5/06/2013

2013 J1 第10節 C大阪 2vs2 浦和 チームをまとめるのに10試合。 #cerezo

得点者

後半18分 杉本 健勇(C大阪)
後半26分 原口 元気(浦和)
後半37分 那須 大亮(浦和)
後半42分 山口 螢(C大阪)



32,378人の大観衆の前で、浦和は浦和らしい、セレッソはセレッソらしいプレーができた。GWの過密日程の中で、これだけ動きがあるいい試合ができたのは興行的には成功なんじゃないだろうか。

セレッソというチームにしても、主力メンバーのほぼ全員に居場所、役割のようなものが割り振れた。 今日最後の交代にはスタジアムが不穏な空気になったけれども、レヴィー爺は結果で黙らせた。本当に、この人はチームを作るのに公式戦10試合が必要なんだな。


スタメンとベンチ、3日前に快勝した湘南戦のメンバーに出場停止明けの藤本を加えた4-4-2。小暮がベンチから外れている。


前半は決定機が少ないものの浦和のペースだったと感じている。セレッソはボール保持はするもののフィニッシュまでがなかなかつながらないのだが、浦和はもう一手先まで形が作れていた。これはチームの攻撃についての約束事や引き出しの多さ少なさに起因している。


浦和はトップの興梠慎三が楔のボールを確実に受ける。それができなければ2列目のマルシオ・リシャルデスがセレッソの4-4の間のスペースに入り込んでとにかく中央で橋頭堡を作り、一度後ろに戻してから、サイドを上がるスピードにのった選手に素早く展開する。浦和のボランチ、最終ラインにはボールを持てたりゲームを組み立てられる選手が多いのでこれができる。

浦和の3-4-2-1は、ご存知の通り攻撃時にはボランチの1枚が下がって4-1-4-1のようなシステムになる。このDFラインと前線のラインの呼吸がよく、セレッソはなかなか捕まえ切れない。セレッソの最終ラインは4枚なのに浦和の前線は4-1と5枚あるので逆サイドにかならず1枚余ることになり、これに難儀した。サイドを崩してからのアイデアと精度が乏しかったために命拾いしたが、失点していてもおかしくなかったように思う。

このセットプレーはオフサイドでノーゴール

攻撃に関しては杉本健勇が少しずつボールを収められるようになったので、そこから細かいパス回しで組み立てることになる。


けれども、相手の変則的な攻撃を受けるとボールを奪う位置が意図とずれていたり、攻撃が始まる時の選手間の位置ズレが起きていたりでなかなかいい形を作れなかった。得点源である柿谷曜一朗にボールがわたらず、これもストレスが溜まった。


いい形ができたのは、サイドバックが余裕を持ってクロスを上げられた時か、ボランチのシンプリシオが上がれるスペースを見つけた時だった。それにしても酒本憲幸、丸橋祐介ともにサイドからの攻撃に対するケアに走らされるシーンが多く、シンプリシオもそれほどリスクをとらなかったので、回数は限られていた。


決まっていればという攻撃は右サイドからのクロスをニアで柿谷が潰れて枝村匠馬がフリーでヘディングした1回だけ。あとはシュートの精度も悪く、なかなか観衆がわくことはなかった。


後半、セレッソは2列目の枝村と山口螢の位置を入れ替える。


これでサイドに追い立てられていた両選手が中にカットインしていく回数が増え、相手の中央に圧力をかけられるようになった。そちらに相手の意識がいくと、今度はサイドバックが上がる時間空間ができる。酒本と丸橋は前半ほどキツいプレーを強いられなくなった。

先制点はそうしたセレッソの余裕、浦和の焦りが生み出したものだった。前半のセレッソ、浦和の関係であったら、シンプリシオは相手のゴール近くでボールを奪えなかったろう。

それにしても杉本のシュートは見事だった。セレッソが待ち焦がれたセンターフォワードのファインゴールでセレッソが先手をとる。


しかしここからが浦和の強さ、しぶとさ。先発メンバーに匹敵するベンチメンバーを持っているのは、潤沢な資金力のあるビッグクラブならでは。原口元気と梅崎司がピッチに登場し、その原口がすぐに結果を出したことで試合の流れが一変した。


セレッソのコーナーキックからのこぼれ球が原口に渡ると、彼は長居のピッチを独走し、一気に同点ゴールを決めた。セットプレーの精度の低さは今季の課題ではあるけれど、自分たちのチャンスのはずのセットプレーで無様な失点だった(もちろんあそこで1人で決めるのだと疾駆した原口の勇気と能力も称賛されるものだけれど)。


失点したセレッソは、攻撃の意思表示をするかのごとく南野拓実を送り込む。

後半31分枝村→南野

しかし悪い流れは改善せず、セットプレーから失点、浦和に逆転を許す。この時間帯は集中力も散漫で、悪い空気がただよっていた。相手のセットプレーでは前半からフリーの選手につめられることが多かったので修正しておきたかったのだけれど。


ここでレヴィーがとった策は意外なものだった。エースの柿谷、得点を決めた杉本を下げ、エジノ、楠神順平を投入。南野を本来のトップで起用し、前線からのチェイシング強化、攻撃のテコ入れを行った。

39分柿谷、杉本→エジノ、楠神

正直、この交代に対するスタジアムの反応は冷ややかだった。柿谷とエジノの支持率の違いをまざまざと感じさせるものだった。しかし、結果はすぐに現れた。エジノと南野の前線は形になり、楠神の推進力も大きな武器になったのだ。


エジノも楠神もこれまで目立った活躍を見せられないでいたが、サブメンバーに入ってからは有効なカードになっている。特に楠神は湘南戦に続いて攻撃の核になった。こうした個々の活躍が、浦和のゴールをこじ開ける山口螢の同点ゴールにつながった。


この後も山口螢やシンプリシオの惜しいシュートが続いたが、スコアは動かずタイムアップ。

上位チーム相手とはいえホームで勝ち点1は悔しい。しかし、チームがしっかりと機能し始めたことは勝ち点と同じかそれ以上の価値がある。大宮戦に続く複数失点、逆転を許しながら、土壇場で追いついたことにも。

これをより強い言葉で主張できるようにするには、勝ち星を重ね、開幕前に掲げた「タイトル奪取」が絵空事ではないのだと、チーム、サポーターの意識を変えていく必要がある。勝とう、それ以外にない。

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