12/31/2013

今年は大変だった。来年はもっと……。 #cerezo #photo

今年ももう暮れようとしている。セレッソにとって、今年は大きな変化がたくさんあった一年だった。



年始のサポコンでは柿谷曜一朗が背番号8を継承した。それは喜びだったけれども、同時に不安でもあった。背番号の重みを誰よりも知っている人間がそれを背負った時、重圧に押しつぶされはしないかと。



開幕戦となったホーム新潟戦で決勝ゴールを上げたけれども、チームの戦力が整わない中での勝利で、不安の全てを拭うことができなかった。




でもある時から、どんなに劣勢で苦しくても、いや、苦しい時こそ、彼が救ってくれるのではないかという期待を持って、試合を見るようになった。






少しずつリズムをつかみ、勝ち方を覚えていく中で、山口螢、扇原貴宏、南野拓実、杉本健勇、山下達也らも確実にレベルアップをし、チームの中心として貢献するようになった。



彼ら若い才能は、若い女性をスタジアムに引き込んだ。「セレ女」なんて造語までできるほどで、夏以降のキンチョウスタジアムでは、試合日の一ヶ月前にチケットが完売ししてしまうなんてことも普通になってしまった。


チームの成績で観客が増減する体験は、過去何度かあった。けれど、選手個々人についたファンが練習場にまで大挙してくるなんて体験は、今までになかった。

今のクラブの力では、彼女たちの欲求を満たすのはとても苦しかったし、今までのファン層とどう住み分ければいいのかとか、面倒に感じることも多々あった。

それでも観客増が与えるプラスのメリットは計り知れないのだし、この流れを来年度以降もどう発展させていくのかが、クラブに与えられた宿題の一つになるだろう。





チームとしては、限られた戦力の中で、レヴィー・クルピの置き土産であるACL出場権獲得をどう生かして、乗り越えていくか。


新しく指揮をとるランコ・ポポヴィチにとっては、これは大きな試練になると思う。セレッソはレヴィー・クルピの仕様にカスタマイズされていて、普通のチームとはずいぶんと毛色が違う(浦和や広島ほどではないけれども)。

このチームをポポヴィッチのカラーに塗り替えていくその序盤に、アジアの列強と対峙することになる。これは相当に厳しい試練だ。チームの始動まであと一ヶ月しかないのに、そのチーム自体の形も見えてこないのだし。


厳しいことばかり言うけれども、来季は外国人選手のクオリティや選手のケガなどが重なってしまうと、相当な苦戦をすることになるだろう。場合によっては下から数えたほうが早い、降格圏とにらめっこ、なんとことも起こるかもしれない。



それでも、セレッソを応援し、鼓舞し、背中を押すための応援は続いていく。続けていかなきゃいけない。鹿島戦でのコレオは圧巻だったけれども、あのテンションが1年続けていければ……。


これまで支えてきたサポーターの「経験」と、ここからサポーターになった若い子達の「熱気」が噛み合えば、サポーターの応援もまた飛躍できると信じている。

この流れが長居や日本中、Jのある街全てに伝搬してくれればなと願う。SNSで繋がった人たちの中には、大阪から遠くはなれたところに住んでいる人もたくさんいる。彼ら、彼女達にもこの波動が届くように、まずは長居、そして大阪でセレッソという存在を確固たるものにしよう。


俺たちの街に、来年も桜が咲くように。そしていつまでも咲き誇るように。それでは。

12/30/2013

勝ち取ったACL。勝ち取れない選手。 #cerezo #photo

昨日の天皇杯準決勝で、すでに天皇杯出場権を得ている広島、横浜FMが勝利したため、リーグ4位のセレッソがAFCチャンピオンズリーグ2014への出場権を得た。日程などは既に公式に上がっているのでそちらで確認してほしい。


この出場権獲得を「棚ぼた」と揶揄する人がいるけれども、最終節のアウェー浦和戦で勝利していなければその棚ぼた自体も無かったわけで、言いたい人はどうぞとしか言えない。今年戦った選手達やレヴィー・クルピらスタッフ、クラブ関係者、そしてサポーターの苦労が報われたことは素直にうれしい。


その一方で、選手補強は遅々として進んでいないようで心配だ。獲得に乗り出した選手は殆どが他クラブへの移籍や今のクラブへの残留が決まっている。そして前回話をしたミッチ・ニコルズに関しても、提示した移籍金が2000万円と低額だったために破談になったと伝えられている。


