう一度自らの力でゴールを切り開く。清武がバイタルでボールを持つと、播戸のとび出すタイミングにピッタリのパスを通す。キーパーも置き去りにした播戸は軽く流し込んで雄叫びを上げた。ベンチメンバーから外れることも多かったベテランが11分間でハットトリックの大仕事。


ここから去年のように上手く試合の流れを鈍化させて、潰していれば、試合はセレッソのものだった。家長やマルチネスのように高い位置でボールをホールドできるプレーヤー、アマラウのように危険な位置に来たプレーヤーを確実に潰すボランチがいれば、それは簡単な仕事のはず。今のセレッソはそれができない!!

高原のゴールに関して言えば、決めた方の流れがよかった、それに至る経緯の方が問題。あの時間帯は相手陣内深くでボールをキープし、相手をイラつかせて攻撃のアイデアを消していくべき。なのに、試合をコントロールしていたのは清水で、セレッソはスピードに乗った攻撃陣を防ぐのに右往左往していた。それでは勝てない。

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後半45分+5分、高さ対策で尾亦。ポジションは不明


茂庭がいても、マルチネスがいても、昨季3位となった原動力の守備陣をもってしても、リードを5分と守れない。落ち着いて気勢を削ぐだけで守れる、そのリードが守れない。これでは攻撃陣が浮かばれないし、サポーターのフラストレーションも溜まっていくばかりだ。


何かが必要だ。流れを変え、意識を変え、チームの勢いを加速させる何か。ただ、それが何かわからない。試合中散々ゴドビに挑発され、試合後は沈痛な表情でテレビのインタビューに答えたレヴィー、その顔に生気が感じられなかったのが心配だ。

8/18/2011

敗戦から立ち上がる。

今日はどのみち生観戦なんてできなかったし、自宅はおろか自転車で5分くらいのHUBに行くこともできないのはわかっていたから、ただ念じていた。

だからこの目で見ていたわけではないけれど、モニのレッドカードってのは尋常ではないし、得点して3分後に失点なんてのを何度も繰り返しているのも酷い話だし、ミスから逆転を許すのも情けないし、助っ人として呼んだ外国人選手がただ控え枠を1つ削っているだけという現状も悲しい。
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ただ何より辛いのは、負けが続くことで、チームやサポーターが自分を信じられなくなったり、仲間を信じられなくなって、バラバラになっていくことだ。

勝っている時、調子がいい時は隠れていた嫌な感情がボロボロとこぼれて、ギスギスしている人と人との隙間に入り込んで、痛みを生む。これは、どうしたらいいんだろう?


負けている時こそ、劣勢である時こそ、苦しい時こそ、自分に何ができるか、仲間と何ができるのか、真剣に、真摯に考えるのが大事だ。喧嘩したって当たり散らしたって、勝てないんだからさ。


2011年5月24日、あの万博記念競技場を思い出してほしい。俺達はあの時点でもう10年程も万博で勝つことができなかった。そして守備の要、キャプテンの茂庭はスタンドで試合を見ることしかできなかった。それは、絶望的な気持ちだった。

それでも、俺達は勝った。一人ひとりの力は劣っても、環境に恵まれていなくても、危機意識を持って立ち向かえば、何かができることを、誰か(神様か、仏様か、知らないけれど)が教えてくれた。


そこから僅かに3ヶ月だ。乾、ピンパォンがチームを去ったこと、マルチネスの怪我、今日の小松の負傷は痛い。それでも、杉本、永井、山口ら若手は確実に成長を続けているし、今日は扇原がボランチに、CBにとフル回転したと聞いている。差し引きで言えばマイナスだろうけれど、絶望的な差ではない。

何より、俺達は変わっていない。変わらず声援を送り続けられる、変わらずチームのためにお金を落としたり、ボランティアをしたり、そういうことができる。今すべきは、口論でも個人批判でもない、変わらずに信じていると、セレッソを信じていると言い続けることだ。


俺は、今のチームを信じる、レヴィーを信じる。それは奇跡を起こすより、ずっと簡単なことだ。
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8/17/2011

