後半44分 柿谷 曜一朗(C大阪)
このメンバー、このコンディション、この環境の中で、チームは最高の結果を残してくれた。
スタメンとリザーブ、乾が東京V戦で足を打撲、大事をとって欠場となった。開幕戦のスタメンと比べると5人が入れ替わったことになる。さながら野戦病院。レヴィー・クルピは前々節で採用したトリプルボランチを再度編成した。しかし攻撃時の組み立てが徳島戦とは違っていた。
前回は苦しい中でもパスサッカーをと、セレッソらしい細かいパス回しを多用していたが、今回はシンプルに小松、柿谷を走らせ、岡山DFラインの裏をとるスタイルに徹していた。勿論ベストメンバーの、完成された攻撃に比べれば効果は薄い。小松とパスの出し手の呼吸が合わなかったり、柿谷のドリブルが簡単に止められたり。ただ今のメンバーで、リスクを最小限に止めるのなら、このスタイルはアリだと感じた。実際前半はシュートこそ少ないものの、ポゼッションは随分とよくなっていたし、守備が崩された場面は2列目の飛び出しをマークしきれなかった一度きりだった(これを決められていたら勝負は変わっていたかもしれないが、ifの話は無し)。
ただしこのスタイルだと小松と柿谷にかかる比重はかなり大きくなる。小松がボールをキープできなかったのは彼一人の責任ではないし、柿谷がドリブルをするのも限られた選択肢しか無かったからとも言える。何よりボールを奪うたびにラインの裏に全力疾走ではスタミナが持たない。今日の岡山は夏日、画面越しにも暑さが伝わってくる。前半0-0は上出来。
しかし後半に入ると岡山が早目の選手交代で運動量を上げ、足が止まりだしたセレッソはイニシアチブを失った。相手のシュート精度の悪さ、判断ミスに助けられたシーンが散見されるようになる。セレッソは何かしらの手を打たなくてはならなかった。レヴィー・クルピは大きな賭けに出る。前半でイエローを貰っていた江添を下げてFW西澤を投入、今季初の4-4-2へのシステム変更。
後半28分
効果はあった。西澤がトップに入ることで前線でのキープ力が格段に増し、攻撃に組織力が出始めた。プレーゾーンが岡山寄りになったことで殆ど無かった得点の匂いがしはじめる。サイドバックに平島が入るとその匂いがより濃くなる。バックは手薄になった形だが、よく耐え、その時を待った。
後半37分
そうして、ようやく歓喜の時がやってくる。主役は今まで散々辛酸を舐めてきた柿谷と濱田。二人のプレイゾーンが近くなり、また敵ゴール前に移ったことが良かった。二人の細かいパス交換が岡山の守備陣を混乱させ、今まで岡山GK李彰剛が鍵をかけていたゴールの門がついに開いた。5分後には相手セットプレーからカウンター攻撃の流れが生まれ、右サイドに開いた濱田が一気に相手陣内に駆け込む。クロスを上げた先には同じく自陣から長い距離を走ってきた柿谷。やわらかいタッチでボールをゴールに流し込む。試合が決した瞬間、待ちに待った天才の覚醒。これでロスタイムに山下を投入し、次節出場停止となった江添の代役を試運転する余裕も生まれた。
後半44分
個人的な感想ではあるけれど、この1勝は今まで積み重ねてきた14の勝利の中でも、とりわけ特別な1勝になったと思っている。今まではサブとして試合に出ることすらなかったプレーヤーが、一致して勝利を勝ち取ったのだから。もし仮にベストメンバーに戻ったとしても、サブはこれまでのような「単なる控え」ではない。より選手層が厚くなったセレッソは、第1クール以上に強く、たくましいチームになっているはずだ。
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