あまりブラジルのサッカー事情に詳しくない俺は「ブラジルといえば4-4-2」だとばかり思っていた。パウロ・アウトゥオリはもう少し柔軟な選手起用を考えているようだ。
宮崎キャンプでは、4バックの前に山口蛍をアンカー、その前に扇原貴宏と長谷川アーリアジャスールを置き、前線にはカカウ、ディエゴ・フォルラン、パブロを並べる、いわゆる4-1-2-3を試しているという。
4-1-2-3は去年マルコ・ペッツァイオリが試行し、失敗したシステム。だがハマればどれほどの威力があるかは、昨年のW杯ブラジル大会でのブラジル対ドイツの試合が証明している。
ネイマールを欠くとはいえ、ホームのブラジルを1-7で粉砕したドイツ。彼らはこの4-1-2-3の利点を利用し、ブラジル守備陣を混乱に陥れた。
4-1-2-3の特徴は、相手を押し込んだ時、前からプレスをかけに行った際に発揮される。
敵からの圧を受けた時は、3トップの誰かが下がり4-4-2と同じく3ラインを引く。
しかし前からプレスをかけに行く際は3トップ、2枚のインナーが相手の守備ライン、ダブルボランチにガッチリ食いつく。これが機能すれば相手はボールをセンターバックかゴールキーパーから展開しなければいけない。
2列目、ボランチの選手よりも格段に展開力が落ちるセンターバック、ゴールキーパーからのボールであれば、こちらは容易に奪取できるし、無理にボランチからボールを出そうとても、プレッシャーをかけているのでこちらもたやすく攻撃の芽を摘み取ることができる。
問題は、そんな激しいプレスをベテランであるフォルランやカカウが行えるのか、どんな時は自陣に引き、どんな時は前からのプレスにかかるのか、タイミングを誰がコントロールするのかという点だ。
フォルラン、カカウは30を超えるベテランで、90分間ずっと前からプレスに行くのは難しい。ここぞという時にプレスを仕掛け、それ以外は自陣で相手を引き込む、そのタイミングとバランスを考えなければいけない。誰がそのコントロールをするのか。
普通に考えれば、アンカーとしてチーム全体を把握できる山口蛍が適任なのだけれど、彼が今年一年セレッソのユニフォームを着ているのかが疑問だ。ならばもう一人はアンカーとしてバランスが取れる選手が必要になる。経験値から言うと橋本英郎で、去年アンカーに入った時の効き具合を見ると染谷悠太あたりになるかと思う。
このシステムが成功すれば、早期昇格も現実味を帯びてくる。だがテストマッチの戦績を見る限り、まだ攻撃がかみ合っていないようだ。このままシステムが熟成するのを待つか、それとも4-4-2のようなオーソドックスなスタイルに戻すのか、開幕までに結論は出るだろうか。
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