3/20/2016

2016 明治安田生命J2リーグ第4節 山形 0 vs 1 C大阪 ベテランの意地。 #cerezo #セレッソ #セレッソ大阪 #montedio #モンテディオ #モンテディオ山形


幸せの只中にいる時は、人は幸せだとは思わない。後になって楽園を追われ、不幸せになってはじめて、ああ、あの時は幸せだったのだと悔恨することになる。人が幸せを感じる時というのはそういうものだ。

今、セレッソに関して「悔しい」とか「惜しい」と感じることは少ない。それはつまり、幸せということなんだろう。


スターターは変わらず、風邪をひいていたリカルド・サントスもなんとか間に合った。リザーブでは椋原健太に代わって田中裕介、インフルエンザの玉田圭司に代わって田代有三が入った。ルーキー澤上竜二も続けてベンチに入っている。


この試合は町田、水戸、群馬戦とは違った展開になると予想していた。理由はふたつ、システムのミスマッチがあることと、そして毛色の違うストライカー、大黒将志の存在。

Jリーグで最近使われている3バックは大抵3-4-2-1を採用している。これはマンマークとゾーンディフェンスを混ぜ込んだ特殊なシステムだ。

3-4-2-1のマッチアップ

昔の3バックは相手の2トップに対して二人がマンマークで付き、残りの一人が飛び出してくる二列目やこぼれ球をスイープ(掃き取る)するシステムだった。

今は違う、守備時はウイングバックまでが下がり5バックになる。これは4バックプラススイーパーという考え方。そして3トップの両サイドは中盤下がり、ボランチやウイングバックを補助する。つまり5-4-1に近いシステムになる。攻撃時は3-4-2-1、守備時は5-4-1、これがJリーグローカルな3バックシステム。

守備時には5-4-1に

今は随分メジャー化した変則3バック、最初に取り入れたのは広島だった。しかし攻撃時に4-1-5になるこのシステムは、人材ごと刈り取った浦和以外には実現できなかった。だが攻撃時に3-4-2-1に変わる程度であれば、運動量があるチームでなら導入できる。こうして耐えて守ることを志向したチームは3-4-2-1を採用するようになる。

J1湘南などスターがいないチームでも、練度を上げ、フィジカルを強化すれば堅い守備を構築することが可能になった。


このシステムの問題は得点をどうとるか。広島は佐藤寿人という得点源がいて、浦和は興梠慎三というポストプレーヤーがいて、そこをうまくカバーできた。セットプレーに活路を見出すというのも方法だろう。

山形はそこに大黒という「答え」を見出した。それは2013年のセレッソが4-4-1-1という縦に間延びするシステムを導入しながら、柿谷曜一朗という存在がいた事で勝ち点を伸ばし続けたそれによく似ていた。だから怖かった。


セレッソにとって見ると、このシステムでは、4-4-2の3ラインのチームよりは前の枚数が少ない。だからセンターバックの山下達也と茂庭照幸はプレッシャーが少ない中でプレーできた。問題はそこより前で、中盤以降は1枚多い相手をどう崩すかが問題になった。

正攻法はこちらも枚数を多くして崩すこと。ただしそれをすると大黒に時間と空間を与えることになる。なのでこの試合のセレッソはもうひとつの方法をとることにした。速攻で、相手がシステムを攻撃から守備に変わり切るその前に崩す。


今日の柿谷を「物足りない」と感じる人も多かったろうが、第2節、第3節で見せていたのと同じパフォーマンスを見せてくれていた。トップ下として中盤でボールを受け、ブルーノ・メネゲウやリカルド・サントス、杉本健勇たちにいい状態でそのボールを供給する、それも、出来る限り早く。

左サイドから崩して中に切れ込んでいたブルーノ・メネゲウに合わせたプレーなどはうまく噛み合ったケースだ。ただしそれ以外はセットプレー以外に見せ場はなかった、敵陣まで攻め込んでも守備が整っているから打ち切れない。


後半は追い風になったことでロングレンジのシュートがとりわけ増えた。これも守備が整う前に攻めきるという意識があったから。柿谷にも一度好機があった、決めきれていれば……。

山形が不運だったのは、選手の交代枠ふたつをケガによって使わざるをえなかったということ。セレッソは3つある枠を全て大熊清監督の意図通りに使えた。

最初は「いつもの」交代。好守に走り回ったブルーノ・メネゲウを下げて、同じようにタテの推進力を持つ関口訓充を入れる。




次は杉本健勇を下げて澤上、これは70分過ぎの交代。



セレッソでは右サイドを専らとし、突破力を持つ清原翔平がいるが、大熊監督は澤上を重用している。これはボランチにソウザ、山村和也というフィジカル、高さを併せ持つ選手を入れている理由と重なる。

どんなにいい選手でもボールに届かなければ意味が無い。物理的な強さ、高さがあるプレーヤーで押し切る形がとれるなら、そうしたほうがいいという考え方なのだろう。


リカルド・サントスもそうした意図で使われているようだが、さすがに病み上がりでフル出場は無理だったのだろう、田代有三がピッチに登場、古巣山形の前で仕事をしてくれた。

これまで昨季のセレッソを支えてくれた玉田、田代、橋本英郎、扇原貴宏といったメンバーに出番が与えられていなかった。そんな中でコンデイションを維持し、ワンチャンスをものにした田代には敬意しかない。


ベテランの意地の一撃で4試合連続1-0勝利。こんなことは誰も予想しなかった「嬉しい誤算」だ。まずは、この連勝を出来る限り続けていきたい。

ただ、無敗優勝など余程の事。なので、先制された時にどうなのか、負けた次の試合での復元力はどうなのかという点にも興味がある。ベテランも多くいるチームだからズルズルと後退するということは無いとは思うが……。

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