4/19/2010

J1 第7節 C大阪2VS1湘南 僕は悲劇を知らない。

前半35分 香川 真司(PK)(C大阪)
後半45分+1 田原 豊(湘南)
後半45分+5 香川 真司(C大阪)



90分間で見れば、決めきれるはずのところを決めきれず、守りきるべきところを守りきれなかった、課題の残る試合だったと言える。しかしドラマは90分を越えたところにあった。


スタメンとベンチ。マルチネスが負傷の為にベンチにも入らず、代役は家長。ベンチには前田、小松の顔が並ぶ。メンバー表だけ見れば以前と同じ3-4-3だが、実際には下図のような4-2-3-1のシステムをとっていた。

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試合開始時


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高橋、茂庭、上本、尾亦の4バック


このシステムは現在のメンバーによくフィットしていた。羽田、アマラウのボランチ二人が共に守備的であったので、そこからの展開をどうするのかに注視していたが、家長が攻守のバランスを取り、中盤のタレントの持ち味をうまく引き出していた。MOMに選ばれてもおかしくないプレーをしていたと思う。

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乾、香川とも共鳴できていた


攻撃の際には相手の守備のギャップに潜み、ボールを効率よく前線へ、サイドへと振り分けていく。守備の際には羽田、アマラウの近くに位置し、プレス要員として積極的にボール奪取に参加する。後半半ばまでセレッソが圧倒的にポゼッションできたのは家長の働きがあったればこそ。羽田、乾の出来が良くなかっただけに、その献身的なプレーはより輝いて見えた。またアマラウも周りのスペースをある程度埋めてやれば持ち味の粘り、相手の個を潰すプレーが生きてくる。今日は全ての選手が(ゴール以外の面では)平均以上に機能していた。

チーム全体がうまく回りだせば、セレッソは上位相手でも十分に通用する攻撃力がある。アドリアーノも含めた前線はよく相手ゴールを脅かしていた。ただし湘南GK野澤がビッグセーブを連発し、ゴールは生まれず。ここでしっかり決めていればもう少し楽な試合運びができたのだが…。

しかしこの姿勢が思わぬ形での先制点を生む。コーナーキックのポジション争いでセレッソの選手(上本か?)が引き倒されたとしてPKを得たのだ。香川がここは冷静にコーナーを突き、前半30分にしてようやっと得点が生まれた。

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得点後も冷静にペースを乱さなかったセレッソは1-0のスコアのまま前半を終える。


試合後半も序盤はほぼ完全にセレッソペース。香川、乾、家長のラインでボールを保持できるので守備陣もやりやすかったはず。後半15分には前半でカードを一枚もらっていた尾亦を交代させ、石神を投入したが、ここまでは何もかもがうまくいっていた。

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後半15分


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ただ湘南反町監督もむざむざ手をこまねいているわけではない。前線に田原、中山と高さ、フィジカルに長ける選手を一気に投入、流れを次第に湘南へと引き込んでいった。前線のターゲットにシンプルにボールを入れられ、徐々に守備のブロックが下げられていく。対するセレッソは獅子奮迅走り回ったアドリアーノを下げ、フレッシュな播戸を入れるが、厳しい状勢は変わらない。

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後半28分


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湘南のパワープレー、セレッソのカウンター、両者とも守備組織が固められず、次第に全体が間延びし始める。アドバンテージがあったのはセレッソなのだから、うまくキープする時間を増やし、試合を「壊せば」よかったのだが、チームの悪癖なのか無駄に人を裂いてしまい、バランスが取れない。油断していたか、よりにもよってロスタイム直前に混戦を詰められ、湘南に同点ゴールを決められてしまう。後半30分からここまでの流れは最悪。


この流れを断ち切ったのは、「長居の悲劇」を知らない新しいエースだった。ノーガードの打ち合いも、香川は至って冷静、ゴール前で相手DFを振り切り、ゴール左隅へ、野澤も反応良くジャンプしたが、ボールはその指先をかすめてネットを揺らした。時計は90分を過ぎ、ロスタイムの5分もほぼ使い切ろうというところだった。

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このゴールは、まさしく千金の価値がある。現実的な目標である残留争いの相手から勝ち点3を奪い、チームを9位にまで押し上げただけではない、チーム全体に「こうすれば勝てる」という手ごたえを与えたのだ。それは実戦でしか、成功の中からしか得られないもの。この自信を持って、次は名古屋を迎え撃つ。

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