小倉に向かう新幹線は思ったより退屈で、これなら夜行バスでもよかったかななんて世迷言をつぶやいた。
まだ2時間半もカンヅメなので、サッカー写真を撮る時に気をつけていることをまとめたい。
この文章には「万人ウケするアドバイス」と「西中島流の、万人ウケしないアドバイス」が混在しているけれど、ご容赦願いたい。
目次
- カメラ、レンズの選定
- カメラの設定
- 座席の把握
- 試合会場の方位
- 当日の天候
- レーティング機能を利用して現像を時短
- 現像のパターンを用意しておく
カメラ、レンズの選定
先ずカメラとレンズ。
最初にカメラを選ぼう。今時のデジタル一眼レフや高級なミラーレス機であればそう問題はない。
この時注意してほしいのが「センサーサイズ」だ。平たく言うとカメラのフィルムにあたる部分。現在は「フルサイズ」「APS-C」「マイクロフォーサーズ」の三種類がよく出回っている。
◆フルサイズ
- ナイトゲームなど、過酷な環境下でも画像が劣化しにくい
- レンズの焦点距離はそのままの数字になる(300mmなら300mm)
- 価格は高い、14万から40万くらい。プロ仕様のカメラだと50万超えも
- 使えるレンズも価格は高め、さらに総じてデカい
◆APS-C
- Nikon、Canon、PENTAX、SONY、SIGMAなど、殆どのカメラメーカーがこのセンサーサイズのカメラを作っている
- フルサイズ程ではないが、ナイトゲームでも十分使える
- レンズの焦点距離は1.5倍の数字になる(300mmなら450mm)
- 入門機なら3万円代くらいで買える
- 使えるレンズも少し安い
◆マイクロフォーサーズ
- OLYMPUS、Panasonicのカメラはこの規格
- ノイズは出やすく、画質はやや低め(充分だけど)
- レンズの焦点距離は2倍の数字になる(300mmなら600mm)
- 価格はAPS-Cよりさらに安い
- レンズもボディも軽くてコンパクト
家電量販店の店員なら聞けば説明してくれる、バランスを考えるとAPS-Cが無難ではあるかな。
NikonD500(APS-C) 400mm(概算600mm)でホームゴール裏付近からアウェイゴール裏を撮る |
そして、メーカーによって使えるレンズも限られてくる。NikonのカメラにCanonのレンズはつかないし、逆も同じ。
ただし、NikonやCanonが作っているレンズはやや高めで、お財布に優しくない。SIGMA、TAMRON、ケンコーなどレンズメーカーのレンズを使うとかなりコストが安くなるのでチェック。それぞれNikon用、Canon用のレンズを用意してくれている。
サッカーの撮影をする場合は望遠レンズを買うことになるが、フルサイズで300mmから400mm、APS-Cで200mmから300mmくらいの望遠レンズで十分。
サッカーを撮ると言ってもスタンドからカメラを構えるわけで、装備は他のお客さんの迷惑にならない程度の大きさに留めておきたい。
また、カメラとレンズ一式を詰め込めるカメラバッグを買っておくと便利。カメラやレンズの破損を防いでくれる。
カメラの設定
設定で第一に気をつけることは被写体(選手)をブレさせないということ。暗く撮れた、色が変、構図がおかしい、そういうのは後からある程度補正ができる。けれど、ブレた写真は救う手立てがほとんど無い。
カメラの熱で湿気が気化して色が濁る。けど補正すればこの程度までは回復する |
ナイトゲームなど暗いスタジアムで写真を撮ると、普通の設定ではブレブレの写真を量産するここになる。
拡大して胸の「YANMAR」の文字を見ると微妙にぶれてる1/1000secでもたまにこうなる |
ここで大事なのはシャッタースピード。よく1/60とか、1/2000とか表示されるやつだ。
サッカーだと最低1/800、できれば1/1000、昼間なら1/1250くらいのシャッタースピードが必要。先ずこのシャッタースピードを確保できるまでisoや絞りを調節する必要がある。
ナイトゲームのキンチョウスタジアムだと絞り解放でf5.6くらいのレンズを使ってiso4000くらいにすると、やっと1/640か1/800くらいのシャッタースピードになる。
ほとんどの人はA(絞り優先モード)かP(プログラムオート)で写真を撮っていると思うけれど、サッカーを撮るならS(シャッタースピード優先モード)にした方がいい。理由は後で書く。
座席の把握
次に試合を見る時の座席の選び方。
野球なら投手と打者の駆け引きを観られる内野席がいいと決まっている。ところがサッカーは座席それぞれに、それぞれなりのいい写真が撮られる可能性がある。そこが面白いところで、難しいところだ。
以下に各座席ごとの長所短所をまとめておいた。
◆メインスタンド
キンチョウのメインスタンド前から2列目で撮る。角度があるのでバックスタンドは写り込まない |
