3/01/2016

大熊家先祖伝来の前からプレスはやめといた方がいいかもしれん。 #cerezo #セレッソ #セレッソ大阪 #photo #diary


2014年に時を戻そう。秋風が吹く舞洲には大熊裕司監督、つまり今の大熊清監督の実弟(今はJ3セレッソ大阪U-23監督)がいて、選手たちに紅白戦をしていた。

こういう時、監督は自分の伝えた指示とズレた動きをする選手を見つけるとプレーを止めさせ、あれはこう、これはそう、と指示を飛ばすのがもっぱらだ。彼の前に指揮を執ったマルコ・ペッツァイオリなどは約束事を多く決め、選手たちが考える時間を無くす事で、チームのプレースピードを早めようとしていた。結果は失敗に終わったけれど、どういう意図でどうしたいかが明確で、それなりに合点がいった。

ピッと笛がなって、大熊裕司監督の表情が険しくなる。ああ、これはあの選手の動きがズレたんだなとすぐにわかった。どんな指示を飛ばすんだろうとよく注視していたが「ズレてるぞ!自分で考えろ!!」と一喝しただけで終わってしまった。ああ、これは降格するかもしれないなと覚悟した最初の瞬間だった。


ユースチームの監督であれば、選手が自分たちで考え、理解し、プレーの幅を広げることはとても大事だ。けれどあの時はトップチーム、それも降格か残留かの瀬戸際にいるチームの監督なのだから、細かな指示を飛ばしてよかった。


大熊清監督はまだいくらか具体的で、結構な数の約束事を作っている。舞洲にいれば、とてもデカイ声でガンガン指示を飛ばす大熊清監督の姿を見られるだろう。


けれど、基本となる守備のやり方は兄弟揃って変わらない。前からどんどんチェイシングして相手のパスコースを限定させ、最終ラインに行き着くまでに相手の選択肢を削っていくやり方だ。

文章にすると理にかなっているけれど、開幕戦となった町田での試合ではこの守備がまったく機能しなかった。町田の、相馬直樹監督が作り上げた連携はよく整備されていて、中から外、外から中とボールを回してセレッソを疲弊させた。

俺は、本来相手のゴール前で「相手のノドに突き立てたナイフ」にならなくてはいけない柿谷曜一朗が、松田陸とともに気ぜわしく帰陣していく様を何度も写真に残す羽目になった。写真を撮る人間にすればいいことだが、チームにすれば悪いことだ。


守備はザックリと分けると、前から仕掛けていくスタイルと、引いて守るスタイルがある。少し前の仙台なんかは典型的な引いて守るタイプ、今の広島もそうだな。引いて守るとポゼッションはそう上がらないが、リスクも少ない。

広島の場合は守備時には5-4-1に近い3-4-2-1になり、攻撃時には4-1-5のように選手が前に殺到する。一見とてもスタミナが要求されそうだが、一発で局面を打開できる佐藤寿人や浅野拓磨のようなトップがいて、そこに針穴に糸を通すようなパスを出せる青山敏弘というボランチがいる。守備で引きこもっても、引きこもるからこそ、彼らが活きるのであり、得点が奪えるという側面もある。


セレッソは真逆で、前線が相手のボールホルダーにちょっかいを掛け、後ろもそれに続いてパスの受け手を封じていく。つまり前、中盤、最終ラインがうまく息を合わせないとボールが取れず、下手を打つと前に出た分後ろのスペースを使われてしまう。ソウザと山村和也がフラフラと定まらずにいたのは、息を合わせずに出て行く前と、2人と連動して上がらなかった最終ラインの間でパニックになっていたのも理由のひとつだ。

改善していくためには、どういう時に前が出ていき、後ろが続くのかのスイッチをキッチリ決めないといけない。相手の最終ラインが戻ると4枚のDFに2枚のFWがむやみに出て行って、結局はがされることになる。そうすると4-4のラインだけで相手の攻撃を受けて厳しい状態になる。


ぶっちゃけて言うと、柿谷曜一朗や玉田圭司のスピードやテクニックを活かしていったほうがいいように感じる。ある程度ブロックを下げて待つ、相手のパス供給源にボールが入った瞬間にスイッチを入れ、奪いにかかる。それである程度やれるんじゃないかと。

その場合はリカルド・サントスがベンチになってしまうけれど、それでもソウザがいて、山村がいて、山下達也までいる。だから、セットプレーで高さが足りないなんてことにはそうならない。むしろ相手とすれば187センチのリカルド・サントスが終盤パワープレーで入ったほうがイヤなものだろう。


「前から守備」が大熊家の家訓かなにかなのかは知らないけれど、できれば素材に合わせたやり方をしてほしい。

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