モニさん/2=曜一朗 残酷な計算。 #cerezo #photo」でも書いたけれども、セレッソは成績とは裏腹に緊縮財政の方向へと向かっている。すでに今年の年俸上位10人のうち5人までを放出し、枝村匠馬、横山知伸とも未だに契約更改をしていない。数字の上では総年俸の40%以上を削っている計算になる。

今年活躍した柿谷曜一朗や山口螢、南野拓実には大幅増をしているはずなので、額面通りにはなっていないだろうけれども、このままの戦力でACL、そしてリーグ戦を戦うのは非常に危険だ。


前回、2011年のACLでは主力のキム・ボギョンが全北現代の選手に鼻を折られるなど負傷者が続出、乾貴士、清武弘嗣、キム・ボギョン、倉田秋、マルチネス、茂庭照幸、上本大海らを揃えながら満足な戦いができなかった。

FWとして期待されたホドリゴ・ピンパォンや中盤での展開力を買われた中後雅喜がチームにフィットしていなかったこともマイナス要因ではある。けれども、選手層や選手獲得に対する意識が当時よりもさらに酷くなっている今回は、それどころでは済まないかも知れない。


貧乏なのはチームが立ち上がった20年前から知っている。けれど、使わなければいけないところにはキチンと投資しないといけない。チームが成績を残し、ファンも増えた、なら、次はクラブが力を出す番ではないのか?

このままでは西澤明訓の穴を埋められなかった2001年、ファビーニョ、久藤清一らの穴を埋められなかった2006年と同じか、それよりも悪い状況になる可能性がある。どちらもリーグ戦で下位に低迷し、降格した年だ。そんなことになれば、育成が手塩にかけて育てた選手も、事業部がなんとか勝ち取ったスポンサーも根こそぎ剥がされる。そんな思いは二度とゴメンだ。


セレッソというブランドを確固たるものにするならば、来年は勝負掛けの年になる。一部の他クラブのような、無闇矢鱈な補強をせよとは言わないが、それなりの姿勢を見せてほしい。

12/28/2013

【拡散希望】ブラインドサッカー世界大会を、セレッソピンクに染めてやれ。 #cerezo #burasaka

仕事納めの夜。俺は本間勇輔さんに呼ばれて西大橋まで寒風を切って駆けつけた。そこで来年11月に東京、代々木で行われるブラインドサッカー世界大会、それに合わせて2月16日(日)に大阪舞洲、セレッソ大阪の天然芝ピッチなどを利用して行われるプレイベントの打ち合わせをするためだ。

つい最近までセレッソの試合を彩る音楽や演出を一手に引き受けた大先生だ、緊張しないはずはない。ハイボールを飲んだけれど、酔いきれなかった。


さて、いろいろと整理して話をしよう、まずは今回関わっていくブラインドサッカーについて。

簡潔に言えば、フットサルコートと同サイズのピッチで行う視覚障害者のためのサッカーだ。視覚障害の程度によってB1、B2、B3とカテゴリー分けが成され、全盲、またはそれに近い障害を持つ人達が行うB1というカテゴリーでは、今回のような世界大会が行われている。詳しくは「Voy!Blind Soccer 日本ブラインドサッカー協会」のページをご一読願いたい。

ただし、ここを読まれている殆どの人がそうであるように、そして今日までの自分がそうであったように、日本ではまだまだ認知されているとは言いがたい。また日本代表と言っても満足な環境が与えられていないのが現状なのだそうだ。

これには二つの理由がある。

一つは縦割り行政の弊害、健常者のスポーツは文部科学省が管轄しているが、障害者スポーツとカテゴライズされるブラインドサッカーは厚生労働省が管轄している。そのため、文部科学省が保有しているオリンピック選手の強化施設などは全て使用することができない。また、学校の授業でも取り入れられていない。親しむ場、強化する場が全くないのだ。

また、社会的な背景も大きい。視覚障害者の方の多くが鍼灸師を目指す中で、サッカーはフィジカルコンタクトが多く、鍼灸師として大事な手の負傷を恐れる人がとても多いのだという。競技人口が増えなければすそ野は広がらない。

しかし、サッカーの持つ熱はブラインドサッカーにおいても強いものがある。実際にプレーされた方の多くは、若くからこのスポーツに親しみたかったと感想を持たれるそうだ。スポーツとしての魅力は他のスポーツのそれに引けをとらない。

