10/17/2016

2016明治安田生命J2リーグ 第36節 岡山 1 vs 1 C大阪 痛みが出るまで気づけな い。 #cerezo #fagiano


「どうして、ああなるまでほうっておかれたんだろう、ほうっておけるのだろう?」それが失点直後の俺の感想。

前半リードで折り返す算段が瓦解した。ロッカールームに戻っていく選手達の顔には戸惑いや焦りがあった。このチームはまだチームとしての体を成していない。もう1年が過ぎようというこの時になっても。

スターター



GKは韓国代表から戻ったキム・ジンヒョン、DF右から田中裕介、藤本康太、山下達也、MF右に松田陸、左に丸橋祐介、ダブルボランチはソウザと代表帰りの山口蛍、二列目に清原翔平と杉本健勇、FW1トップに玉田圭司。

リザーブは丹野研太、茂庭照幸、酒本憲幸、椋原健太、山村和也、リカルド・サントス、澤上竜二。

前半、予想外の交代と、予想内の失点。


セレッソが現在採用しているシステムは3-4-2-1、岡山も現在は同じ3-4-2-1で戦っている。

けれど、守備の仕方はまるで違う。岡山は5-2-3と前を厚くして、相手の最終ラインに圧力をかけ、精度の低いロングボールを蹴らせるのが狙い。

一方のセレッソはというと4-4-2に似た並びでオーソドックスな守備をすることもあったけれど、今では5-4-1と後ろを厚くしてショートパスやドリブルをかっさらうのを狙いにしている。

どっちがいいとか悪いとかいうものではない。選手の傾向、特徴を活かしていったらこの形に落ち着きました、ということ。


岡山の狙いは他のチームと同じく、丸橋の後ろ、山下の横のスペースに起点を作ること。最終ラインの岩政大樹や、ボランチに入った矢島慎也、関戸健二の長いパスを藤本佳希に当てる攻めをコツコツ続けていく。


山下の調子もあまりいいものではないし、プレッシャーがかかっていない相手からの正確なパスをガンガン通されるとシャットアウトは難しい。山下がはがされた時には藤本が出て応対することもあった。

藤本は体格こそ恵まれてはいないが、身体能力の高さで相手を止めている。身体能力をフルに活かせるというのは長所なのだけど、裏を返せば体を目一杯使っているということ。だからどうしてもケガが多くなる。


この試合でも無理な体勢で足を痛めたか、前半20分ごろに後退を余儀なくされている。代わって入ったのは茂庭で、当初はそのままスイーパーをしていた。けれど、流れの中でストッパーになることもあった。


こうした劣勢と不運の中で、先制できたことは喜ばしい予想外だった。変化をつけたセットプレーで虚を突いたとはいえ、アレだけ撃ついとまがあれば、セレッソはセレッソらしくプレーができる。恐らく清原かと思うが、ボックス内での粘りも光った。


ただし、セレッソの根底に流れる問題は改善されていない。攻守の共通理解の低さもかなり危険なのだけど。何より危険なのは修正力の無さだ。

例えば、相手のシステムが変わったり、今までとは毛色の違う選手が出てきたとする。チームとしては監督やコーチ、選手たちが様子見をして、相手の狙いはなんなのか、どう修正すべきなのかを決めるのが普通だが、セレッソにはこれがない。だからズルズルと流れを変えられないまま、一方的にやられることが多いのだ。

前半の後半、岡山はセレッソの守備の重心が後ろに下がりすぎていることに気づいた。玉田は前残りするが、残りの9人はまず5-4のラインをペナルティーエリアの前に敷くことを第一にし、ボランチがボールを持ってもハーフウェイラインより後ろであれば突っかからない。


なので、矢島、関戸の両ボランチはあえて引いてボールを受け、面白いように攻撃を展開させていった。陣を敷いて待ち構えているということは、突っ立ったままだということ。そこにスピードに乗った選手が入り込み、連動して数人が反応すれば面白いようにセレッソを切り崩せる。関戸の見事なミドルもボランチからの楔となるパスから始まった岡山の連携についていけなかったのが一番マズい。

後半、システムの短所に苦しめられた両チーム。


後半は、ほとんど書くことがない。酒本とリカルド・サントスが入ったけれど、なかなか仕事をさせてもらえなかった。チームの短所である修正力の無さは、チーム全員に言えることで、だから人がひとりふたり代わったくらいではなんともならない時がある。


それに拍車をかけたのが「3-4-2-1の欠陥」だった。

セレッソのようにキチンと帰陣するやり方にせよ、岡山のように前からプレスをかけるやり方にせよ、二列目にかかる負担は大きい、これが欠陥。

精神力は削がれ、プレーのキレも落ちていく。それを防ぐためにトップや二列目ができる選手を複数人用意してはいるが、カードの切り方が毎度毎度同じで、定番の順序やメンツだと、前述の「修正力のなさ」が余計に目立ってしまう。


背の高い選手を守備に入れれば、ラインを低くして相手を跳ね返すのだと判断できるし、中盤のパサーを入れればキッチリ繋いで崩したいのだと理解できる。

けれどいつも同じメンツだと、こうした「交代のメッセージ性」が奪われてしまう。加えて、この試合では藤本のケガでカードを一枚切ってしまった。この影響は後々まで引きずることになる。

対する岡山も藤本佳希がオーバーヒートするなど、決していい状態ではなかった。それでも十分にセレッソに通用してしまうのが頭の痛いところだ。


セレッソがあの状況で起死回生を狙うならセットプレー以外にない。だがソウザの右足も玉田や丸橋の左足も、得点を引き出すだけのパワーやスキルに恵まれていなかった。

結局、両者死力を尽くした戦いはドローとなった。個人的には前半岡山が行なったボランチのポジション修正に対し、なんの対策も施せなかったことにショックを感じた試合だった。


今年もあと6試合というところで、まだチームが煮詰まっていないのは「異常事態」というべきだろう。

0 件のコメント :

コメントを投稿