前半44分 杉本 健勇(C大阪)
後半18分 永井 龍(C大阪)
俺達が本当に観たかったものは、スター選手のプレーだけじゃない。みんなで戦って、みんなで勝利を勝ち取って、みんなで喜びを分かちあう、そんな、至極当たり前の至福が、何よりも大切なんだ。岡野さん、ちゃんとこの試合を観てくれていただろうか。
スターターは2日前の天皇杯磐田戦とほぼ同じ。トップは杉本健勇と永井龍、中盤は2列目に楠神順平と南野拓実、ボランチはキム・ソンジュンと扇原貴宏、守備ラインは右から酒本憲幸、山下達也、ケガ明けの染谷悠太、丸橋祐介、キーパーはキム・ジンヒョン。ベンチに小谷祐喜が入り、吉野峻光はベンチからも外れた。カカウも股関節痛のために離脱、ディエゴ・フォルランは大熊裕司監督になってから2試合ベンチスタート。
試合は、スタッツを見ると互角という感じだけれども、内実セレッソの「らしさ」が全面に出て、柏のよさを消していた。特に守備がよく、柏のミスにも助けられ、クリーンシートを達成できた。一週間前まで川崎に面白いように失点をしていた、同じチームがだ。
守備がいい理由は、ディフェンスラインが強固になったということももちろん、前線の永井、杉本の献身的なチェイシングによるところも大きい。
これは推量になるけれど、前監督、マルコ・ペッツァイオリが目指していたのはこんなサッカーだったのではないだろうか。相手がボールをホールドするのにもたついていると見ると連動してプレスをかけ、相手に自由にやらせない。ボールの出どころがプレッシングを受けているので相手フォワードまでまともなボールは来ない。ボールはまるでセレッソの4-4-2のブロックに追いやられるようにサイドにサイドに流れていき、途中でやすやすと奪えるようになる。
口で言うのは簡単だけれど、これは本当にキツいサッカーで、90分間全てこのスピードというのは無理がある。どこで仕掛けるか、どこは引くのか、というセンス、判断力も要求される。心身のスタミナを出し尽くさないとできない芸当だ。今年の夏はそれで自滅した。
ところが、今のセレッソは切り替えがよくできている。天皇杯ではミスも目立ったが、今日はその数は少なくなり、致命的なものは無かった。大熊監督はシンプルに指示を伝えているようで、勘所を理解した選手達は迷いなくボールを追うか、引いて立て直すのかを判断していた。結果として4-4-2のラインはコンパクトにまとまり、相手に対して有利な状態を長く続けられた。
正直、二日前の天皇杯で走り回った選手達が、今日の試合でもかなり走り回れたのは嬉しい驚きだった。それにJ1のチーム相手でも通用したことも自信になった。
懸念していた得点力もかなり改善されている。サイドバックも絡めた幅のある攻撃、2列目が中に絞って突破を図る攻撃、それらも使い分けができていて、一つの攻撃パターンが通用しなくなると、もう手持ちの札が無くなるなどということも無くなった。また、相手ゴールキーパーの菅野孝憲は上背がないのを判断力とスピードでカバーするタイプだと分かって、サイドからのボール、高さのある攻めを増やしていた。杉本の先制ゴールもサイドの酒本からのドンピシャクロスを合わせたもの。この間までくすぶっていた二人が結果を出してくれた。
後半の永井のゴールは、ここまでひたすら相手ボールホルダーに食いついてきた献身性に対する正当な対価だ。シュート自体はディフレクションしてコースが変わった幸運なものではあるけれど、その幸運を手繰り寄せたのは彼の積極性、貪欲さがあったればだ。
さらに好都合は続く、柏は失点を跳ね返そうと躍起になり、後半23分までに交代カードを使いきってしまった。セレッソはその様子を見ながら相手が打開していこうとしているポイントをせき止めればよかった。実際はスターター11人の状態がかなりよかったのでパッチする必要はなく、少なくとも二枚のカードを時間稼ぎに使えたのだけれど。
後半37分 |
後半40分 |
後半45分 |
そうして、交代で入った秋山大地の激しく大胆なプレーが柏の息の根を止めてくれた。山口蛍、長谷川アーリアジャスールを欠く中で、彼のブレイクはかなりいい材料になる。扇原が累積警告とも聞くが、山口蛍が間に合ってくれれば、ダービーでもボランチで苦戦ということは無いだろう。フォルランが前線でのハードワークに10分でも参加してくれれば、とっておきのジョーカーになるところだったが、そこまで求めるのは酷な話だろうか。
さて、もう書くことが無くなってしまったな。今のセレッソは、以前のセレッソが当たり前としていた、全員が労を惜しまず走るサッカー、当たりも激しくアグレッシブなサッカーを取り戻していただけで、特別な戦術もシステムも使ってはいないのだから。愚直に、思い切ってトライし続けた結果が3ヶ月と10日ぶりの勝利を引き寄せた。結果が出たのなら、後はこれを続けていくのみ。
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