8/12/2016

2016 明治安田生命J2リーグ第28節 山口 0 vs 2 C大阪 積極的撤退。 #cerezo #セレッソ #セレッソ大阪 #renofa

写真は全て横浜FC戦のもの

セレッソは後半足が止まる、セレッソはカウンターに弱い、そういうサポーターなら誰もが知っている「自覚症状のある弱点」にようやくメスが入った。

やり方としてはすごく消極的ではあるけれど、大逆転負けを食らった試合から中三日という短期間で決断を下した。大熊清監督はこの試合に限っては、しっかりと賞賛されるべき采配をしたと思うよ。


スターター


GKのキム・ジンヒョンは丸刈りで心機一転。DFは登録上4人だが、実質は3バック、右から田中裕介、茂庭照幸、山下達也。MFは右から松田陸、山口蛍、山村和也、丸橋祐介、二列目には杉本健勇と関口訓充。FW1トップに玉田圭司。

リザーブは丹野研太、藤本康太、酒本憲幸、木本恭生、ベサルト・アブドゥラヒミ、リカルド・サントス、澤上竜二。



前半、3バック、4バック、5バック




セレッソの3バックの肝は右サイドの田中と左サイドの丸橋だった。この二人がうまく連動することで、セレッソは「フェーズごとの守備」ができるようになった。セレッソがボールを奪われ、攻守が入れ替わった時のボールの位置によって守備のシステムがコロコロと変わる。

先ずボールがアタッキングサード(敵陣深く)の時のフェーズ。ここではセレッソは3-4-2-1でセットする。そこから長いボールを入れても3対1なのだからまず突破されることはない。

ここで大事なのはボランチに素直にボールを渡さないこと。1トップの玉田と二列目の杉本、関口が3人で中央を塞ぐ。

左サイドが「落ち」て、4-4-2

次にミドルサード(中盤)にボールが入ったフェーズ。ここでは前述の理由から相手はサイドにボールを出す場合が多くなっている。ボランチから二列目という最短コースをとらせず、サイドに追い出すことで時間を稼ぐ。

すると丸橋が左サイドバックの位置まで下がり、山下、茂庭、田中は右にスライド、4-4-2にセットする。ここでは慣れ親しんだ4-4-2の守備ができるのでいつものように、違和感なく対応ができる。

自陣ゴール前では5-4-1


相手がディフェンディングサード(自陣深く)に入るフェーズ。ここでは松田も戻り、ボールのあるサイドの二列目が落ちることで5-4-1になる。なので最終ラインはいつもより一枚多い状態で山口のゴール前での組み立てにアタックし、カットできるようになった。

こんな細かな動きをよくもまあ3日で実現できたと思う。最初から両WBを下げるのではなく、ひとりずつスライドさせることで「ダッシュして帰陣しないといけない人数」を少なくし、スタミナの浪費を防いでいる。


ただ、守備陣が帰陣する時間を稼ぐために玉田、関口、杉本らは絶えずスプリントをしていた。だから後半は足が止まってボランチにボールが入ること、攻撃陣に選手交代が必要なことは容易に予想できた。

幸いなのは前半8分という早い時間で関口のゴールによって先制し、セレッソが主体となって「積極的な撤退」を実践する時間が作れたこと。長く新しいシステムを試すことが出来、チームは練磨されていった。


後半


予想通り、セレッソの前線は疲弊した。なので山口のポゼッションが上がり、守備に回る時間も多くなる。

ただ、これはセレッソが全試合で見せていた傾向。シーズン序盤は選手の足がまだ動いていて、高さに特化したメンバーを揃えたことでクロスやロングボールを封じて凌いでいたが、夏場の疲弊は予想以上で、選手間の間延びは修正しきれないレベルになっていた。ここ4試合で11失点というのはそれが主だった理由(他にも大熊監督が敵のシステム変更に対応するのが遅いなど、要因全てを列挙すればキリがないけれど、それは割愛)

SBもCBもできる田中裕介のユーティリティさが、この勝利の一因

これをシンプルに「後ろの枚数を増やす」ことで何とかしようとした。ただし単なるドン引きではなく、途中に慣れた守備システムである4-4-2を挟むことで、急場しのぎながらも耐えぬくことが出来た。

さらに言うと、杉本の超人的なキープ力と気の利いた動きも効いていた。相手は自分の喉元にナイフを突きつけられたまま、それでもリスク覚悟でボールを回し、攻撃を続行するしかなかった。

交代カードの1枚は山村の負傷によるもの(山村→藤本)だったが、他の2枚は予想通り前線に充てられた。玉田に代えて澤上、関口はなんと酒本と交代、しかもそのまま2列目右サイドに入り、4-4-2のフェーズでは杉本とともに2トップ(!?)としてボールを追った。


相手の山口(ややこしいな!)は、前回自分たちのサッカーをしっかり持っていたゆえに勝つことができた。だが今回は自分たちのサッカーにこだわることで自分の首をしめてしまった。

もし一気に長いボールが出せれば、セレッソは3バックから4バックにフェーズ変更をする間がなく、DFの3枚は背走せざるをえなかったろう。また、ドリブルで仕掛けてファウルをもらっても、パスワークできる選手を中心に構成された山口では上背がなく、得点機も生まれなかった。

唯一のストロングポイントであるパスワークにしても、ディレイさせられた上で4-4-2、5-4-1と枚数を増やされていくのでどこかで詰まる。そうなるとセレッソはカウンターの起点、杉本を残していることが効いてくる。


セレッソが試合を決定づける2点目を奪ったのは山口のパスミスからカウンターという狙っていたシチュエーションで、ボールを刈り取った後に山口蛍、酒本とテンポよくつなぎ、サイドに流れていた杉本がいい突破からの素晴らしいクロス、それを長い距離を一気に駆け上がった山口蛍が詰めるというここ数試合見られなかった速攻によるものだった。


まとめ


勝った、とはいえ全く予断を許さない状況が続く。今節ではエースに育った杉本がフル出場し、八面六臂の活躍をしてくれた。けれどこれと同等の動きを僅か3日後の山雅戦でもしてくれというのは無理な話だ。

なのでほかの選手のがんばり、例えばべサルドやリカルド、そしてコンデイションが上がらずベンチ外となった清原翔平らの奮起が必要になる。この中で足元で持てる選手はべサルドと清原ということになるか。


さらに、山雅はロングボールという武器も持っている(そこに特化しているわけではないが)守備が相手の速攻にどう対応していくかも大事なポイントだろう。

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