これまでそれなりに勝ち星を積み重ねてきた「前後分断サッカー」だけれども、J2相手だろうがいよいよ勝てなくなってきた。理由は簡単で「走らないから」なのだけれど、もう少し細かく書きたい。
セレッソの攻撃陣はディエゴ・フォルラン、カカウ、玉田圭司など、いずれも足元に強みがあるプレーヤーだ。パウロ・アウトゥオリは彼らを活かすために、相手の守備陣形が整うまでに縦に早い攻めで押し切るという選択肢をとってきた。
ただ、これには弊害がたくさんある。例えば、仮に前線の二枚にいいボールが入っても、長く早いボールなのでフォローがどうしても遅くなる。
それから、縦パスをカットされると相手の守備を引っ張るために目一杯ランをしている前線二枚がファーストディフェンダーとしての役割を果たせなくなる。守備はフィールドプレイヤー10対8でスタートするのと等しい。
ボールを奪った相手は今日で言うパブロの位置で数的優位に立てるのでスピードのある攻めができてしまう。セレッソの中盤、山口蛍、扇原貴宏、長谷川アーリアジャスールはいずれもスピードや瞬発力が飛び抜けているわけではないので、フィルタリング、ディレイが難しくなるのだ。
前線は滅多なことでは戻らないし、中盤は苦し紛れの縦パスしか入れられなくなる。その悪循環がセレッソのスタミナを削っているように思う。
キーマンは4-3-1-2の1のところで、今日の先発はパブロだったけれど、ボールロストが多く、守備への切り替えも遅かった。
後半、関口訓充への交代もやむを得ないことだった。椋原健太も長谷川とのコンビがうまく行かず、酒本憲幸に代わった。
アウトゥオリのサッカーは縦に早く、ノッキングすれば密集とは逆のサイドにチェンジと終始徹底している。ボールをドリブルで運ぶ関口や酒本は真逆のタイプだけれども、前半よりは少し動けていたと思う。
理由としてはポジションの入れ替えが激しくなったこと、タメができるようになったこと、全体としては選手間の距離が近くなって、細かなパスワークができるようになったことが大きい。
関口が積極的に下がって「4-4-2もどき」を作ってくれたおかげで、いくらかはマシな守備になった。橋本英郎の投入で右サイドのポジションチェンジ、追い越す動きが活性化した。
それでも、前後分断サッカーの悪癖、ガス欠した時に守備の組織ができないところが露呈して、逆転ゴールを許した。
失点後、試合再開のためにいち早くセンターサークルに戻った関口と玉田 |
いままでカードの切り方が遅かったアウトゥオリが、後半頭から二枚替え、さらにバランサーとして橋本まで入れた。勝負にこだわったはずが、出目は最悪だった。
やりたいことは分かるし、この形を進化させていくことも可能かもしれない。ただそれよりも前に、ゲームが崩れないようにはっきりとキャプテンシーがとれる組織にするべきだし、守備組織をしっかりと作るための施策(今のままなら4-3-1-2の1を一列下げること)を講じるべきだ。そうしなければ、たったひとつのミスで皆が同様し、勝てる試合も勝てなくなる。
雨がふらなかった以外は、およそ最悪の週末だった。
いつも素敵な写真と、ブログを拝見させていただいております。また、スタジアムでもお姿お見かけしました。
返信削除何故に勝てないのか? 寄せられて詰められて、ぐだぐだになっていく様子は、ゴール裏で見ていて、残念な気持ちでいっぱいでした。
そして、最後の一言、「雨がふらなかった以外は、およそ最悪の週末」はまさにその通りですね。
大雨にうたれてずぶぬれになってもいいから、サクラ満開を歌いたいです。
もう写真とるなよ
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