前半7分 大島 僚太(川崎)
前半33分 南野 拓実(C大阪)
後半22分 森谷 賢太郎(川崎)
後半26分 レナト(PK)(川崎)
難しい問題だ、どうやったら今のセレッソが相手より1点多くとる、なんて芸当ができるか。久しぶりにテレビで観ていたけれども、なんとも言えない無力感を覚えた。
今のセレッソには、いろいろな問題が機織りの生地のように縦横に組み合わさって、それがガッチリと噛み合って、簡単にはほどけない。一つ一つはシンプルなことのはずだけれど、多重構造のそれはたちが悪い。
大きくは三つの問題がある、ケガ人の問題、監督の問題、選手の問題。試合の個々のことはさておいて、今日はこのことを中心に話そう。平野甲斐がPKを与えたとして、彼だけの責任ではないことは分かっているから。
先ずはケガ人だけれども、今日の試合ではレギュラーから扇原貴宏、キム・ジンヒョン、藤本康太、安藤淳、山口蛍、ディエゴ・フォルランが抜けた。扇原は日本代表、キム・ジンヒョンは韓国代表として招集されたものだが、藤本康太、安藤淳、山口蛍はいずれもケガによる離脱で、ディエゴ・フォルランはレギュラー5選手が抜けたことを受けてのベンチスタートだった。
右サイドバックは不慣れな平野甲斐で、ボランチも組み合わせとしてよくないことがわかっているキム・ソンジュンと長谷川アーリアジャスールのコンビしか用意できなかった。左サイドには吉野峻光が今季初スタメン、キーパーは武田博行、センターバックに小谷祐喜、2トップの一角は永井龍と苦しい台所がよく分かる布陣になった。
前半の前半は、監督の問題がよくよく出ていた。規律正しい守備、前からの守備、そこからの速攻をよしとすることに間違いは無い。だがこれまで10試合以上、様々なシステムでそれに取り組んだものの結果が出なかったことが仇になり、選手と監督のイメージに齟齬が生まれていた。
例えば前線のカカウ、永井がプレスにかけても、プレスがかかるか不信に感じている中盤が連動しないため、やすやすとプレスを外される。4バックはそうなることを恐れてラインを上げられない。前を信じられない中盤、前と中盤を信じられない守備ラインが、見た目にも精神的にも分離していて、4-4-2の3ラインは間延びしていた。川崎にとっては攻めやすい状態だ。
ボールを奪っても「信じて上がる」ということが無いため、誰かが誰かを追い越していくとか、ポジションを入れ替えるとか、複数人が連動したパスワークとか、相手を揺さぶる動きがほぼ皆無だった。もともとマルコ・ペッツァイオリのサッカーはそれが少ないのだけれど、今日は特に。
もう一度書くが、今のセレッソが是とするサッカーは全体で、前から奪って、そこから相手の守備システムが機能するまでの合間にゴールを奪うことが至上だ。だからひねりの効いた攻撃よりも、最短の時間で、最小の手数でゴール前に迫ることを目指している。
ペッツァイオリはそのための練習を中心に時間を割いているから、攻めが停滞しだすと「イメージと違うぞ」と何度も指示を出す。あれは彼の怒りでもあり、焦りでもある。速攻を防がれると手詰まりになると知っているのだ。二の矢、三の矢が無い引き出しの少なさも、今のセレッソにとって足かせになっている。
それで、選手の動きも緩慢になり、今までできていたことさえできなくなっている。パスワークの精度、心身のスタミナ、集中力、どれもかつての面影がない。練習の不出来が影響しているのか、精神的なひっ迫感がそうさせているのか、そのどちらもなのか、とにかく、チームの力がそこここで低下している。
後半26分 |
後半30分 |
後半41分 |
立て直すには、先ず選手個々のテンションを正常な状態に戻すことが先決だ。そこができていないと戦術がどうとかいう話にはならない。そこから、その位置から成功体験を得られて、ようやっと残留争いのスタートラインに立ったといえる。監督を変える?それで成功するならそれでもいい、確証は無いけれど。
優勝、タイトル奪取、目標を高く掲げて失敗するのはセレッソのお家芸になってしまったな。しかし、最低限のミッションさえクリアすれば、何度でもチャレンジができる。だからサポーターも、クラブも、チームも下を向いてはならない。それこそが、奈落に落ちるか落ちないかの最後の瀬戸際だから。
年末に「今年はヒヤヒヤしたな。」とか、そんな感じで笑えればもう十分だ。
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