去年のホーム鹿島戦、そう、三度目の降格が決まったあの忘れられない試合で、心に残った何枚かの写真がある。どれもカカウを写したものだ。
あの時、鹿島の老獪なサッカーにセレッソは粉微塵にされた、なすがままだった。パス、シュートの精度、選手の連動性、それに自らに対する自信、どれひとつとして勝っているものがないと、見る者ですら圧倒された只中で、一人闘争心をむき出しにしていたのがカカウだった。
怒気をはらんだ目、熱いアクション、褐色の肌からは湯気が立ち上って、まるで仁王のようだった。彼はセレッソに一番足りなかった「勝ちたい」「生き残りたい」という強い精神力をもたらしてくれた。
決定的な失点の後も、彼はあきらめてはいなかった。ボールをいち早くセットし、足を乗せ、じっと笛が鳴るのを待っていた。だから、俺は無心でシャッターを押したんだ。
キレる性格は、決していいものではない。練習中に衝突するのも限度があるだろう。けれど、それくらいの気持ちを持たなければ、勝負の世界では生き残っていけないのかもしれない。オーストリアに渡ったかつてのチームメイトは、昨年仙台との試合でそのカカウに罵声を浴びせていたけれど、彼だってああいうものが無ければ「ユースの最高傑作」と言われたりはしなかったろう。
もしとあるライターさんが書いていたように、カカウが帰阪した理由が小さいことであるなら、むしろ今ここで監督によるコントロールが始まったことをよしとすべきなのかもしれない。熱い気持ちはそのままに、それをよく見てくれる存在が近くにいるとなれば、去年のような空回りはずっと少なくなるはずだから。
カカウ、あなたが戦う場所として、J2は小さいものだと思う。にも関わらず年明け早々に来日し、体を作りこんでいったあなたを、俺は応援する。だから今は心も体も癒し、開幕に備えてほしい。そうして年の暮れには、俺たちが俺たちのいるべきステージにいっしょに戻ろう、いっしょに笑おう。
むさいおっさんだけじゃない、かわいい女の子も待ってるんだ、やる気も出るってものだろ?
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