凡庸なダービー記事に見る「もうひとつのライティングセンス」

明日から仕事です。うはは、行きたくない。という現実逃避からキヤノンギャラリーのJリーグ写真展を中心に梅田を練り歩いてた。

んで、茶屋町のスタンダードブックストアでチリドッグを食べながらツイッターしているとセレサポとガンバサポが何やら騒がしくて、どうやらこの記事についての批判が大多数な模様。あれだけセレサポとガンバサポが一体になった姿を見たことがないってくらい一致団結してブーイングしてた。
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とりあえずチリドックはうまかった

そもそもタイトルからして「凡戦のダービーに見る「もうひとつのサッカーセンス」」と「凡戦」を頭に持ってきているあたりに「おおっ、あおってるな」という感じがする。例え自分にとって凡戦に写ったとしても、そこから「こうすればもっといい感じになるのに!」って感情がわいてきたら、少なくともこういうタイトルはつけないと思う。
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タイトルづけ、ある意味では成功しているのかも知れない



記事は、ある意味正解で、ある意味全く見当違いだ。

確かに、夏の連戦では試合が間延びしやすい。去年のセレッソが夏場強かったのも各チームともスタミナ切れを起こして、3シャドーへの応対が後手に回ったから。

あの日のガンバにしてもキム・スンヨンが下がって中盤の構成力が下がるとセレッソに対して受け身にまわるシーンが出てきたし、セレッソもガンバの勘所を掴んだプレーをギリギリで止めたというのがいくつもあった。だから「サッカーの試合」を何度もご覧になった(と仰られている)筆者にすれば凡戦と書けるのかもしれない。
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しかし筆者はこの試合をダービーダービーと何度も書いているのにもかかわらず、結局ダービーとして観ていないというミスをしている。だから両チームのサポーターの、試合後のブーイングが試合のクオリティに対するものだと勘違いをして、それを堂々と書けるのだ。


酷い言い方をすれば、ダービーは最も「内容を問われない」試合だ。逆に言うと「結果こそ全て」の試合ということになる。どんなことになっても、相手より1点多く点をとっていればすべてが許される試合、それがダービーなのだ。まあ、ダービーをたくさんご覧になっている方に講釈をたれるのも何だけれど…。

試合前に必死になって応援合戦をするのも、コレオを準備するのも、チームに勝利をもたらそうというサポーターの意思が具現化したものだ。

選手も選手で、この試合ばかりは「負けられない」という意識が体を動かしている。サッカーとてスポーツであるから、勝利が至上なのは当たり前であるけれど、こういう大きな試合は特にそうなる。W杯の3位決定戦が気が楽になった分面白い試合が多くて、決勝が意外に凡戦なのと似ているかも知れない。

だからといって、W杯の決勝に対して「凡戦」と批難する人は少ない。それは試合の大事さを当たり前のように知っているから。


あえて言わせてもらえば、「こういうの」がいい記事と思っている輩がいるうちは、日本のサッカー文化というのは未成熟だ。本当の意味を知って書けるライターが不足しているから、「こういうの」が跋扈する。

どんなカテゴリのライターやブロガーでも、手を抜いてしまうとこういう文章が前に出て、メディアに凡庸な記事ばかりが並ぶことを危機意識を持ってとらえなければいけない。


後出しになるけれど、この試合でセレッソの攻撃の起点として奔走したマルチネスは、疲労と怪我から明日の鹿島戦に出られない見込みだ。それくらいキツイ条件の中で90分間戦っていたのだ。
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ピッチに倒れこんだ選手だって、だれも演技などしていない。サポーターならあの時へたりこんだ選手が勤勉で実直なプレーヤーだと知っている。

あの試合スタジアムにいた人々、選手、スタッフ、運営、サポーター、誰も手を抜いていたとは思わない。あえて一人上げるなら、それは満足にバックボーンや経緯を確かめずにこの文章を公に出した、筆者ではないか?

