11/23/2015

明治安田生命J2リーグ 第42節 C大阪 2vs0 東京V We still alive!! #cerezo #verdy #photo #diary

そこに「死んだ顔」はなかった、みんな生き生きと動いていた。


戦術なんぞクソ喰らえで、不器用で、バカバカしいセレッソ大阪。攻撃に人数かけすぎてテンパったり、気負いすぎたキム・ジンヒョンが空回りしたり、個人技をガンガン披露するあまりに味方と進路がバッティングしたり…。でも、それで苦しむのがセレッソ大阪で、それで勝つのがセレッソ大阪なんだ。不条理だけど、それでいい。


スターティングメンバーは、サポーターが「これで行ってくれ」とリクエストした、そのもののよう。キーパーはキム・ジンヒョン、守備は右から田中裕介、茂庭照幸、山下達也、丸橋祐介、ボランチに山口蛍と橋本英郎、攻撃的な位置に関口訓充と楠神順平、そしてツートップは田代有三と玉田圭司。


大熊清監督のサッカーはどんなものかと思っていたけれど、パウロ・アウトゥオリの指揮よりも、レヴィー・クルピのそれに近い。組織の縛りはルーズで、個々人の意識や、やる気みたいなものに任せる。指揮というより、放任。


今日のスターティングメンバーでは橋本、関口、田代、玉田とベテランが揃っている。自分の能力、使い方、使われ方をよく知っていたように思う。楠神と関口という2列目はふたりともドリブラーなので、パスワークのようなものはうまく紡げなかったけれども、前に前にという推進力はあった。だから、放任でもよかったんだろうな。

ヴェルディは、アラン・ピニェイロの強さと、杉本竜士の速さ、いやらしさが際立っていた。セレッソOBである中後雅喜が捌いて、前線を動かす。こちらは山口蛍が動かして、前線を躍らせる。チームの骨子みたいなのは似ている。


だからか、スタッツを見るとシュート数13対12、ゴールキック10対8、コーナーキック6対7と、差異は少ない。スコアは2-0になったのは、個々人の力量もさることながら、以前から選手が口にしていた球際の強さだとか執着みたいなものが息づいていたからだと感じている。やりたいことをやれる、この自由を得た代償として、自分のベストを尽し、責任を果たそう。選手の動きからはそういう自らが課した「契約」みたいなものを感じた。

さもないと、今まで日本で1ゴールしかあげていない茂庭が2ゴールを奪えるはずはない。チームで最も闘志をむき出しにするスタイルの彼に、吸い寄せられるようにボールが集まったのは、そういう理由なんだと思う。前半の玉田のキック、後半の関口のキック、ともに見事だったしね。


ただ、まだまだ整理できていない問題もたくさんあった。押し込まれるとボランチが守備ラインと近づきすぎる。それから攻撃に転じた時、3対3くらいの局面でも個人技にかたよって、相手の急所にパスを出せない。そう、昔のセレッソが抱えていたのとよく似た問題。


そこを直すには、監督からの指示もあるだろうけれど、ミスをした自分自身、ミスではないけれど、やっていれば1点とれた、1点防げたプレーを行えた自分自身を変えないといけない。それが自由の代償で、それを果たせない人間は、ピッチにいられない。選手が自由にするというと勘違いする人がいるけれど、自由とはそういうことなんだ。


セレッソを待っている「怖さ」は、この自由を履き違えてペースが壊れてしまうこと。レヴィー時代もそうだったけれど、一度狂いだすと修復するのがとても難しい脆さがある。だから、一発勝負のトーナメントではあまりうまくいかない。

後半34分

後半38分


でも、今はこの形で行くしかない。このサッカーで、次の試合は「負けないこと」その次の試合では「勝つこと」が至上命題になる。そこまでいかないと、セレッソがJ1に回帰することは叶わない。胃が痛くなる2週間、目まいがする2週間が待っている。


それは、幸せでもあるのだけれどね。今日の試合で対戦した東京ヴェルディは、セレッソに勝てば昇格プレーオフ入りが果たせた。俺達はその夢を食いつぶして生きているんだ。俺達はその他のチームが行きたくても行けなかった、最後の切符への挑戦権を得たんだ。だからこそ、残り3チームの希望も食いつぶして、残酷に戦おう。あとふたつ、あとふたつだ。

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