前半6分 柿谷 曜一朗(C大阪)
前半37分 ウーゴ(甲府)
後半34分 山口 螢(C大阪)
「8番」は、みんなに待ち望まれた「襲名」だった。でも「20番」は大丈夫かと不安だった。そういう声が多かったと思っている。
それが、今のところ杞憂であったということ、それがいい、嬉しい。
スタメンとベンチはとても興味深いものだった。
これが一応の布陣。前の3人、柿谷、杉本はかなり流動的。時折エジノも絡んでくるけれど、どちらかというと左サイドにある自分のゾーンから出たがらない様子だった。
ただ、これはあくまで攻撃時、または相手にカウンターを食らった時の守備陣形で、相手が遅攻に入ると陣形は下図のようになった。
トップの一番ゴールに近い部分にいた柿谷がエジノの後ろ、左サイドハーフの位置まで下がるベーシックな4-4-2。つまり、機能しなかった攻撃時のシステムはいじったけれど、守備は前節のままだったということ。
これが過渡期のもので、完成形は守備も4-3-3のままなのか、それとも今後もこの2つのシステムを使い分け続けるのかはわからない。できれば4-3-3で前プレスの方が望ましいのだけれど。
実際、柿谷のゴールが生まれた前半の前半は「守備の4-4-2」を使わないまま、甲府に仕事をさせていなかった。相手の攻撃を4-4-2で受けてから、流れが酷く鈍化してしまった。相手を押し込む守備ができて、いいボールの奪い方から流れるような攻撃、という形が連続していた時間帯との落差が激しすぎる。
単純に、この「2つの顔」は柿谷に対する負担がとても大きい。そして切り替えるタイミングを11人が一にしなければボロボロに崩落してしまう。
だから、レヴィーには4-3-3のままで相手を押し込めるスタイルを追求してほしい。これは個人的な欲求。
それでも、この試合全体のクオリティに関しては、開幕戦とは雲泥の差があった。 それは、杉本健勇というポイントが前線にできていたから。
エジノはポストプレーがどうこうというタイプではなくて、エジノ、柿谷の2トップは無理があった。あの二人を活かすにはキッチリボールが保持できて、展開できる選手が必要だった。その答えが杉本健勇だった。
確かに、高さ、ハイボールへの応対はまだおぼつかない。けれど、一度ボールを自分のテリトリーに引き込んでからの懐の深さや、アイデアの豊富さ、それを実現させられるだけの技術は、セレッソの20番にふさわしいものだった。
柿谷のゴールへ繋がった攻撃も、それ以外の決定機も、殆どに杉本の姿があった。
守備は、前述の「2つの顔」以外にも、いくつか改善点があるように思えた。シンプリシオはまだ調子が上がっていないし、サイドからボールを入れられると厳しいのも、両サイドが上がりっぱなしでセンターバックにかかる負担が大きいのも変わらず。
甲府にはこの試合何度かうまくクロスを入れられていて、特にファーサイドの選手がフリーになることが多かった。前半の失点はその中の1つをウーゴに決められてしまったもの。これは、今のままのチームを放っておけば、今後も増える失点の形だろう。
このポイントがうまくまとまれば、本気で夢を追えるチームになる。だからこそ、今のうちに、結果が出ているうちに、改善を。
後半開始時から、動きが悪かったエジノとシンプリシオが下がる。枝村と南野が入って、システムは攻守ともに4-4-2になった。
ただ、このシステムは前半の4-3-3よりはうまくいかなかった。甲府も4-4-2と同じシステムだったのでがっちり咬み合ってしまったし、枝村、南野も絶好調時よりポテンシャルが低かったのも大きい。
ボランチの底、シンプリシオのところに代えがあるなら、4-3-3で行きたかった。横山が調子を上げるか、黒木が入るか、山口が下がって、山口のところに枝村か、試す価値はある。
それでも、個々の技量に勝るセレッソは、それなりに攻撃の形を作れた。杉本に対するバックアップが厚いものだったので、一度そこにボールが入ればたくさんの選択肢があった。杉本を活かすにはいい状態だった。
そして南野。悪い時でも悪いなりに、少なくとも一つはいいプレーをしてくれるのが大きい。決勝点の山口螢のゴールは南野のゴール前のクイックネスとシュート意識から生まれた。
後半36分酒本→椋原 |
最後にもう一つ老婆心。こちらは賛否あるかもしれないけれど、リードした後の「ゲームの壊し方」が気になるところだった。
あれが鹿島だったら、間違いなく時間稼ぎをして、相手の焦りを誘っていただろう。しかしセレッソは実にセレッソらしく3点目をとりにいった。
セレッソのサポーターとすれば、今の姿勢のまま行ってほしい。華々しく、すこしドン臭いセレッソのままでいいてほしい。
でも、本気で何かを手に入れたいなら、どんなに惨めな姿を晒しても実をとる勇気を持ってほしい。時間稼ぎというのも、やりたい時にすぐできるものではない。キチンとやろうとすればそれなりに経験なり必要なものだ。それをそのままにしていると、大事な勝ち点を落とすことだってありうる。
15年ぶりの開幕連勝、浮かれたい気持ちもある。でもその15年前のその後を見れば、それがどんなに迂闊な行為かわかってもらえると思う。結果が出ている今だからこそ、もう一度改善点を見なおしてほしい。
来週のFC東京は、まぐれで勝てる相手ではない。
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