来年行われるブラインドサッカー世界大会は、日本で閉塞している障害者スポーツの現状をブレイクする好機、これを活用できるか否かで、今後の歴史が変わってくる。

俺に話が舞い込んできたのは、その先鞭にセレッソも、セレッソに関わる人々も加われという、本間さんからのメッセージなのだと受け止めている。俺一人で全部やれとか言われたら、小水を漏らして布団の中で怯えているよ。


さて本題。本間さんは俺にイベントに協力するセレッソ大阪の「美しさ」、「素晴らしさ」を表現できる映像、画像を用意してほしいと依頼された。プレイベントでは映像と音楽による演出をメインに据える予定で、音楽は本間さんと高木まひこさんたちミュージシャンの方々が、映像は俺が作るのだ。なんてアンバランスなんだろうと頭を抱えたけれど、受けてしまったものは仕方がない。

とっても真面目なんだけど、仕事上ポーズをとっている。大変な仕事。

音楽は、それはもう期待を超えるものができてくるだろう。そうなったら映像だって負けていられない。

本間さんの方ではいろんなアイデアがあるようだ。セレッソ、そのホーム長居に集う人たち目線での映像はどうか、セレッソのインプレー中の写真で、美しさ、素晴らしさを伝えるのはどうかという案をいただいた。どちらもいいものができるよう、すでに準備を進めている。





サッカーが何よりも素晴らしいのは、誰一人「傍観者」がいないことだ。選手、クラブ、サポーター、立場は違えど皆試合中戦っているし、試合以外の部分でも活動を続けている。それはブラインドサッカーでも同じで、この様々な立場の人間が垣根を超えて手を取り合える素晴らしさが伝えられたらと考えている。

今年セレッソがブームにまでなったことで、日本中でセレサポが増えた。知っている人では、青森から熊本まで、恐らく日本のあちこちで、グッズ通販やファンクラブ会員を利用して、セレッソを身近に感じたいと願っている人がいる。その想いを一つに繋げられるアイデアを探している。これはもう少し練ったほうがいいか。

とにかく、賽は投げられた。後はどれほどいい目を出せるかだ。賽の目は運次第だが、この勝負はアイデア次第、努力次第。ならば6以外を出すつもりはない。


こういう無理難題以外にも、サポーターのみんなに手伝ってほしいことがたくさんある。人数は多ければ多いほどいい、余るなんてことは絶対ない。

例えば今回のイベントでは天然芝のピッチを使うため、ブラインドサッカーに必須のピッチを囲うように置かれるフェンスを設置できない。代わりに人々が手を繋ぎ、壁となって選手を守らなければいけない。イベントにも手伝える人手が必要だし、その全てが善意に託されている。

もし、俺は、私は、西中島なんかよりはるかに役に立ってみせる、できるはずだという人がいたら、それは最敬礼でお迎えしたい。

また、このイベントでは有名選手、皆がルーキーイヤーから知っているような選手のアイテムがオークションに登場するそうだ。そこにだけ興味がある、という人も歓迎する。それもまた強化につながるのだし。


窓口ができていないほどの見切り発車だけれども、失敗すればセレッソの名折れになる。見せてやろう、セレッソの底力を。見せてやろう、大阪の底力を。

12/26/2013

楠神順平の反撃。 #cerezo #photo

今年、一番契約更新してくれない選手じゃないのかなって楠神順平が、残ってくれた。


楠神は、撮っていてとても楽しい選手だ。ドリブルの時、前傾姿勢になって躍動感がある。手足を広げて大きく見せる迫力、その様を捉える「快楽」は、デジ一と望遠レンズを持った人にぜひ味わってほしいものの一つだ。


その一方、撮っていて難しい選手の一人が柿谷曜一朗だ。彼はいつもルックアップしていて姿勢がよく、動画で見れば驚くようなとんでもないことでも、一枚に捉えるとなんでもないようなプレーに見せてしまう。躍動感を表現するのが難しい。


それほどアグレッシブにピッチを駆けても、楠神はセレッソでのファーストシーズン、ただの一度もゴールを奪えなかった。あと一歩でというシーンはたくさんあった、けれどその一歩を踏み込めなかった。


そうして、最終節浦和戦の交代。アウェー埼玉で2-5の大勝なのに、このシーンばかりが頭に残って、帰りの新幹線、眠ることができなかった。

後味が悪い時間が長く続いて、ストーブリーグが始まって、選手の移籍報道が毎日のように紙面を賑わせるようになった。その日が来るのかと憂鬱な気持ちになったけれど、いい意味で期待を裏切ってくれた。

CEREZO OFFICIAL

【13/12/25】契約更新について(楠神順平選手)

