5/26/2008

J2第16節 岐阜0VS5C大阪 蘇生。

前半31分 ジェルマーノ(C大阪)
後半10分 カレカ(C大阪)
後半27分 古橋 達弥(C大阪)
後半32分 古橋 達弥(C大阪)
後半35分 ジェルマーノ(C大阪)


 私が知っているセレッソは、強い者に強く、弱い者に弱かった。選手は一度落ち目になるとリカバリに随分と時間を要した。要するに若干「どんくさい」チームだった。今のセレッソは随分と変わった。強い者にも歯向かい、弱い者も粛々と狩る、いい意味で残酷なチームになった。その上私も含め多くのサポーターから助っ人失格と揶揄されたカレカ、怪我明けの古橋、試合はおろかベンチからも遠ざかっていた濱田がそれぞれ結果を残した。非の打ち所がない試合だった。


 この試合最大の関心事は、言うまでも無く「香川の穴をどう埋めるか」方法は二つあった。一つは今までのシステムを踏襲し、香川のポジションに代役を立てる方法、いま一つは、違うフォーメーション、違うコンセプトのチームを作る方法。

 大抵の場合は前者が選ばれる。計算が立つし、差分は本来のプレーヤーと代役のプレーヤーのそれだけに収まると考えられるからだ(チームプレーが基本のサッカーの場合、実際はそれよりも大きな差が出てしまうのだけれど)

 しかし今年のセレッソは前節でもあった通り、二つのシステムを併用している。香川、柿谷、小松のテクニックが生かせる4-3-2-1が組めなければ4-2-2-2がある。トップの一角がカレカであったのは驚きだったが、今回はタイプの違う小松とのコンビだった。これが今節のプレーに繋がったのではないだろうか。

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 前半、特にPKを得るまでの流れは一進一退だった。セレッソは思っていたよりもクオリティを落とさずに試合に臨んでいたが、岐阜もホームの意地、練磨されたチームの連携がある。第1Qでも手を焼いた片桐はやはり素晴らしいプレーヤーだ。個人でゴールを狙うプレーも危険だが、彼が起点になるプレーでも大いに苦しめられた。ミドルで一、二度、それ以外にも一度厳しい局面があったが、相澤のセーブやシュート精度に助けられた。


 PKを得られたシーンはなんでもない遅攻から生まれた。ゴール前でのひらめきとテンポの良さが相手の守備に穴を作らせた、そしてそれをアレーと柿谷が見逃さなかった。

 一度リードすればこちらのものだ。一ヶ月以上負け知らずなのだから、優位に立った時間帯での立ち振る舞いは判っている。流れは未だ流動的ながら少しずつやりたい事をやりたい様にし始められた。柿谷、古橋は途中からポジションを移動したが、この微調整も上手くいった。前半の残りは攻める岐阜、いなすセレッソという格好。


 後半は二つに分けて話をしたい。3点目を古橋が奪うまで、つまり岐阜が戦意旺盛だった時と、それ以降だ。

 まず岐阜について。大差がついたがそれは岐阜がそれ程のものだったからではない。前半同様後半立ち上がりの岐阜も危険極まりない攻撃を仕掛けてきた。肝を冷やしたのは一度や二度ではない。ただ守備にほんの小さな、僅かな隙間があった、ただそれだけだ。同じような隙間はセレッソにもあった。それを突けたか突けなかったかの違いだ。

 この試合岐阜が作った2度目の隙は後半10分のショートコーナーだった。セレッソの各選手に付いていたマークがずれる。ゴールを決めたのは不振を極めていたカレカ。

 カレカは今年一番の出来だった。個人的にもコンディションが良かったようだし、小松がいることでポストをする必要がなくなった分、生き生きとプレーしていた。ゴールという結果がついてきたことで次節以降にも期待が出てきた。新外人の噂もチラホラ出ているようだが、それも起爆剤になったのだろうか。

 それでも岐阜は攻めの姿勢を崩さなかった。後半で目立ったのはプレスキッカーの梅田。セットプレー、ミドルで寿命を縮めさせてくれた。

 この状況が変わったのはセレッソの今日唯一となった選手交代から。カレカout濱田in

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 この交代で古橋が一列上がり、本職であるゴールゲットに専念できる位置についた。濱田は濱田で久々の出場、ここで結果を残さなければ取り残されるという気持ちもあったろう。かくて攻撃陣の貪欲さはその鋭さを一層増すことになった。3点目を幸運と呼ぶこともできるだろうが、その幸運を手繰り寄せたのは前線の攻撃に対する意識の高さがあったればこそだ。そしてこの3点目で岐阜の心が折れた。


 試合の趨勢を考えればこの3点で過不足はない。ただしリーグ戦において勝ち点差の次に重視されるのは得失点差であり、その次に重んじられているのはゴールの数だ。苦しんで奪った1点も、勢いで奪った1点も等しく1点、それならばこの局面で手をこまねく事は無い。柿谷の見事な突破から古橋の今日2点目となるゴールが生まれ、尾亦の突進がPKを呼んだ。ジェルマーノが件のモーションでPKを決めて0-5。これで随分と貯金が出来た。


 さて、最後に書くべきは岐阜サポーターだ。岐阜もさすがにチームとしての体は瓦解していたが、1点でもかえそう、1ゴールでもあげようという意識は無くなっていなかった。その力になっていたのは紛れも無くサポーターの声だ。0-5になっても声を枯らして応援を続けたサポーターがいたからこそ、ガムシャラに攻撃し続けていたのだ。長良川では今年あと一度対戦が残っているが、彼等の存在がある限り、容易く勝利が出来るとは思わないほうがいいだろう。


 上位陣で取りこぼしをしたのが仙台のみという中、最良の結果を残せたことを、まず喜びたい。ただしそれも今夜限り、J2は長く、道はその半ばだ。

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