上位同士の対決が続く7月の初戦は、難敵の仙台。セレッソとは逆に堅い守備を身上とする。最強の矛と最強の盾がぶつかった時、激しい火花が飛んだ。
スタメンとリザーブ。マルチネスの代役は濱田。黒木と二人で穴を埋めることになる。リザーブでは攻撃的な選手が西澤しかいない。攻め勝った上で逃げ切る公算だったか。
こうした大一番の試合では一つのミスが致命傷となりかねない。ところが最初にミスを犯したのはセレッソだった。ラインの裏を取られること1回。キム・ジンヒョンのキャッチミスが1回。
その他にも質の低いプレーが続き、不満の残る立ち上がりだった。特にダブルボランチに安定感が無い。仙台のチェックに合うとすぐに危険な位置でボールをロストしてしまう。それが過ぎると二人とも消極的なパス回しを優先するようになってしまった。特に濱田の判断の遅さ、パスワークは問題。もっと出来るプレーヤーなのだけれど。
反撃の糸口はやはり香川、乾の二人。味方ボランチの前までプレーゾーンを下げ始めると、スピードにのって相手守備陣に切り込み始める。特に乾のキレが抜群。執拗なチェックがある中で何とかシュートまで持ち込む。今日はチームトップとなる5本のシュートを放っている。殆どがオンターゲット、もしくは惜しいシュート。
それでも仙台のブロックは崩れない。特にエリゼウは素晴らしい働きだったと記憶する。小松との空中戦に競り勝ち、香川、乾のドリブルを防ぎ続けた。セレッソサポーターとすれば厄介な存在だった。
後半になると両軍に少しずつスキが生まれ始めた(前半のテンション、パフォーマンスを90分間続けるのはかなりのハードワークで、仕方の無いこと)エリゼウに抑えられていた小松もラインの裏を突き1対1の好機を作る。しかし今度はGK林の壁が待っていた。シュートは間一髪弾かれゴールならず。
対する仙台もカウンターに活路を見出す。セレッソのように相手陣内深くでのポゼッションから得点機を作るチームだとこのカウンターが効果的に決まる。3バックのサイドに両FWが流れ、守備が混乱。ただしセレッソも意気高く、ギリギリで凌ぐ。
この混沌を正すべく、西澤登場。
後半24分
ところが仙台も粘る。DFラインがなかなか崩れず難儀。逆にセットプレーからゴールを決められてしまうも、ここは主審村上伸次のファウルとの判定に救われ、スコアは変わらず。
最後は、体を張っての消耗戦。石神が痛む、乾が痛む、江添が痛む。仙台のプレーヤー達も何度と無くピッチに倒れこんだ。
仙台にはポスト直撃のシュートがあり、セレッソにも乾の素晴らしいコントロールのシュートがあった。しかし、ゴールは遠い。
セレッソの2枚目のカードは平島。スタミナ切れを起こしていた酒本に代わって右サイドに。ただしプレーする時間は殆ど無く、タイムアップの笛を聴くことになった。
後半44分
隣の芝生は青いというが、当初描いていたゲームプラン通りに試合を進められていたのは仙台だったように思う。90分間を通じて何をするべきか、個々人が正しく理解していた。対するセレッソはそのリアクションに終始してしまい、ここぞという流れが作れずじまいになってしまった。
ただし結果だけを見れば、セレッソにとって有利なものとなった。仙台は良いサッカーをしていただけに、勝ち点3をあげて上位に食い込みたかったはず。それを許さず、勝ち点差を維持できたのは素晴らしい事だ。試合終了直後に林が倒れこんだのがその証拠ではないだろうか。
7月初戦、無難な結果を手に入れられたことをまず祝おう。次節栃木戦ではカイオが、さして湘南戦ではマルチネスが帰ってくる予定だ。決して楽観視は出来ないが、昨年の第2クールを考えればまだ戦える環境が揃っている。
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