1/16/2011

カメラを持って街に出る。

どんよりとした雲が空を覆っていた。曇天は心も曇るって人もいるが、冬の寒い風と、はれぼったい雲と、吐く息の白さが、オレは好きだ。こういう日は街にでて、何かに触れたい。丁度家内が京都の一乗寺でやっているロベール・クートラスの展覧会に行きたいという。断る理由なんて無かった。
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大阪がかなり冷えていたから、京都はさぞ寒いだろうと思っていたら、意外に悪くない天気で拍子抜けした。雑多な場所で生まれ育ったので京都の外れの静かな街は少しだけ居心地が悪かった。まるで濾過した水で満ちた水槽に放りこまれたドンコのような気分。

展示会をやっていた恵文社はその濾過水でいれたフェアトレードのオーガニックコーヒーみたいな書店だった。アメ村にあるスタンダードブックストアに近い、経営者の嗜好が強く出た店。京都らしい雰囲気で、お客さんもお店がしつらえたように自然派って感じで、これはなかなかいい。子供の頃から本屋は大好きなので、こういうのは大丈夫みたいだ。
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さて、ロベール・クートラス展は書店の奥の、小さな、本当に小さな一角で、隠れるように催されていた。彼は1968年頃から亡くなる1985年まで、パリの古いアパルトマンの一室で、毎夜「カルト(カードのフランス語)」と呼ばれる小さなボール紙製の札に油絵具やガッシュを使って一枚、ささやかで偉大な絵画を製作していたらしい。夜になると頭が不思議な動きをして、自分の想像の外にある何かと繋がる時があるけれど、彼もこの力を借りてカルト達を描いていたんだろうか?メジャーな画家ではないから、そういった気持の部分を記した資料が少ないので何もわからないのだけれど、カルトを眺めていたら不思議と理解できた気がした。クートラスさん間違えていたらゴメンナサイ。
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大阪に帰るとみぞれ雪が降り出していた。小汚い我が街よ、帰ってきたぞ!!また仲良く頼む。

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