10/13/2008

第88回天皇杯3回戦 C大阪1VS0ソニー仙台FC 二兎を追うものは…。

後半20分 ジウトン(C大阪)

 今までの4-4-2というシステムが攻撃のフィニッシュから逆算された賜物だったとするならば、今日の3-4-1-2、若しくは3-4-2-1というシステムは守備の最終ラインから計算されて作り上げられたシステムだった。ただし今度は守備に傾倒するあまり、今まで機能していた攻撃までもが手詰まりになってしまい、結果として守備、攻撃ともに課題山積の一戦となった。

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 戦前の予想通り、システムは3バック。両サイドバックが極端に攻撃的なスタイルをとるレヴィー・クルピ式の4バックではサイドにスペースが生まれるため、カウンターやサイド攻撃を食らうと途端に守備が混乱するという悪癖があった。スイーパーとして羽田を置く事で守備の安定を図る狙いがあった。

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 しかし90分間通して観たところ、あまりその効果は無かったように思う。格下のソニー仙台FC相手にあわやという場面を作られること数回。もしJクラブレベルのチームが相手であったならば易々と失点していただろう。やはり付け焼刃という感は否めない。

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 バランス良く4バックが機能していた時は、守備の際両サイドにDF、MF、最低二人の人間がいて、比較的高い位置で相手にプレッシャーをかけられた。しかし3バックだとサイドがウイングハーフ一人になる為、どうしても低い位置で相手の攻撃を受ける事になる。ウイングハーフが抜かれてしまった場合はさらに事態は深刻になり、3バックのストッパー(今日の場合は山下と前田)に全てを託すことになる。これはあまりいい状態ではない。


 そして3バックにすることで、今まで悪いチーム状態の中、得点を重ねてきた攻撃陣にまで悪影響が現れだした。

 今のセレッソの攻撃の要は香川と乾、二人のドリブラーだ。彼らがスペースで縦横に暴れ、相手の守備を混乱させる事で得点機を作り出して来た。ところがこのシステムだと乾はスペースの無い中央でのプレーが多くなり、結果として窮屈な体勢でボールを奪われるシーンが散見された。サイドならオーバーラップしてきたサイドバックや流れてくるカイオらと細かいパス交換も出来るのだが、攻撃の駒が一つ抜けただけで選択肢がグッと減ってしまい、いつも以上にワンパターンな攻撃しか出来なくなっていた。

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 こういう時こそ白谷に活躍してもらいたいのだが、不完全燃焼だった。好機はいくつかあったのだが、いいシュートに持っていけない。

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 このシステムで生きたのはカイオと藤本くらい。カイオは常に自らのスタイルを崩さない。それが良い時と悪い時があるのだけれど、今日は救いになった。サイドに流れてボールをキープ、攻撃の形が出来るまで一人頑張った。藤本もスタイルを崩さず、相手の攻撃の芽を摘んでいく。

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 もう一つ気になったのは今日の両ウイングハーフ、平島とジウトンだ。

 右サイドの平島は左サイドに回った時よりも動きが心なし悪い。3-4-1-2ということでサイドライン際で孤立し、乾や藤本のフォローがあるまで攻撃が停滞する。ジウトンはジェルマーノから、はたまたカイオから、時には藤本やバックラインまで、どうか活躍してくれというボールがやって来るのだが、それをチャンスに変えられない。クロスの精度も低いし、ドリブルでも打開が出来ない。守備では山下共々不安定で、後半はあわやというクロスを上げられている(山本のビッグセーブで事無きを得たが、普通なら先制点というところ)サイドから崩される機会を減らす為の3バックだったのだが…。

 様々な選手を試して欲しかったのだが、交代は一度きり、白谷から濱田。ラストパスの精度を上げて攻撃のクオリティを高めようという意図かと思うが、効果無し。

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 後半、ジウトンのクロス気味のボールが流れて幸運なゴールが生まれたが、本当に歯がゆいゲームだった。香川がいないという事を差し引いても、天皇杯の初戦だからという事を加味しても、不甲斐ない90分間だった。この90分間から何を得られたのか、1週間後の鳥栖戦、いい意味で期待を裏切って欲しい。

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