何年ぶりかで中崎町という町に行ってきた。
大阪に不得手な方のために説明すると、ここは大阪駅から一駅もない近所でありながら、空襲を免れた不思議なところだ。
昔は普通の下町だったが寂れてしまい、古民家を安くリノベーションしてカフェにしようとした若者と利害が一致、手作りの再開発の末に、今は森ガールとかサブカル系の老若男女が闊歩する不思議な空間になった。
梅田を利用する高所得者層向けのマンションの谷間に中崎町という下町がこじんまり佇んでいる。 |
そんな場所であるから、流行に敏感な人や「あえて流行に逆らったふり」をしている人向けの雑貨屋、古着屋、カフェが点在する。1キロ四方も無いところに、数十軒のお店が並ぶ。
気心が変わりやすい若者をターゲットにしているので、お店の代謝は激しい。久しぶりに行くと目当ての店が無くなっていたり、少し面食らった。それで、昼食はたまたま見つけたラ・グランダ・ファミリオというシリアルの専門店にした。去年の8月にできたお店だそうだ。
詳しい薀蓄はサイトをご覧頂きたいけれど、かなり品質に拘ったお店で、清潔感もあり、店主の心意気のようなものをしっかり感じる店構えだった。
天然自然の食材だけをサラマンダーで焼き上げ、シリアルにしている。 |
シリアルは豆乳と合わせる、これが香ばしくて良い。男性ならおやつ程度のボリュームだけれど、毎朝これが食べられればなと思わせる幸せの味がした。
ただ、潰れてしまったお店であっても、どこも殿様商売をしていたわけではなくて、みなそれぞれに思い入れがあり、店作り、メニュー作りにこだわっていた。それでも、流行に乗り遅れたり、行き過ぎてしまうと息が続かなくなってしまう。この辺りでは5年10年と続けばかなり古株になる。
で、ここで強引に話をセレッソに持ってくるのだけど、今観客動員が増えていながら、すぐにお金を流せないのは、この「流行」の怖さを知っているからなんだろうなと、そう考えている。
確かにサポーターは増えた。けれど、彼らがいつまでそこにいてくれるのかわからないから、怯えているのだ。だから、ファンクラブに入ってみるとか、とにかく「しばらくは腰を据えているよ」というスタイルを示すことが、クラブを安心させる近道ではないかと。
「私たちはセレッソの一員としてそこにいるよ。」「顔サポじゃない!ずっとついていくよ!」と声を出してくれたら、どれほどありがたいだろう。
話の終いにもう一店舗、お店を紹介したい。関大前にお店があるメランジュ、というケーキ屋さんだ。
タルトやショートケーキ、モンブラン、奇をてらったもの、流行のものをメインにおいているわけではない。けれど、一つ一つが丁寧な仕事で、安心していられる。
このお店ができたのが1991年だそうだから、セレッソより古株ということになる。(もちろんヤンマー時代はのぞいて、だけれど)その秘訣は王道からブレていない、ということ。セレッソが目指そうとしているのも、メランジュと同じ方向なのだろう。
会社の経営で収入の乱高下があると、企業体力は奪われてしまう。昔ナタデココというデザートが流行した時、フィリピンの農家がこぞってココヤシを植えたが、流行が終わってココヤシの買い手がいなくなり、皆文無しになったという笑えない話もある。
セレッソというクラブがそれを恐れて動けないなら、動いていいと手を引いてやろうじゃないか。ずっと「La Granda Familio(大家族)」なのだと教えてやろうじゃないか。そのアクションは家族全員を幸せにする福音になるはずだ。
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