8/15/2011

じいさんへ。

天国のじいさん、おばあちゃんと元気でやっていますか?お盆で里帰りしているかな?昨日は家族3人でお墓のある堺まで行ったよ。

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じいさんが一生懸命頑張ってくれたおかげで、日本は、一時よりも衰えたりはしたけれど、相変わらず豊かな国です。

東亜がどうとか、難しいことはわからんけれど、今は中国や韓国、他の国とも、それなりに付き合ってる。たまにイラッとすることもあるけれど、じいさんの時みたいに殺し合いまではしていない。

それは大事なことやと思う。じいさんの友達は、そういう殺し合いでたくさんおらんようになったもんな。じいさんはそういう怖いところを、酷い装備で戦ってたんやな。

今は、インドネシアに行くのに、銃も、戦闘機もいらん。サッカーしに行くくらいやよ。


そういう心身ボロボロになる戦争の後、もっと酷い捕虜生活があって、帰ってきた日本は焼け野原。そんなん、気持ち折れると思うのに、じいさん頑張ったなぁ。おばあちゃんと結婚して、おかあちゃんやおばちゃん育てて、地球の片端まで仕事しに行って、ナイル川で立小便したんやっけ?すごいなぁ。

今、俺が少し身銭を切ったら、大抵のものは手に入る。じいさんやおばあちゃんが食べられへんかったようなご馳走が、たらふく食べられるよ。あまりにご馳走が多いから、今はダイエットがはやる世の中や。それはじいさんが頑張ってくれた、そのおかげやと思ってる。


昨日だって、娘と甥っ子のためにホテルのバイキング行ったら、アホほど食べもんがあって、すきなだけ食べていいって言うんよ。ステーキ肉がドンドン焼かれて、唐揚げとか、サラダとか、パスタとか、中華とか山盛りで…。でもそれがたくさん余ってた。折にでも詰めてタイムマシンに乗って、戦争終わってすぐのじいさんやおばあちゃんにも食べさせたかったなぁ。

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もう少ししたら、あべのに日本一高いビルが建つらしい。競馬場があった長居には、5万人入る立派なスタジアムがある。じいさんが大好きやった甲子園もキレイになった。あんなけケチやった阪神も、いまや金満球団言われてる。不思議やね。


その代わり、じいさんが好きやったものが、たくさん古いもんやって言われて、消えていったよ。もうじいさんが帰ってきても、ここどこやろうって思うかもな。そういうの大事にできなくてゴメンな。


今も随分きな臭いけれど、娘や甥っ子が平和に、楽しく暮らせていけるように、何とかやってみるわ。友達とか知り合いが殺されたり、誰かの友達や知り合いを殺すのはアカンよな。野球やサッカーの試合に一喜一憂できる世の中が、ずっとずっと続くようにするのが、じいさんからバトンを渡された俺らの仕事やんな。

それは、よくわかってるから、じいさんはおばあちゃんと仲良くして、はらいそで楽しくしていて下さい。


追伸

ビンゴ大会で2万円分の食事券当たったけど、あれじいさんが細工したやろ?ズッこいのはあかんで。

聖者の行進。

ダービーを観ていて、感じていて思うことは、大阪に二つチームがあることが、どれほど有難いかということ。
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試合前、ガンバサポの友人と堀内チキンライスでメシを食っていた。気をきかせてくれてチャーシューライスじゃなくてチキンライスを食べてくれて、ああ気をつけてもらって悪いなと思いながら。
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ガンバサポにすると、セレサポがもっとガッツリ攻めてきてくれたらな、という思いが強いらしい。熱く応援したいなら、オレタチのスタイルだろ!?ということで。

ただ、セレサポにはセレサポのスタンスがあって、それがあるからガンバの思想、哲学みたいなのについていかないぞ、という気持ちがある。

例えば仮にセレッソというクラブが無かったら、そういう「サッカー好きだけれどガンバのサポーターは…」って人の受け皿はないし、ガンバがなければ「セレサポあかん」って人はよりどころがなくなっているわけで、この2つのクラブが共に競うからこそ、大阪のサッカー好きの多くは救済されているのだと思う。

端的なのは、試合前の電車ジャックとか、行進。何の迷いもなくアレができるのはいい意味でも違う意味でもスゴイなと感じる。個人的にアレは「聖者の行進」と呼んでいる。
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アレをしたからと言って試合に勝てる確率が上がるわけでもないけれど、気合を入れて応援をかぶせる、相手を威圧させることで、精神的に救われたいんだろう。
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それが心の底から共感できる人間、できない人間双方がいて当たり前。


ただ、二つを分かっているのは思想哲学主義主張という精神的な要素だけで、何かアクションを起こしてチームを勝たせたいという大原則は変わらない。だから、セレサポとガンバサポは、ある部分では理解できないと感じながら、ある部分では共感しなくてはいけない。というか、しておく必要がある。


