2/04/2005

苦心の24名。

 カザフ戦、シリア戦の4-0、3-0という結果に一番驚いているのは、実はジーコ自身かもしれません。この「国内組」の「俺達は決して海外組より劣っているわけじゃない」という強いメッセージを、彼はどんな気持ちで受け止めたのでしょうか。

 代表を意味するポルトガル語である「セレソン」とはセレクション、つまり「選抜」という意味が有ります。時折セルジオ氏が代表を選抜と言ってしまうのはそういうわけなんです。今回の北朝鮮戦に向けた「選抜」には、さぞ苦労が有ったものと思います。

 恐らく一回は頭を抱えたはず、多分2、3回は少し薄くなった髪をかきむしったかも、ひょっとしたら10回くらい「ワシェキー」と唸ったか。


 そしてついに、彼なりのメッセージが出来上がりました。

FW_NEWS

中村、高原がメンバー入り/北朝鮮戦日本代表メンバー

■18名は当日発表
 シリア戦から一夜明けた3日、日本サッカー協会は9日のW杯最終予選対北朝鮮戦に臨む日本代表メンバーを発表した。新たに加わったのはレッジーナの中村とハンブルガーSVの高原の2名だけで、海外組はマルセイユに移籍した中田浩を含む3名。稲本や中田英、小野らは外れた。

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◇日本代表メンバー
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��2・土肥洋一(F東京)  23・川口能活(磐 田)
 1・楢崎正剛(名古屋)

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��7・三浦淳宏(神 戸)   2・田中 誠(磐 田)
��5・茶野隆行(磐 田)   5・宮本恒靖(G大阪)
 3・松田直樹(横浜M)  14・三都主 (浦 和)
��2・中澤佑二(横浜M)  26・坪井慶介(浦 和)
��1・加地 亮(F東京)

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��6・藤田俊哉(磐 田)  15・福西崇史(磐 田)
 8・小笠原満男(鹿 島) 10・中村俊輔(レッジーナ/ITA)
��9・本山雅志(鹿 島)   6・中田浩二(マルセイユ/FRA)
 4・遠藤保仁(G大阪)  30・阿部勇樹(千 葉)

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��1・鈴木隆行(鹿 島)  20・高原直泰(ハンブルガーSV/GER)
��8・玉田圭司( 柏 )  31・大黒将志(G大阪)


 ジーコの出した返答は「海外組」偏重からの方向転換。高原、大黒、阿部、坪井以外はほぼ昨年のアジアカップに出場したメンバーそのまま。個人的にはジーコが代表監督になってから最も納得のいく人選となりました。

 もちろん100点満点というわけにはいきません。不調が続く高原がどれだけ使えるのか、両サイドの層が薄くはないのかなど、不満な点は多々有ります。

 しかし個々の能力以上にチームとしての一体感を求めるジーコの選抜方法の基本を考えれば、大黒、阿部が加わっただけでも大きな驚きです。私個人の感想を言わせてもらえれば、ヒデ、小野、稲本の見送りよりも、それは大きなものでした。


 今回は18名まで絞り込めず、最終的な決定は当日というのも、ジーコの苦悩を表しているような気がします。ひょっとしたら高原が試合に出ずにとんぼ返り、なんて事も有るかも。なんてのは意地悪でしょうかね。

 18人に絞り込むのに難儀をするのは、少なくとも無理やり18人をかき集める難儀よりもずっと贅沢なものです。それだけ層が厚くなったのだ、そんな日本が負けるわけがないと、そう考える事にしましょう。






2/03/2005

代表応援の難しさ。

 いつもはブログばっかり見て回っているせいか、それともゴール裏で声をだしているからか、代表の応援に関しても「見る人」の立場からではなくて、どうしても「する人」の立場から物事を考えてしまうんですが、吉沢康一氏が記事の中で、昨日のシリア戦での応援について書かれていました。純粋に「応援を見る」立場の文章って意外と少ないのですが、正直酷評です。

 それにしてもスタンドの応援も酷い。単調で同じ歌ばかり。どうして「ジンギスカン」なのか? 試合の流れに関係なく、あの歌を聞き続けるのは正直言ってかなり辛いものがある。


 確かに昨日の試合ではアイーダとジンギスカンが殆どで、選手も名前のコールだけ。小笠原が鹿島で使われている「オー、オーオオー オガサワラー」ってコールを受けているところも有りましたけれど、単調っていえば単調でした。

サポーター


 でも「する側」から見ると、代表の応援を組織的にするってホントたいへんなんですよね。クラブチームほど試合が有るわけではないし、普段は試合なんか観ない「代表だけ」サポーターもたくさんいるからクラブで使ってる選手へのコールも使えないことの方が圧倒的だし。

 コールリーダーがスタンドの各所に陣取ってコールの指示をする。っていう方法も有るんでしょうけれど、下手すると「あいつは何様だ」って話になっちゃいますものね。

 スタジアムの全ての人間がある程度コールを覚えていて、ゲーム展開によって自然発生的にその場に合ったコールをするのがベストなのかもしれませんけれど、そこまでいろんな事をライトなサポーターにも強要していいものなのかというのも有りますから。