下記の選手と2014年シーズンの選手契約更新に合意しましたので、お知らせいたします。
 ※12月25日現在
 ≪楠神 順平(くすかみ じゅんぺい)選手≫
(後略)

なんだろう、ホッとした。彼にはまだチャンスがある。桜の戦士としてピッチを走りぬけ、ゴールを奪う権利と義務を得たのだ。それは幸せなことだ。


さあ、もう一度走りだせ、そして、もう二度と繰り返すな、今度こそ、今度こそ、最初のゴールを、最初のタイトルを。


12/23/2013

残る人、去る人、来る人。 #cerezo #photo

久しぶりの更新になる、気恥ずかしい。

セレッソは粛々と契約更改が進んでいて、今年いた選手では(現時点で)キム・ジンヒョン吉野峻光、秋山大地、小暮大器藤本康太酒本憲幸南野拓実山下達也 が来期も契約を結び、FC長野パルセイロのJFL優勝に貢献した岡田武瑠もレンタルバックされた。




今年の4位躍進は柿谷曜一朗の覚醒とリーグ3位の堅守があったればこそなので、両センターバックと正ゴールキーパーの残留は嬉しい限り。また、トップ下、サイド、どこでも驚異的な攻撃力を見せてくれた南野拓実の存在も大きい。それに吉野峻光がチームに復帰すれば、来期のセレッソのキーポイントになるであろう2列目の選手層に厚みが出る。ケガからの復帰は春の終わり頃になるだろうが、焦らずに待とう。

一方で、レンタル移籍していた夛田凌輔はレンタル先のザスパクサツ群馬に完全移籍、MIOびわこ草津にレンタル移籍していた野口直人は公式発表こそないがトライアウトに参加していて、来期の契約は結ばないようだ。若手でも結果が残らなければ移籍、厳しいかもしれないが、保有選手枠の関係を考えると、小暮大器、秋山大地を育てることで手一杯なのかもしれない。

また、茂庭照幸はタイ、バンコク・グラスFCに完全移籍。さらに不確定な情報では横山知伸に対し大宮が獲得に乗り出しているというニュースもある。


横山の場合は、出場できなかった理由が自分自身の不調によるものではなく、扇原貴宏、山口螢といった代表、それに近しいクラスの選手が、一年を通して怪我無く出場し続けたためなのだから、活躍の場を求めてボランチが抜けた大宮に移るというのは正常な判断なのかもしれない。

ただ、それはあくまで横山本人からの視点で、セレッソにとっては大きな戦力ダウンになる。黒木聖仁、秋山らが成長すればある程度の算段はできるけれど、これは不確定だし、数少ない「高さ」というエッセンスを持った存在を失うのも痛手だ。

その他の動きとしては、扇原とニュルンベルクとの移籍交渉が難航、FC東京の長谷川アーリアジャスールを獲得か、などというのがあるけれど、まだまだ不透明すぎて信憑性も無い。特に長谷川アーリアジャスールに関しては2列目といっても求めているタイプとは違う選手で、大枚をはたく理由が見つからない。

もう一つ、今日はいってきたニュースではオーストラリア代表の若手選手ミッチ・ニコルズを獲得するのでは、というものがある。


動画を見ていただけるとわかるのだけれど、オフザボールの動きがうまく、高さもある。ただし、ボールを持ってからの動きが動画中皆無なので未知数ではある。こちらも目指すべきタイプの2列目ではない。

今年シンプリシオがしていたボールを落ち着ける役目を誰がするのか、それとも、何か違う方法(山口、扇原、南野らによって強力なボックスを作り、そこで保持するなど)で代替するのか、移籍情報、更新情報を確認しないと不確定だ。

ソアレス監督の時のセレッソはそういう「持って遅攻」という選択肢がなく、清武弘嗣、キム・ボギョンが速攻を仕掛け続けるサッカーだった。それで息切れし、手詰まりになった。今年何度もあった柿谷へのロングボール一閃だけでも厳しい。もう一つ二つ選択肢が必要なのだけれど、財政的にその余裕はないのだろうか。



しかし、損得勘定を抜きにして、今年あれほど魂を送り続けてきたチームがバラバラになっていくのを見るのは物悲しいものがある。停滞は後退と同意のサッカーという存在を愛しているがゆえ、財政的に恵まれていないセレッソというチームのサポーターゆえの苦しみかもしれないが、毎年12月は憂鬱だ。せめて、天皇杯に勝ち残ってくれていれば、情熱の向けどころもあるのだけれど。


次に桜が咲くのは、いつごろになるのだろうね。