大阪はやはり未だにサッカー未開の地という現状を脱出できないでいる。前述の堀内チキンライスさんは寺田町や天王寺、美章園から歩いていけるお店なのに、ダービーの存在も、どこで試合をするのかも知らなかった。ガンバサポと二人で「3万人、4万人来るんですよ!」「すごく熱いんですよ!」って言ったけれど、ショックだった。

別にスポーツに興味がないわけではなくて、接点が少ない、露出が少ないってだけ。阪神タイガースという重石を頭に乗せたまま活動していても、そうなるわなと。

なら、ダービーではある部分でいがみ合いつつ、ある部分では共闘し、大阪のサッカー、関西のサッカーの熱さをドンドンと発信しなければいけない。京都でも神戸でも同じこと。


お客さんが呼べるすごい試合をし続けること、胸をはって「長居に」「万博に」「ホムスタに」「西京極に」と言えるようになること、それは大事なことだ。


昨日のように頑張り続ければ、世界を変えられると信じる。そうして「4万人では手狭だ!!」という未来を作ろう。
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8/14/2011

2011 J1 第21節 C大阪1VS1G大阪 The man with the golden gun.

後半31分 キム ボギョン(C大阪)
後半34分 中澤 聡太(G大阪)


今日は酷暑、大阪の最高気温は36℃にもなった。長居はスタンドが高く、屋根もある、ピッチの上はもっと酷い状態だったに違いない。

それでも両チームの選手、サポーター、スタッフは全力で頑張ってくれたと思う。日本一のダービーは大阪ダービーだと信じている。その名前に恥じない戦いだったと、ためらいなく言える。そんな試合だった。

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スタメンを見よう。やはり新外国人ファビオ・ロペスに注目が集まる。スタメンは予想通り、尾亦は丸橋のサイドの守備の塩梅で交代しようという意図が感じられる。セカンドストライカー不在が不安。ガンバも二川不在、橋本は復帰直前ながらも間に合わずで、双方手駒に不安があった。

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試合開始時


前半の前半は、ガンバが猛烈に仕掛けてきた。ラフィーニャ、イ・グノに当てて、簡単に下げて、スピードある2列目が拾ってフィニッシュという形を何度も作られる。

二人ともアドリアーノのように強引に持っていく感じではなくて、中盤や周りの選手に気を配りながらベストの選択肢を選んでいくクレバーさがあった。対するセレッソはボールを保持できず苦しい。キム・ジンヒョン、上本が白眉の出来で失点こそ無かったが、難を逃れるのが精一杯。
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上本のプレーで何度救われたか!!


ただガンバの年齢構成を考えれば、前半飛ばして精神的に優位に立ち、スコアもリードして相手を疲弊させるという意図が見えていたので、これをブレイクできたのは大きかった。キム・ジンヒョンはまた1つレベルの高いプレーをしていた。
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セットプレーの合間に茂庭達とポジション確認


前半の後半には猛攻が収まったが、それでもガンバはガンバらしく、テクニックと試合の勘所を掴んだプレーでセレッソに攻めかかる。セレッソも2列目の3人とマルチネス、両サイドがゆっくりとプレーの質を上げてきた。一進一退の攻防が続く。
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普通のコンディションなら、これくらいはしてもらわないと、という感じだけれど、今日の大阪はスポーツをするという環境ではなかった。ガンバMFでいいパスとランを繰り返していたキム・スンヨンがアクシデント(故障?体調不良?)でピッチを去り、平井がトップに、トップにいたイ・グノが2列目に入った。
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マルチネスと交錯した際もダメージが大きそうだったスンヨン

トップのイ・グノと2列目のキム・スンヨンという取り合わせが脅威だったので助かったけれど、やはりいい環境でサッカーをしてほしかった悔恨みたいなものは持っている。

この交代でガンバはプレーの質を少し下げてしまった。セレッソがようやっと息を吹き返す。
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セットプレーでも好機!

