7/13/2009

J2 第27節 C大阪3VS4湘南 誰がセレッソを殺したの?

前半15分 坂本 紘司(湘南)
前半33分 濱田 武(C大阪)
後半4分 香川 真司(C大阪)

後半14分 アジエル(湘南・PK)
後半21分 香川 真司(C大阪・PK)
後半24分 坂本 紘司(湘南)
後半41分 永田 亮太(湘南)


今日、セレッソは一度死んだ。今年一番だった濱田の働きを、2得点をあげた香川の奮闘を、復帰直後のゲームだというのに90分間走り続けたカイオの頑張りを、そして今日スタジアムに来た1万8146人の観客のうちの、殆どの人が望んだ夢を壊して死んだ。


誰がセレッソを殺したのか?


スタメンとリザーブに大きな動き。出場停止の小松、乾が外れ、カイオが復帰、濱田は2シャドーの一角に入り、攻撃の核をになう。西澤のコンディションはまだ戻らない様子で、攻撃的リザーブは苔口のみ。

DSC_195901.jpgアジエルとしばし談笑


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立ち上がりは湘南のペース。堅い守備でセレッソの攻撃をサイドに押しやり、攻めは早く、戻りもしっかり。ジャーン、村松、田村の三枚が常にトライアングルを形成し、守備に専心しているので真ん中からの崩しは難しい状態だった。タフなゲームになる予感がした。

DSC_201101.jpg香川には常に田村がついていた


先制点を奪えば負けの無い両チームだけに、相手守備にどう切り込むのか、相手の攻撃をいかに防ぐか、両チームの全員が早い段階から集中していたはずだが、前半15分という早い段階で湘南が先手をとった。シュート自体は素晴らしいもので、これを防ぐのは厳しい。だがその一歩手前のプレーはどうだったろう?失点の前のプレーの雑さが後々になってひびいたように思う。

点をとればその後の試合運びは慣れたもの。セレッソはいい守備からカウンターを食らうという悪い流れに引き込まれていく。

それを救ったのは濱田だった。コーナーキックが鋭く弧を描き、キーパー野澤の伸ばした手のその先を通過して、ファーのサイドネットに突き刺さった。1-1。前半をタイで迎えられたのは大きい。濱田のコメントを読む限り、ラッキーパンチがヒットしたような状態だったから、この時点ではむしろセレッソの方がついていた。

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後半、その勢いにのってセレッソが攻勢に転じる。前半の半ばあたりから攻撃陣のシュートの意識が高く、これがいい方向に向いていた要因だった。その中でも濱田、香川が堅牢極まりない湘南の中央を破って奪った勝ち越し点は素晴らしいものだった。湘南のジンクス、選手の無意識の中にまであった自信を奪う絶好の機会だった。

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幸運は続く。アジエルの突破を防いだプレーをPKと判断され、同点に追いつかれた10分後、今度は香川の右サイドからの突破を止めた湘南がPKをとられ、再び3-2とリードする。今日の主審家本を色眼鏡で見るわけではないが、セレッソのPKは釣り合いを取っているようにも見えた。

DSC_222601.jpg一度蹴りなおしを宣告されるも落ち着いてゴール


さあ、問題はここから。試合巧者の湘南を向こうに回して、後半21分で1点のリードも、中盤の運動量は落ち、ポゼッションを少しずつ奪われ始めている。さらに1点をとってより優位に立つか、それとも逃げ切りの為に守備を固めるか。そして選手のカードはどう切るべきか。レヴィー・クルピは勝利に最も近い選択をしなければいけなかった。

素人の傍目では明らかに中盤が破綻しかかっていた。シャドーとボランチ、ボランチと3バックの間が空いていて、そこを基点に攻撃を仕掛けられていた。二人のウイングバックはだだっ広いサイドのスペースを埋めるだけの運動量が無くなっていたところにこの状態で、殆ど機能していない。カードはまだ3枚残っていた。湘南は後半一枚カードを切っていたので、あと2枚のカードを切られてもそれに対応する事も出来た。

普通ならボランチとウイングバック、中盤のテコ入れをするだろう。しかし、実際に投入されたのはFWの苔口だった。黒木が抜け、カイオ、濱田がそれぞれ一列ずつポジションを下げる。

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好意的に考えるのなら、攻撃を活性化させることで相手のプレーエリアを押し下げようという意図があったのかもしれない。しかしせっかくシャドーの位置で生き生きとプレーしていた濱田はボランチの位置で輝きを失い。前線でのチェイシングも減ってしまった。結果として守備陣は湘南の猛攻にさらされることになった。両サイドにはスペースがあり、センターには田原がいる、湘南はさぞ攻めやすかっただろう。

DSC_198101.jpg最後は田原を封じきれず終戦


同点に追いつかれたゴールは右サイドから易々とクロスを上げられ、ファーサイドにいたフリーの選手が決めたもの。4点目は田原のポストプレーを止められず、ゴール前でポイントを作られたところを中盤から飛び込んだフリーのプレーヤーが奪ったもの。2点とも中盤のプレッシングが緩慢になったことが遠因になっていた。

時間を巻き戻すことは出来ないが、もしレヴィー・クルピが藤本や平島など守備に長けたプレーヤーを投入していたら、結果はどうなっただろう。少なくとも、あれ程の醜態をさらすことにはならなかったはずだ(失点や結果はともかくとして)今日は何かが狂っていた。おかしかった。


結果として、セレッソは後一歩、もう少しのところで、またも平塚の後塵を拝すことになった。湘南の「先制点を取れば必ず勝つ」というデータもそのまま。失ってしまったものはあまりに多く、この状態で甲府戦をむかえるのは頭の痛いところだ。

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