10/18/2016

岡山に試合を観に行っただけの話。それと、晴れの国の晴れた人たち。 #cerezo #fagiano #photo #diary


金欠だ。試合を観られれば後はどうでもいい。という清々しいコンセプトのもと、岡山戦の旅行計画を立てた。

2016年10月15日23時55分 なんばOCAT


ザックリと概要を書くとこうだ。15日23時55分の大阪発の岡山行き夜行バスに乗車し、16日3時にはシティライトスタジアムに到着。場所取りをして近くにあるガスト岡大学南店に引っ込む。ひたすらコーヒーを飲んで眠気をさまし、待機列整理が正式に始まる7時30分を待つ。

シティライトスタジアムは岡山駅西口から徒歩15分にある岡山県総合グラウンドの施設だ。なので周辺は公園のように緑が多い。あたりが真っ暗な夜中に着いたから、最初は気づかなかったけれども。

2016年10月16日3時5分 シティライトスタジアムAゲート前


3時にメインスタンド前に着いてギョッとした。すでにファンクラブ待ち列のエリアには長いサポーターの列があり、20人くらいがお酒で体を温めながら朝を待っていた。中には冬山登山で使うようなシュラフ(寝袋)を持ち込んで、ダンボールを敷いて寝る猛者も10人はいた。40代50代の男たちが寒さに凍えながらもニコニコと談笑していた。あの人たちにとってはこの時間もまた「試合の楽しみ」なのだろう。

俺は一般待ち列なので勝手がわからず、恐る恐るおじさんたちに(俺だっておじさんだけどね)どうすればいいか聞いてみた。すると、もうこれ以上ないくらい親切に、ルールやタイムテーブルを教えてくれた。

「大阪から?すごいね、よう来なさった。」と、お酒で赤らんだ顔で笑ってくれた。「曜一朗はまだ出れんか……蛍は来るのかね?」と、俺が話をする切っ掛けまで用意してくれた。晴れの国の人は、やはり心まで晴れているんだろうか。ありがたい。

スタジアム前には桜が咲いていた。

2016年10月16日6時5分 シティライトスタジアムAゲート前


ガストでチーズケーキとココア、アメリカン、エスプレッソドゥッピオを飲み、たぽたぽのお腹でスタジアムに舞い戻る。

「おお、また来なさったか」と件の人たちに迎えられた。列はどんどん伸びていた。もう100人は超えている。試合が待ち遠しい、どの人からもわくわくと心躍る様子が見て取られる。無事10時半にスタジアム入場、意中の席を得られた。この日の観客は15,203人、スタンド上層には立ち見まで出る盛況となった。

2016年10月16日11時0分 シティライトスタジアム ファジフーズコーナー


チケットの半券を落とした。

さて、今回の旅ではいくつかの教訓を得た。4列の夜行バスはキツイということ、睡眠不足でコーヒーばかり飲むと胃がもたれるということ、睡眠不足だとチケットの半券を落としたり、ファジフーズを無くしてしまったり、とにかく人知を超えたスカタンなミスを連発するから、最低3時間は横になっておけということ。

チケットの半券をなくした時には血の気が引いた。けれども、女性スタッフは忙しい中キビキビと動き、他のスタッフと連携して遺失物の中にあった半券を探し出してくれた。これは非常にありがたかった。


さてさてファジフーズだ。このスタジアムグルメは「スタジアムグルメの究極系」と断じていい、素晴らしいものだ。情報の周知徹底がなされており、対戦相手ごとに趣向を凝らしたメニューが並ぶ。価格はどこも良心的、またガッツリ系からデザートまで幅広く取り揃えるので、老若男女が気軽に楽しめる。味も当たり外れが少なくていい。

ハントン弁当DXご飯に甘辛い煮豚と鶏の照り焼き、お好み焼き風のオムレツが入った、これぞ「男のメシ」

細かい話をすると、ファジフーズは他のクラブの屋台とは違い、POSシステムを導入している。これによりスタジアムグルメの売れ行きがデータ化され、どこが売れているのか、何が売れているのかが可視化できるようになっている。だからこそ、つどつど改良を加えることが可能なのだ。そこまでして初めてあのクオリティが出せるのだろうなと感心する。「熟成千屋牛の牛串」と「はんトンなにわスペシャル弁当」で腹ごしらえをすると、やっと体の中に栄養がいきわたったように感じた。さあ、試合だ。

2016年10月16日19時30分 中国自動車道


小雨がそぼ降る試合中は、9,720円という大枚をはたいたニコン純正のカメラ用レインカバーが無双の活躍をしてくれた。人間様は500円のビニール製カッパで十分だ。風邪は引いたら治せばいい、カメラは壊れたら万単位でお金が飛ぶ。


試合後、大阪に戻るバスの中でちまちまと仕事をする。ブログの文章をiPhoneで打ち込み、写真の整理をして、やっと一息。疲れてくたびれて、寝るかなと思ったけど眠れなかった。それで、隣の席にいた岡山出身、大阪在住という青年と話をする。

大阪に住んでいるので関西圏のJリーグは興味があれば観て回っているそうだ。おらが町のチーム、岡山の試合も関西でやる分はよく行くのだとか。

「ふるさとの訛(なまり)なつかし停車場の人ごみの中にそを聴き」とうたったのは石川啄木。この詩も含めた詩集「一握の砂」が出版されたのは1910年のことだそうだ。上京していた石川啄木は、出身地岩手の空気を感じるために、東京の北の玄関口、上野まで足を運んだのだ。

106年後の日本ではスタジアムが、ふるさとのなまり、ふるさとの空気を感じる一番の場所になっている。昨今ではJクラブの無い都道府県の方がはるかに少なく、どこかのカテゴリーでおらが町、おらが国のチームが活動している。そこにいけば郷里の人達が声を枯らして応援をしている。上野まで行かなくていいのだ。

地域に根ざすというと御大層な話だけれども、自分のルーツとなる土地や町にチームがあり、チームと結びつくことで日本中どこででも自分の原点に立ち帰れるというのは、スゴいことなんだ。その町にとどまっていても、よそのチーム、よその土地の人と結びつけば、その土地の価値観を理解できる。それもまた意味のあることだ。長居で、遠征先のスタジアムで、他チームのサポーターと交流をするたび、それを強く感じる。

ああ、今なって眠くなってきた。でも、出勤はしないとね。それでは。

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