 今の状態から考えると、試合前にサポーターグループが「お手本」を示すのがベターなのかなぁ。それにしたって今の代表戦はそのグループなりがまとまって観戦できるようなチケットの発券をしていませんし、辛いですね。


 代表の仕上がりに比べて、サポーターの仕上がりの方が遅いなんて考えもしなかった事態ですけれど、これってホント深刻な話なんですよ。

 よくサッカーを知らない人に「ホームとアウェーでチーム力に違いが出るのはおかしい」と言われるのですが、そういう時はいつもマラソンを引き合いに出す事にしています。

「例えば自分がマラソンをしているとして、沿道から『がんばれ!』『もう少し!』と励まされながら42.195㌔を走るのと、『転んでしまえ!』『負けてしまえ!』と罵声を浴びながら42.195㌔を走るのとでは、どっちが走りやすい?ホームとアウェーでは違いが出て当たり前だよ」

 でもこの例えはホームがキチンとホームとして機能してこそはじめて通る道理、今のように「単調だ」と言われるようなサポートしか出来ないなら、かなり厳しいですよね。


 泣いても笑っても北朝鮮戦まであと一週間。まさか「美女軍団」にコールで負けるなんて事は無いと思いますが、試合のチケットを持っている人は力の限り代表を応援してきてほしい。ピッチにいる代表が「サッカー日本代表」なら、スタンドにいる人達は「サポーター日本代表」なんですから。






日本3VS0シリア 国内組のプライド。

 得点シーンこそどれも素晴らしいものでしたが、いろいろと心配なポイントが有った試合だったのではないでしょうか?

 この試合、個人的には二つのポイントに注目していました。

1.守備意識の高い中東のチームからいかに得点機を作り出すか

��.速いカウンターで生まれる小人数同士の局面(3対3等)をいかにやり過ごすか



 まずはスタメンから。カザフ戦のスタメンをベースに、3バックの中央を松田から怪我明け宮本に変更。身体能力においては松田に遅れをとる宮本が、どのように相手の攻撃に応対するのか。

シリア戦スタート


<シリア戦スタメン>


 前半は正直チーム全体の動きが緩慢だった印象が有ります。特に目に付いたのは奪ったボールを、ファーストタッチのミスから、危険な位置で奪われるシーン。攻撃を急ぐあまりブレーが雑になり、自陣深くで相手プレスの網にかかり、守備の建て直しが効かないまま相手にフィニッシュまで持っていかれるという場面が少なくとも3回は有りました。

 シリアのフィニッシュが不正確であったり、シュートがジャストミートしていなかったりで、失点こそ無かったものの、シュートコースを作られてしまったのは反省点。

 サイド攻撃のオプションとして中澤か田中が上がる事が有りますが、そういう時は大抵ボールをロストする位置が高く、危機意識も働くのか逆にディレイさせる事が出来ていました。むしろ相手のセットプレーのセカンドボールを奪取した際などに、この傾向は顕著でした。


 そのサイド攻撃、人数をかけて守備をしく相手にも効果がありました。三都主のミドルは右サイドに相手を引き付けた為に、逆サイドにフリーなスペースが出来たところを突いたもの。また先制点となった44分の鈴木のヘディングも左右からの連続したサイド攻撃が実ったものでした。こうした横の揺さぶりの精度が上がってきたのは好材料。特に三都主は果敢にサイドを突いていました。


 前半は1-0、後半スタート時もメンバー変更は無し。


 ここで試合に思わぬ横槍が入ります。後半半ばに相手選手が警告2枚で退場してしまったのです。

 この試合の審判は親善試合にしてはかなり厳しくカードを出していたのですが、まさか退場者まで出すとは思いませんでした。ちなみに第四の審判は「危険なジョージ」こと柏原氏。ちょっと偏りがあったような…。

 ただこれでシリアは堅守速攻の古典的な中東サッカーを披露し始めました。テストマッチとしては良いシチュエーションだったのではと思います。

 ジーコもこれを機に後半30分過ぎから遠藤に変えて中田浩二を投入。さらにその後田中誠を下げて本山を入れ、三都主-中澤-宮本-加地を最終ラインに4-4-2(実質的には三都主、加地がかなり高い位置に入る2-4-4のような形)へとシステムを変更します。

シリア戦後半30分


<シリア戦終盤>


 この流れの中で小笠原が素晴らしい飛び出しを見せ、トドメの3点目を決めます。カザフ戦でもいい動きを見せていましたが、得点という結果が出たことで、小笠原としてもより自信を深めた事だと思います。ジーコとしても北朝鮮戦をどのようなメンバーで臨めばいいのか、嬉しい悩みが出来たことでしょう。


 攻撃のバランスはこれ以上無いというほど完成に近づいています。ポジションチェンジとそれに対するフォローなど、アジアカップよりもさらに錬度を増しているように感じました。

 ただまだカウンターに対するツメの甘さのようなものも残っています。これから予選で星を取りこぼさない為に、慢心する事無く、チームの強化に努めて頂きたいですね。