清武は代表に選ばれて、プレーの質や存在感が上がっていた。もともと他人に合わせてプレーを変えられる選手であったけれど、それにプラスして「清武らしさ」みたいな自分の色を出すようになって、それがいい方向に働いている。攻撃の核は間違いなく清武だった。
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前半はこのまま0-0のスコアレス。好機の数ではガンバ、流れで言えばセレッソ。


後半は、やはり両チームとも疲労の色が隠せない。セレッソの両サイドバック、ガンバのボランチあたりが怪しくなってきた。ガンバはショートカウンターでサイドに起点を作った時、セレッソは相手のボランチと守備ラインの間のスペースに3シャドーが入った時にいい形が作れていた。

ただセレッソサポーターから言うと小松の出来が良くなくて、シャドーと絡めずボールロストしていたのが不満だった。レヴィーも同じ気持だったのだろう、ファビオ・ロペスが満を持して長居のピッチに立つ。
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後半26分


今日のファビオ・ロペスに求められていたのは1トップとして2列目のプレーの幅を広げること、高さというファクターを作ること、チェイシングをしっかりして守備の負担を下げることだったけれど、そのどれも出来ずじまいだった。パス交換もあまりなく、トラップも雑で、この試合に関しては不合格。

ただそれはファビオ・ロペス個人を批判しているわけではない。香川は素晴らしいプレーヤーだけれども、突然センターバックをやれと言われて完璧にこなせるだろうか?ファビオ・ロペスの個性が生きるポジションを早く見つけ、連携を深めて行ってほしい。
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清武の気づかい


しかしチームとしてのプレーの質が下がったにもかかわらず、先手をとったのはセレッソだった。セレッソらしい細かなパスワークからキム・ボギョンがペナルティエリア右サイドまで歩を進める。強いフィジカルで強引に持ちだすと、左利きらしい豪快なシュートが突き刺さる!
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火を吹いた黄「金」銃


ここで試合を引き締めれば、セレッソは勝てていたはずだ。間違いなく、確実に。僅かな綻びがあったことを認めなければいけない。セットプレー、サイドからのクロスに対して受け身になってしまい。中澤の高さにやられた。先制から5分も経っていないのに!

セレッソのチーム編成はサポーターから見てもいびつなものだ。殆どの選手は地上戦に特化していて、高さという要素をほぼ無視する形でメンバーを組んでいる。ゴール前のハイボールに関してはキム・ジンヒョンにお願いしますというのが現状で、彼がノーミスで90分間プレーしなければこういう失点は避けられない。藤本をうまく使わなければこういうシーンはシーズン中あと何回か出てくるだろう(それと引き換えにドリブルで持ち込まれた時などは茂庭、上本がほぼ完璧に封じているから、変えられない。覚悟しておくべき、計算に入れなくてはいけないパターンだ)


その後の試合は、いい書き方をすれば死闘、悪く言えばガス欠同士の力の入らない殴り合いだった。セレッソはボランチから後ろがほぼ全員パンク、ガンバも明神らベテランがいっぱいいっぱい。両チームともフレッシュな選手を入れたいが、そんな駒を持っていない。歯がゆい時間。

救いがあったとすれば、倉田の気迫あるプレー。
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いつもはミスをしてもニコニコな倉田が、今日は鬼気迫る働きで、ガンバを脅かしていた。もつれ合いながらライン際のボールを取りに行くも届かない。普通なら笑ってしまうところを、ペットボトルを蹴って悔しがり、攣りそうな足をだましだまし動かしていた。このプレーを観ていて、ああ、倉田はほんとうの意味でのセレッソのプレーヤーになってくれたのだと、確信することが出来た。ようこそ、セレッソへ。

ガンバ西野、セレッソレヴィーの切った最後のカードは、J初出場の大森と、守備がもっぱらの山口螢、どれだけ苦しい台所事情かがうかがい知れる。セレッソに関して言えば、永井や杉本が見たかったという気持ちがあるので、これを隠れたミス、と言うこともできるけれど…。

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後半45分+3分


試合終了の笛がなると、両チームの殆どの選手が倒れこみ、下を向き、まともに動ける人間のほうが僅かだった。それほどの試合だったのだ。

苦しい戦いであっても全力で向かっていったガンバ、セレッソ両チームには頭がさがる。これだけの試合ができれば、大阪ダービーは日本一のダービーと胸を張って言える。この試合に関わった全ての要素が、ダービーの名前に見合うものであったことは、セレッソの球団としての勝利だったと、それだけが心の救いになっている。

また半年以上、こんな胸の高鳴りが止まらない試合ができないのは寂しいが、より強くなり、より素晴らしくなって、青黒を打ち倒せるよう精進しよう。次のダービーが今日以上に素晴らしいものになるように。