得点者
後半45分+2 豊田 陽平(鳥栖)
土曜日ラストの試合だったので、他のチームの試合も観た上でこの試合を観た。それで、2つ厳しい現実を見ることになった。
ひとつは、残留争いをしている他のチームが地道に勝ち点を得ているにも関わらず、引き分けの勝ち点1すら得られず差をつけられてしまったということ。もうひとつは、セレッソが昨日見た他のどのチームよりも酷いサッカーをしていたということだ。
スタメンは苦労のあとがうかがえるものになった。ディエゴ・フォルランは体のハリを訴え帯同せず、南野拓実は世代別代表に招集されていたためベンチにもいない。山口蛍、吉野峻光もケガで不在、楠神順平は前節の退場を受けて出場停止、ベンチにはルーキー岡田武瑠や秋山大地が入っている非常事態だ。
セレッソのサッカーは個の力を最大限に伸ばすことをベースにしている。だからいい選手のポテンシャルが活かされる反面、そんな個がいない時のサッカーは形にすらならない。まさに昨日の試合がそれだった。
トップの杉本健勇、永井龍はともに良さはあるけれど、得点力という点では及第点にも達していない。にも関わらず柏戦や浦和戦のような試合ができていたのは、そこに至る中盤の構成に「まだ」強みがあったからだ。
この試合では南野、楠神のドリブル、吉野のパスワーク、前線に質の高いボールを供給する飛び道具が一つとしてなかった。前半は長谷川アーリアジャスールが試合の組み立てをして、二度ほど好機を演出したが、それから後は惜しいシーンすら演出できなかった。頼みの扇原貴宏の長いボールも、酒本憲幸、丸橋祐介のサイドからの組み立ても無かった。扇原はハイプレスの餌食になり、両サイドは中盤や前線がボールを保持できないため上がるタイミングを失っていた。
守備ではある程度の形はできていたものの、組織として未整備の部分が多々あって、鳥栖の拙攻に助けられていたところもあった。つまり、攻守どちらも不味い状態だった。パスが三本繋がらない、奪って最初のパスを相手にプレゼントする。それでどう攻めよう、守りきろう。
今一度書こう。セレッソは育成型クラブを自称していて、事実としてユースから代表に招集されるような選手を送り込んでいる。そんな彼らにある程度の自由を与え、力を最大限に活かすことで、はた目から見てセレッソらしいと感じるようなワクワクするサッカーを展開してきた。
つまり、セレッソらしいサッカーをするためには、自由を与えてもいいような個をいかに数多くピッチに送り込めるかが鍵になる。そんな個が一人としていない時には、昨日のような無様な状態になる。選手を供給せず、試合でなんとかしてくれというのはセレッソに限ってはあり得ないことなのだ。ピッチの上、戦術的な面での失態もあるけれど、それ以上に、戦略的なポイント、試合の笛が吹かれるまでのミスが大きかった。
チームの決め事を作り、組織だって攻める、守るというやり方もある。およそのチームは、あらかたの監督はそれがベースになる。セレッソはその真逆を行っているから、普通の監督だとその色がでるまで途方も無い時間がかかるか、へたをすると何も出来ないままになる。
後半33分 |
今年の迷走は、この試合は、これらセレッソの育成、チームのありようの悪い面が出続けた結果だ。それは、鳥栖はらしいロングボールを多用して、セレッソのコンパクトなラインを間延びさせようとしてきた、そこに適応できなかったという戦術のミスも確かにあった。でも、これ以上選手も監督も責められない。責めて、伸びて、劇的に変わる組織でも個でもない。
ここを脱するにはキーパーソンに戻ってもらうのが一番手っ取り早い。本来は組織を作るとかロジカルな部分を練磨するべきだが、時間も試合も無い現状では、それ以外に切るカードが無いのだ。残念だが、それが現実だ。
それにしても、ファビオ・シンプリシオ、村田和哉、播戸竜二、セレッソが戦力と認めず放逐した選手達にはことごとく痛い目にあう。それも、フロントの失態にカウントするのは酷な話だろうか。
とにかく徳島戦、どんな不格好でも勝つことだ、それ以外になにがあろう。また試合を観られないけれど、とにかく応援してみせるさ。
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