「長居が満員」という意味
俺の知り合いに、夢を持って仕事に打ち込んでる人がいる。その人はとある会社の面接を受けた時
「5万人入るスタジアムを満員にしたいんです!」
と、力強く言ったのだそうだ。上司はきっと、その夢の大きさに賭けて、その人を組織に加えたんだと思う。
長居スタジアムは、デカイ。嫌になるくらいデカイ。J2の時はこのスタジアムで、観客6,000人とかで、普通に試合していた。どれだけガラガラだったかって話だ。
野球のメッカ、大阪にある巨大スタジアムを満員にするのは、容易ではない。
観客はきたけれど…
去年満員に近かったのはホーム開幕戦となった大阪ダービー(30,764人)と、ラスキヨマッチと銘打たれた浦和戦(36,723人)の2試合。ここが問題なんだと考えている。
ダービーは約半数がガンバサポーターだし、ラスキヨマッチは清武見たさの一見さんが多かった。セレッソのサポーターで、どの試合でも、何が何でも見に来るって層は、ホーム札幌戦の8,226人ってのが近い値じゃないだろうか。
そこから、試合の重みであったり、アウェイサポーターの数によってどれだけ上積みができるかということ。
費用対効果の悪さ
ややこしいのはこの上積みをしていくためのアプローチだ。
例えばさいスタを6万人で埋めるのには、サッカーを知っている層、近隣に住んでいる層、ある程度見当が付いている層にアプローチをすればいい。しかし長居を満員にするためには、あまりに曖昧模糊な「ライト層」に訴えかけなければならない。だから広告費に対する効果があまり読めず、選択と集中ができないままになることがある。
毎試合、ラスキヨマッチのようにボカボカと広告費を捻出する訳にはいかない。だから肝心なのは、たくさん来てもらった時、ライトな層にどれだけ「また来よう」と考えてもらえるかだ。それを繰り返していくことでしか、前述した「何が何でも来る」層は生まれない。
満足度はあがらない・・・
ところがこれも厄介事がひとつある。ライト層は(当たり前だけれど)サッカーを見る機会が少なく、生観戦の楽しみ方がわからなかったり、コア層やコア層を相手にすることが慣れてしまったクラブスタッフが予想していなかった行動をとってトラブることが多いのだ。そうして、試合観戦に満足を得られないまま帰宅してしまう。
ダービーは、まあ質は違うものの相手もコアな連中である。しかし浦和戦に来たライト層は本当にスタジアムに来るのがはじめて、なんて人もたくさんいた。
コアなら何万人も来る試合は混むから早めに来ておこうとか、メシはどこかで調達しないと無理だとか、当たり前のように算段をつけてくるし、入場待ち列もどんな風に伸びていくかわかっているから迷わない。
でも一見さんは違う。7時キックオフなら6時半に来るし、フードコートもギッシリになる。列もどこまでいくやらわからなくて、公園の中をさまようなんて人も出てくる。 それをいつもと同じ数のスタッフで応対するから、ライト層もコア層も戸惑ったまま、当座の収益にはなっても先々への効果が薄いという、あまり良くない結果だけが生まれる。
結果論になるけれど、去年の3月にやったスタジアムミーティングの頃から、事態はあまり変わっていない。
「商売」をする上でのサポーター論
少し前にFOOT×BRAINという番組が植田朝日氏を招いて「サポーター論」を語り合い、反響を呼んだことがあった。
コアとかゴール裏とか、いわゆる濃い層からすると、今のサポーターはお客さんであり、ぬるいと感じるという主旨だったと思うが、それは違うんじゃないのかという反論が多くあった。一般論でいうなら、サッカーに興味がある無い、興味の度合いなどで階層を作るのは確かに間違えている。
しかし、これがクラブ運営をする側となると話は別だ。ターゲットを細分化し、それに合わせてアクションを起こし、効果を上げていかなくては観客数は増えない。
これは、自分がコア層なんだと自覚している人間も、等しく意識すべき話だ。
ライト層がスタジアムに入った時、そこに目に見えない区分のようなものがあって、排他性、排外主義的な空気を感じたらどうだろうか?逆に、そこで何か暖かい経験をしたらどうだろうか?スタジアムに自分の居場所があると感じてもらえる行動も、等しくクラブに貢献するサポートと言えないだろうか。
サポーターにできること
今、セレッソというクラブはこれまで経験したことがない客層を相手にしている。海外移籍が増えたことからライト層が現れたし、若手の選手をアイドルのように感じている若い女性層も格段に増加している。
これを嫌がるサポーターも多いけれど、そこを何とかできないものかと思う。そういう自分たちもまた、かつてはライトなサポーターであったはずで、そこから良い経験、快楽といってもいいかもしれない、そういう体験をしてセレッソを中心にものを想う人間になったはずなのだから。
次に続く層を作り、育て、増やしていくというのは、どの世界のどんな分野でも疎かにしていいものではない。それに携われることを栄誉と思い、進んでいくのもまた、コアな行動だろう。
自分語りになるけれど、ユニフォームを着てスタジアムやその周りを歩く時、セレッソのお客ではなくて、セレッソの一部だと思うようにしている。
例えば誰かがユニフォームを着たまま乱暴狼藉を働いて、その様を普通の人が見ていたとして、それでセレッソの試合を見に行きたいと思わないだろう。子供などがいる人なら、むしろ近づかないようにしようと考えるほうが自然だ。そしてセレッソのメインターゲットになっているのは、それを強く意識している家族層であり、若い女性層だ。
誰もが楽しく観られるスタジアム、これが究極。1回目の人も1000回見た人も、チームを観ている人も選手個人を応援している人も、等しく満足できるスタジアムでなければ、5万人は集まらない。あまりに高いところにある目標ではあるけれども、目標を目指さなければ前進はできない。
あんまり肩肘張ってても楽しくないけど、ガラガラのスタジアムも寂しいでしょう?
はじめまして。いつも拝見しています。
返信削除スタ初心者から言わせてもらうと、コア層の試合日のタイムスケジュールを日記調の記事にでもしてもらえると分かりやすいかな、と。
今日は○○が相手だから、いつもより早めの開始時間の○時間前にスタに行かないといけない。
スタ近所の○○というお店のご飯が美味しいから、そこで食事をして、スタグルメの○○は人気だから早めに並ばないと買えない。
あとスタジアム内のルール等についても言及してもらえると嬉しいですし、戸惑いなく応援に参加できるように思うのですが・・・。
敵地に乗り込んで、すいません。ではでは。
それはよいですね!
削除確かに、コアな人の行動は、最低限の移動で最大限の効果を出すように組まれていますからね。
今年から少しだけルールも変わるようですし、一度組んでみよう!
>これは、自分がコア層なんだと自覚している人間も、等しく意識すべき話だ。
返信削除>ライト層がスタジアムに入った時、そこに目に見えない区分のようなものがあって、排他性、排外主義的な空気を感じたらどうだろうか?逆に、そこで何か暖かい経験をしたらどうだろうか?スタジアムに自分の居場所があると感じてもらえる行動も、等しくクラブに貢献するサポートと言えないだろうか。
これが全てじゃないかと思いますよ。
一見さんやライト層はこう言う反応には特に敏感です。
クラブから見ればライトもコアも同じお客さん。
コアが他を排除すれば客足がなくなるのは当然。
こう言った選民思想をなくすことが客層を増やすことだと思います。