8/14/2011

2011 J1 第21節 C大阪1VS1G大阪 The man with the golden gun.

後半31分 キム ボギョン(C大阪)
後半34分 中澤 聡太(G大阪)


今日は酷暑、大阪の最高気温は36℃にもなった。長居はスタンドが高く、屋根もある、ピッチの上はもっと酷い状態だったに違いない。

それでも両チームの選手、サポーター、スタッフは全力で頑張ってくれたと思う。日本一のダービーは大阪ダービーだと信じている。その名前に恥じない戦いだったと、ためらいなく言える。そんな試合だった。

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スタメンを見よう。やはり新外国人ファビオ・ロペスに注目が集まる。スタメンは予想通り、尾亦は丸橋のサイドの守備の塩梅で交代しようという意図が感じられる。セカンドストライカー不在が不安。ガンバも二川不在、橋本は復帰直前ながらも間に合わずで、双方手駒に不安があった。

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試合開始時


前半の前半は、ガンバが猛烈に仕掛けてきた。ラフィーニャ、イ・グノに当てて、簡単に下げて、スピードある2列目が拾ってフィニッシュという形を何度も作られる。

二人ともアドリアーノのように強引に持っていく感じではなくて、中盤や周りの選手に気を配りながらベストの選択肢を選んでいくクレバーさがあった。対するセレッソはボールを保持できず苦しい。キム・ジンヒョン、上本が白眉の出来で失点こそ無かったが、難を逃れるのが精一杯。
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上本のプレーで何度救われたか!!


ただガンバの年齢構成を考えれば、前半飛ばして精神的に優位に立ち、スコアもリードして相手を疲弊させるという意図が見えていたので、これをブレイクできたのは大きかった。キム・ジンヒョンはまた1つレベルの高いプレーをしていた。
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セットプレーの合間に茂庭達とポジション確認


前半の後半には猛攻が収まったが、それでもガンバはガンバらしく、テクニックと試合の勘所を掴んだプレーでセレッソに攻めかかる。セレッソも2列目の3人とマルチネス、両サイドがゆっくりとプレーの質を上げてきた。一進一退の攻防が続く。
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普通のコンディションなら、これくらいはしてもらわないと、という感じだけれど、今日の大阪はスポーツをするという環境ではなかった。ガンバMFでいいパスとランを繰り返していたキム・スンヨンがアクシデント(故障?体調不良?)でピッチを去り、平井がトップに、トップにいたイ・グノが2列目に入った。
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マルチネスと交錯した際もダメージが大きそうだったスンヨン

トップのイ・グノと2列目のキム・スンヨンという取り合わせが脅威だったので助かったけれど、やはりいい環境でサッカーをしてほしかった悔恨みたいなものは持っている。

この交代でガンバはプレーの質を少し下げてしまった。セレッソがようやっと息を吹き返す。
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セットプレーでも好機!

清武は代表に選ばれて、プレーの質や存在感が上がっていた。もともと他人に合わせてプレーを変えられる選手であったけれど、それにプラスして「清武らしさ」みたいな自分の色を出すようになって、それがいい方向に働いている。攻撃の核は間違いなく清武だった。
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前半はこのまま0-0のスコアレス。好機の数ではガンバ、流れで言えばセレッソ。


後半は、やはり両チームとも疲労の色が隠せない。セレッソの両サイドバック、ガンバのボランチあたりが怪しくなってきた。ガンバはショートカウンターでサイドに起点を作った時、セレッソは相手のボランチと守備ラインの間のスペースに3シャドーが入った時にいい形が作れていた。

ただセレッソサポーターから言うと小松の出来が良くなくて、シャドーと絡めずボールロストしていたのが不満だった。レヴィーも同じ気持だったのだろう、ファビオ・ロペスが満を持して長居のピッチに立つ。
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後半26分


今日のファビオ・ロペスに求められていたのは1トップとして2列目のプレーの幅を広げること、高さというファクターを作ること、チェイシングをしっかりして守備の負担を下げることだったけれど、そのどれも出来ずじまいだった。パス交換もあまりなく、トラップも雑で、この試合に関しては不合格。

ただそれはファビオ・ロペス個人を批判しているわけではない。香川は素晴らしいプレーヤーだけれども、突然センターバックをやれと言われて完璧にこなせるだろうか?ファビオ・ロペスの個性が生きるポジションを早く見つけ、連携を深めて行ってほしい。
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清武の気づかい


しかしチームとしてのプレーの質が下がったにもかかわらず、先手をとったのはセレッソだった。セレッソらしい細かなパスワークからキム・ボギョンがペナルティエリア右サイドまで歩を進める。強いフィジカルで強引に持ちだすと、左利きらしい豪快なシュートが突き刺さる!
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火を吹いた黄「金」銃


ここで試合を引き締めれば、セレッソは勝てていたはずだ。間違いなく、確実に。僅かな綻びがあったことを認めなければいけない。セットプレー、サイドからのクロスに対して受け身になってしまい。中澤の高さにやられた。先制から5分も経っていないのに!

セレッソのチーム編成はサポーターから見てもいびつなものだ。殆どの選手は地上戦に特化していて、高さという要素をほぼ無視する形でメンバーを組んでいる。ゴール前のハイボールに関してはキム・ジンヒョンにお願いしますというのが現状で、彼がノーミスで90分間プレーしなければこういう失点は避けられない。藤本をうまく使わなければこういうシーンはシーズン中あと何回か出てくるだろう(それと引き換えにドリブルで持ち込まれた時などは茂庭、上本がほぼ完璧に封じているから、変えられない。覚悟しておくべき、計算に入れなくてはいけないパターンだ)


その後の試合は、いい書き方をすれば死闘、悪く言えばガス欠同士の力の入らない殴り合いだった。セレッソはボランチから後ろがほぼ全員パンク、ガンバも明神らベテランがいっぱいいっぱい。両チームともフレッシュな選手を入れたいが、そんな駒を持っていない。歯がゆい時間。

救いがあったとすれば、倉田の気迫あるプレー。
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いつもはミスをしてもニコニコな倉田が、今日は鬼気迫る働きで、ガンバを脅かしていた。もつれ合いながらライン際のボールを取りに行くも届かない。普通なら笑ってしまうところを、ペットボトルを蹴って悔しがり、攣りそうな足をだましだまし動かしていた。このプレーを観ていて、ああ、倉田はほんとうの意味でのセレッソのプレーヤーになってくれたのだと、確信することが出来た。ようこそ、セレッソへ。

ガンバ西野、セレッソレヴィーの切った最後のカードは、J初出場の大森と、守備がもっぱらの山口螢、どれだけ苦しい台所事情かがうかがい知れる。セレッソに関して言えば、永井や杉本が見たかったという気持ちがあるので、これを隠れたミス、と言うこともできるけれど…。

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後半45分+3分


試合終了の笛がなると、両チームの殆どの選手が倒れこみ、下を向き、まともに動ける人間のほうが僅かだった。それほどの試合だったのだ。

苦しい戦いであっても全力で向かっていったガンバ、セレッソ両チームには頭がさがる。これだけの試合ができれば、大阪ダービーは日本一のダービーと胸を張って言える。この試合に関わった全ての要素が、ダービーの名前に見合うものであったことは、セレッソの球団としての勝利だったと、それだけが心の救いになっている。

また半年以上、こんな胸の高鳴りが止まらない試合ができないのは寂しいが、より強くなり、より素晴らしくなって、青黒を打ち倒せるよう精進しよう。次のダービーが今日以上に素晴らしいものになるように。

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