12/19/2013

モニさん/2=曜一朗 残酷な計算。 #cerezo #photo

茂庭照幸選手のバンコク・グラスFCへの完全移籍が発表された。


セレッソの選手としての茂庭を最後におさめた一枚は、ホドウホさんを優しくハグするこの姿になった。


たくさんの人たちがそう思っているように、俺も茂庭という存在がセレッソ与えた影響は大きなものがあったと考えいている。彼がいなければ山下達也や藤本康太の成長は無かったろうし、他の選手の守備に対する意識やスキルも変わらなかったろうなとも。

セレッソが成績を上げる時は守備が整備されている時と決まっているけれど、2005年にブルーノ・クアドロスやファビーニョが与えたインパクトよりも、2010年に茂庭が与えたインパクトの方がはるかに大きかった。言葉の壁や共感できる経験の差なのかもしれない。



さて、寂しいけど話を変えよう。残されたセレッソについてだ。 自分たちの今後の話だ。

一部の報道では茂庭以外にも、枝村匠馬、横山知伸らも移籍するのではという話が出ているそうだ。これはリーグ4位のチームにしては異常なものだ。その理由はなんなんだろうか。結果、どこに行き着くのだろうか。

そうして記事を書こうと資料を集めていたら、サカマネ.netさんというサイトを見つけた。そうして今年のセレッソ在籍選手の年俸ランキングを見てこれだと感じた。

画像はサカマネ.netより

見てもらえると分かるだろう。高年俸の選手上位10位までで、移籍話が出ていない、すでに来季も契約を結んでいるという選手は新井場徹、藤本康太、キム・ジンヒョン、山口螢、扇原貴宏と半分しかいない。残りのシンプリシオ、茂庭、枝村、ブランコ、エジノ、播戸竜二ら6選手は移籍、または移籍が噂されている。その年俸総額は1億9500万、実に総年俸の42%にのぼる。


その一方で、今のセレッソのチーム力、そして人気を支えている若手選手たちは総じて安い。浦和戦に先発した日本人選手のうち、茂庭を除いた8選手の年俸総額は1億460万円しかない。柿谷曜一朗でさえ1500万なのだ。

この現実は二つの危機を予想させる。一つは国内外のクラブからの主力選手引き抜きであり、今一つは年俸高騰による人件費の膨張、クラブ財務の悪化だ。


一つ目はセレッソサポーターなら骨身にしみていることだろう。セレッソで活躍した香川真司、乾貴士、清武弘嗣らはまるでそれが既定路線であるかのようにブンデスリーガへと活躍の場を移した。その度にレヴィー・クルピは新しいシステム、新しい戦い方を模索しなければいけなかった。話は国外だけではない、国内のクラブでも資金が潤沢であるならば、彼らを獲得しようという動きが出てくるはずだ。広島と浦和の関係のように。

それを抑えるためには、若手にそれ相応の年俸を支払うのが最も効果的だ。そうすれば移籍係数と掛け合わさった移籍金は跳ね上がり、彼らはおいそれとクラブを移れない存在になっていく。南野拓実との5年契約などは危機意識の表れと見て取れる。


しかし、本来は安いはずの若手選手の年俸が上がれば、当然クラブの財政は圧迫される。これが二つ目の危機だ。

クラブライセンス制度を考えれば債務を作ることはリスクが大きすぎる。となると効率的な財源確保は高額年俸になりがちな中堅、ベテラン選手への評価の見直ししかないのだ。


これは残酷な話であるけれども、茂庭が移籍するか、柿谷、杉本、南野がまとめて移籍するか、どちらかをとれと言われたらどうだろう?そんなものは比べられないかもしれない。けれど、クラブを運営する人間は逃げられない、どちらかを選択しなければいけない。それが現実だ。

本来嬉しい事なのだけれど、柿谷だけではなく、多くの若手が揃って結果を残している。意図的に釣り上げようとしなくても、自然と彼らの年俸は上昇していくだろう。パッと思いつくだけでも4、5人の選手は大幅なアップがあるはずで、さらに順調に成長していけば、人件費の高騰は避けられない。極端な若手育成の態勢が変えられないとするなら、彼らも伸びしろがなくなり年俸とのギャップが生まれた時点で、茂庭と同じ道を進むことになるだろう。


これがイヤだというのなら、セレッソに投資をし、クラブを育てていくしかない。クラブの資金が大きく増えれば、それだけ人件費も増え、戦力をかかえやすくなる。スポンサー企業を増やすことも当然だけれど、そもそもスポンサーは、投資をすることでサポーターへの効果があると踏んでスポンサーという立場になるのだし、やはりスタジアムを埋め、グッズを買い込み、ファンクラブに入るということは大切なのだ。


長居スタジアムが満員になる、それが当然になる、そんな時代が来るなら、今日のような悲しい別れは少なくなっていくはずだ。それを信じて投資していく他はない。チケットはスタンドへのスロープだけではなく、セレッソの未来へもつながっているのだ。

2 件のコメント :

  1. 通りすがりの関西人2013年12月22日 5:05

    どうも、たびたび見させていただいております。
    記事の中で「移籍係数と掛け合わさった移籍金は跳ね上がり」
    とありますが今の移籍市場では移籍金の金額と言うのは言い値で
    昔の移籍金算出基準は適用されていません。
    というか今の移籍金自体が移籍金ではなく、契約期間中の移籍による
    違約金と言う形になっているので多少は契約期間の長短による
    金額設定はあれど年棒を基礎とした移籍金設定は現在では使われていません。
    ですので拓実が5年契約というのもそれだけクラブ側が拘束期間を
    設けていると言うだけで移籍金が高くなる要素とはなりえません。
    逆を言えば契約満了時にはクラブに1円も落とさず他チームに移籍するのは自由と
    言う事ですから。
    それにしても今回の茂庭の移籍は正直痛いです。
    本人の怪我やそれ以降山下に出場機会を奪われたとはいえベテランとしてチームを締めてもらう
    人間がいなくなるのは大きな痛手でしょう。
    ただ茂庭に対するタイ側の待遇はうちよりも上なんだそうでその辺の事も移籍に動いた一因でしょうね。

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    1. 補足いただいてありがとうございます。
      できることは契約期間を長く設けて(拘束期間を長く作り、満了期間のポイントを少なくして)
      移籍金を高く設定しやすい環境を作ること、なんですね。

      いよいよ選手が動きやすい環境になったなと感じます。

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