8/29/2011

2011 J1 第24節 C大阪3VS1浦和 咲き誇れ若櫻。

後半3分 山口 螢(C大阪)
後半23分 高崎 寛之(浦和)
後半42分 扇原 貴宏(C大阪)
後半45+1分 倉田 秋(C大阪)




「セレッソユースから上がった選手は、ホントすごいっすよ」

と預言者は言った。それまでの不甲斐ない活躍を観ていて、半信半疑でいたけれど、ようやっと得心した。相手は浦和、下位に沈んでいるとはいえ、選手個々の能力の高さは強豪とも変りないチームだ。そのチームに対してこれだけの結果を残せたことに満足している。失点でさえ、セレッソの糧になってくれた。


スタメンを見ればチーム状態の苦しさがわかる。藤本がベンチに戻り、スタメンに変化はないが、今度は中後が外れた。FWのサブには若い永井と杉本。

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序盤は両チームの「負けたくない」「ミスしたくない」という気持ちが消極的に出て、よくない。コンタクトプレーでは激しいものがあったが、局地戦ばかりでいいようにボールが流れない。上本が田中達也に膝を入れられ、脳震盪を起こすも大事なし。

その中で扇原はよくできていたなと覚えている。マルチネスとは今の時点では比べるべくもないけれど、ベクトルは同じ。両サイドに綺麗なロングボールを供給して、浦和を左右に振っていた。

もう一人、絶対に書かなければならない存在は、ファビオ・ロペス。ガンバとのダービーでは1トップとして、鹿島、清水、横浜FM戦では3シャドーの一角として登場したものの、正直期待外れな部分が大きかった。

ところが今日は違った。清水戦からコンビを組んでいる播戸との息が少しずつ合い始めて、スピードの緩急が出始め、ボールを受ける動き、受けてからの動きがスムーズになった。ダービーの頃の彼と比べれば、まるで早送りのよう。主戦場たる左サイドの前線、相手右サイドバックの裏がガタガタだったのも幸いして、再三再四好機に絡む。守備でも播戸と対になり浦和の守備陣を追い回す。

前半に不満があるとすれば決定機の少なさ、シュートは僅かに2本。ファビオ・ロペスの突破からのいいシュートと、ファビオ・ロペスが受けて清武に流し、清武がスルーしたところに扇原という流れの二つだけ。山口が感じて出したボールと清武のいい飛び出しの組み合わせもシュートまで持っていけず。どれも決定的だっただけに印象深いが、他には得点の匂いのするシーンが一つもなかった。これは課題。スコアは動かず後半に。


ところが後半立ち上がりに、あっけなくスコアが動く。ファビオ・ロペスのこの試合3度目か4度目の左サイド突破、中に駆け上がったのはボランチの山口螢。長い距離を上がっていたのでノーマーク。冷静に右足インフロントでファーサイドのポスト近くに流しこみ、1-0!最近あった得点後すぐに失点という流れもなんとか防ぎ、ようやくリードしたアドバンテージを有効利用し始める。こういう試合が見たかったんだ!

浦和は前線のデスポトビッチがあまり機能せず、前線でのタメが作れないでいた。先制されて火がついたか、後半15分にスピードのエスクデロ・セルヒオ、高さと強さの高崎と前線をそっくり入れ替える。

この交代はセレッソを苦しめた。特にセレッソの右サイドにいるエスクデロ・セルヒオと原口の連携から何度も危ないシーンを作られる。

対するセレッソはペース配分無視で動き回っていた播戸を予定通り下げて、こちらも高さ、強さの杉本を入れる。

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後半25分


杉本は前節の得点が自信になったか、いい動き。やはり相手右サイドの裏を突いて決定機を作り、後は流しこむだけというシーンも、ところが不発に終わってしまう。最初の得点からこの杉本のプレーまで、いくつか決め切れないシーンが続いていたので、悪い流れ。

その直後に、失点。やはりエスクデロ・セルヒオと原口にやられた。右サイドでタメを作られ、原口がバイタルまで入って切り替えし、ミドルを一度はキム・ジンヒョンが弾くも、高崎に詰められて同点。時間も後半33分と、そろそろ試合を潰さなくてはいけなかったところだけに、重苦しい空気。


それでも希望が持てたのは、両軍の守備に差があったから。この時間に来て茂庭がよく動くようになり、山口、扇原のボランチも気持ちを切らさずに堅実に働いてくれていた。対する浦和はファビオ・ロペス、杉本、丸橋、清武に再三突かれている守備のギャップを埋めることができず、得点をとるために攻撃的なカードばかりを切ってしまっていた。

その差が、同点かと覚悟を決めた後半42分に形となって現れる。やはりファビオ・ロペスの左サイド突破、スピードにのって中に折り返すと、最後はよく上がっていた扇原。相手に潰されそうになりながらも左足一閃、ボールはゴール右隅に突き刺さる。キーパー加藤は一歩も動けず、再びリード。


いい状態のチームであれば、ここからの一手、反撃のための策が残されていただろうが、浦和はこの時点でカードを全て切っていて、後は個々の頑張りに頼るしか無かった。セレッソも今年同じような試合を何度も経験してきたから、その辛さは我が事のようにわかる。まるで我が身が泥沼の中に入っていくような錯覚さえ覚えた。ファビオ・ロペスがロスタイム、容赦のない飛び出しからループシュート、枠に当たるも倉田がこちらもよく詰めて3-1。試合を完全に決定づけた。

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後半45+2分、お役御免のファビオ・ロペスと永井が交代


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後半45分+5分、時間稼ぎと守備固めに藤本



今日の試合は若手にとって、単身海を渡ってやってきてくれたファビオ・ロペスにとって、そしてセレッソにとって大きな試合になった。まだ何も決まってはいないが、今まで下を向いて歩いていたのが、上を向いて歩けるようになった。

この夏は苦しかったが、主力が怪我をした中で、若手に成長の場が与えられ、苦しいながら結果を残してくれたことを、まず喜ぼうと思う。播戸、ボランチ、3シャドーが今日の出来であれば、キム・ボギョン、小松の復帰も無理させずに済む。本当に大きな勝利だ。

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