10/03/2011

2011 J1 第28節 仙台2VS1C大阪 スコア以上の敗戦。

前半21分 渡辺 広大(仙台)
前半40分 菅井 直樹(仙台)
後半42分 小松 塁(PK)(C大阪)



スコアは穏やかなものだが、重症だ。セレッソらしさがベガルタゴールドに塗り上げられてしまった。細かなパス回し、鮮やかなドリブルはなりを潜め、中盤でのイニシアチブを奪えたのは後半のラスト5分だけ。完敗といっていい。


先発は野戦病院と化した今の状態を象徴している。自慢の3シャドーの一角に、全くタイプの違う山口螢。上本はベンチにも入っていないし、清武も当然ながらベンチ外。キム・ボギョンはまだソウルの病院のベッドの上だ。左サイドのスターターは久しぶりに丸橋、扇原は切ったまぶたにテーピングをして登場した。

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これだけメンツが変わればチーム全体のバランスを保つので精一杯。播戸までボールを運ぶはずの3シャドーが全くからまない。最終ラインと前線が水と油のように乖離していて、全体がコンパクトだった仙台とは対照的だった。

結果論になるけれど、ドリブルとパス、運動量が絶対条件の3シャドーに山口を入れたのは失敗だった。それは山口個人の問題でもあるし、彼をこの位置で起用したレヴィーの問題でもある。そんなに縦横に動くわけではない山口と、緩急をつけてボールを繋ごうとする倉田、ファビオ・ロペスの意識に差があった。仙台の2ラインも非常にタイトで、前半攻撃として見応えのあるシーンは全くなかった。ただの一度もだ。

対する仙台は見ていてもコンセプトがよくわかって、選手の意思統一がうまくいっていたように映る。流れの中のシュートでは危ないシーンは殆ど無かったけれど、ゴール近くでファウルをすればリャン・ヨンギがいる。チャレンジして余程酷い奪われ方をしなければ大丈夫という自信が後押ししていたか、前半はスムーズな動きを見せていた。


2失点に関しては、セレッソが今のセレッソであるかぎり議論され続けるだろう形。セットプレー、ゾーンで守っているからには、自分のテリトリーに入ってくる選手をキチンと見ておかなければこうなる。高さのある選手といいキッカーのいるチームに対しては特にそうだ。仙台には両方あるのだからなおさら注意しないと。1点だけならまだ我慢できるけれど、2度やられるとさすがに厳しい。歯噛みしたくなるような前半だった。


後半は頭から2枚同時投入。孤立していた播戸と機能しなかった山口に代えて小松と大竹。この二人の存在がセレッソにとっては福音だったかもしれない。特に大竹は、この試合で唯一及第点のプレー、戦う姿勢を見せてくれた。

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大竹が入ったことで、セレッソは前半よりもいい動きができるようになった。大竹、酒本の二人でポイントが作れる。左半身は倉田一人が孤軍奮闘しているだけで苦しい状態だったけれど、全体がダメだった前半に比べれば遥かにいい流れだった。

それでもチームのクオリティは今季最低と言っていいもので、枠内はおろか、シュートそのものもほとんど撃てていない。対する仙台は堅守速攻という自分のペースに持ち込めたので、非常にやりやすかったろう。シャドーに入る前にボールにプレッシャーをかければいい形が作れない、これはACLの全北と同じだか、ラフプレーで潰した全北よりもずっとスマートに、組織的に守られてしまった。


これに輪をかけたのはファビオ・ロペスの交代。杉本は前線の選手で、セレッソはそこにボールが入らなかった。なのにボールを運ぶ選手を下げて、ボールを受ける選手を入れなければいけなかった。それでロングボールならまだ話はわかるが、それまでと同じサッカーをしたのだから、チームは機能しない。

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後半24分


セレッソは大勝するかと思えばこういう試合もしょっちゅうやらかす、それは攻撃のバラエティの少なさに一因がある。

3シャドーはもうセレッソの代名詞のようになっていて、はまればとんでもない破壊力を見せる。ホーム清水戦、ホーム、アウェーの広島戦、ホーム柏戦、最近のホーム山形戦のように、いくらでも点が入る予感がする。

その一方で、一度それが封じられれば次の手が打てずに手詰まりになる。ホームの大宮戦やアウェーの神戸戦のようにピッチコンディションで機能不全になることもあるし、アウェーの横浜FM戦や前回のACL、この試合のように上手く勘所を止められて動きが封じられることもある。総得点、得失点差で素晴らしい数字を出しているのにもかかわらず、順位が伴わないのはそのせいだ。今日は最悪の出目だった。


小松が頑張ってPKを得て、自ら決めたからまだ試合になったけれど、監督とすれば頭の痛い敗戦だろう。ラフプレーを受けたわけでもなく、主軸が欠場することも早い時点でわかっていながら、適切な指揮がとれなかったのだから。

個人的には、この一試合でレヴィーという監督に対する評価は変わらない。限られたチーム事情の中で選手を育て、ベストメンバーとは程遠いメンバーでもそれなりの試合にしてくれる監督は、そういない。何よりチームを愛し、情熱を注いでくれる存在を無碍にできるはずがない。

だからと言って、今日はついていなかったねでこの試合を終わらせるのは反対だ。大勝と不甲斐ない敗戦を繰り返すのでは進歩がない。こういう試合で勝ち点を1つでも積み重ねられるチーム作りが、セレッソを次のステップに押し上げるための課題になるだろう。具体的に言えば、アウェー新潟戦のような試合がもっとあっていい。サポーターとしては胃が痛いけれど、優勝するチーム、いい成績を残すチームは、そういう試合をしたたかに積み重ねていくものだ。

主力メンバーが帰ってきたとしても、この課題をクリアしなければ、チームの順位がよくなるとは思えない。難しい話かもしれないけれど、きっとできるはずと信じる。ナビスコカップ、久しぶり(ではないのだけれど、そう感じてしまうね)のホーム戦で仕切りなおしだ。

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