ピッチにも近く、ベンチもすぐ前なので試合の流れ、ベンチワークを一度に撮られる。価格は高いけど、それなりの価値はある。たまにスタンドの位置が高いところがあるが、そういう場所は臨場感に欠ける写真ができてしまう。
◆バックスタンド
キンチョウのバックスタンド最前列。後ろのスタンドも写り込んで「雑誌とかでよく見る雰囲気」に近い。 |
メインスタンドと同じくピッチに近い。中盤の攻防を撮れるので80点くらいの写真がコンスタントに撮られる。
◆ゴール裏
陸上競技場か、サッカー専用かで価値が変わる。
野津田(陸上競技場)のゴール裏最もメイン寄りの座席から |
キンチョウ(球技専用)のゴール裏、メイン寄り前から2列目から |
陸上競技場ならいい写真が撮られる可能性はほとんど無い。サッカー専用なら60点くらいの写真が撮られる時と100点の写真が撮られる時がある。
こちらのチームと相手チームとの実力差がありすぎると、ずっと片方のゴール前に選手が密集してしまい、前半か後半どちらかしか撮られない。最悪の場合、前半と後半で流れが変わって、ずっと遠いサイドばかり選手が密集するなんて事もある。そんな時はあきらめるしかない。
だが、ゴールが決まった時、選手が喜びを爆発させるのはゴール前。どんなにお金を積んでも撮れない一枚が撮られるので、ここはここで面白い。
試合会場の方位
試合開始時間が夜ならここは省略していいけど、昼間の試合なら絶対にチェックする事。
というのも、最近屋根付きのスタジアムがやたらと増えたので、ピッチ上に屋根の影がガッツリ入ることが増えたからだ。
昼間のヤンマースタジアム。手前がメインスタンドの屋根で出来た影 |
例えばヤンマースタジアム長居だと、秋口の試合ではピッチ上の半分くらいが影とか、ほとんどが影という場合もある。直接足を運ばなくても、地図や日の出、日の入り、スタジアムの建っている方角を見ればおよそシミュレーションできる。
影の部分は夜用のセッティング(isoを上げて、ノイジーでもシャッタースピードを上げる)に近くなり、日向は昼間のセッティング(isoを低めにして画質優先にする)になる。画質優先なら昼間のセッティングだが、全ての選手を撮りたいなら夜用のセッティングにした方がいい。
カメラの設定をA(絞り優先モード)にしてしまうと、日向から日陰、日陰から日陰でシャッタースピードがバラつき、日陰の選手がブレブレになる可能性がある。なのでシャッタースピードが常に一定のS(シャッタースピード優先モード)がベストなのだ。
当日の天候
晴れの日、屋根なしのスタジアムなら簡単に素晴らしい写真が撮られる。秋口、夕刻、キンチョウスタジアムのメインスタンドから選手を撮ると逆光になり、選手の金髪が美しく撮られる。屋根付きだと前述した影の出方に注意しよう。
曇天の場合は光量が落ちるが、屋根なし、屋根付きに関わらず、ピッチ上全体がソフトな光に包まれて撮りやすい。
雨は…もう「雨の写真が撮れるよ」くらいの気持ちにならないとダメ。カメラは防塵防滴と謳っていても水に濡れてショートしたり、カビがもさっと生えてきたりするのでゴミ袋にレンズが通るくらいの穴を上げてカメラとレンズ全体を覆い、レンズの先端、カバー部分にテープを貼って固定しておこう。帰宅したら湿気取り用にシリカゲルをぶち込んだ大型のタッパにいれ、水気を吸い取ってしまうこと。
レーティング機能を利用して現像を時短
殆どのカメラには「レーティング機能」というものがついている。画像を五段階評価する技能なのだが、バカみたいに写真を撮る、1試合1500枚以上撮る、という人にはとても有益な機能だ。
試合が途切れた時、ハーフタイム、帰り道でプレビューさせながら「これいいな」と思った写真は片っ端からレーティングしていく。すると帰宅後、現像する時間が大幅に短縮できる。レーティング機能バンザイ。
現像のパターンを用意しておく
さて、家に帰り画像をパソコンに取り込んだら現像だ。レーティング機能で絞り込んだ画像の色味やシャープさを整え、リサイズしてやっと写真が作品に変わることになる。
曇天なので暗く、夜仕様の設定で補正 |
現像のセッティングは当日の天気などに左右されるけれど、およそ決まり切った、どんな写真でもやっている作業はパソコンに記録させてしまおう。
現像ソフトによりけりだけど、
レーティング機能でレーティングした写真だけを表示
↓
絞り込んだ画像全てにベースとなる加工を行う
という作業ができればかなり楽だ。
現像の際に気をつけていること
個人的に、現像の際に気をつけているのは色味だ。
Nikonは総じて黄色っぽくなってしまうし、デジタルサイネージが画像に入り込むともう目も当てられない色味になる。そうした色目を整える設定をいくつか用意して、それなりのものにしている。
さてさて、新幹線は広島を後にした。夜にはまた写真の現像だ。
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