後半27分 大島 秀夫(新潟)
後半39分 丸橋 祐介(C大阪)
なんて苦しい勝利だったろう。夏場はもっと簡単にゴールを奪い、勝ち点を重ねていたはずなのに、ゴールが遠い、勝ち星が遠い。しかし苦しんだ分だけ、この勝ち点3は大きい、今季のどの勝利よりも尊い勝利。
スタメンはアドリアーノ、家長の出場停止を受けて大きく変更があった。1トップにはベテランの播戸、3シャドーの一角には左サイドバックだった丸橋が一列上がり、空いた左サイドには石神が入った。ベンチには久々の尾亦、黒木が見える。
前半開始15分頃までは手探りというか、臆病な印象を受けた。ポイントは二つ、新潟が4-3-3をとっていて3トップがどのように動くかを確認していたこと、そして立ち上がり、まずは失点しないという意識が強く働いたこと。新潟はマルシオ・リシャルデスがいないことが響いて、自身の左サイド、曹永哲を起点にしたもの以外うまく攻撃を組み立てられないでいたが、セレッソは必要以上に守備意識が強かったように思う。マルチネスがあれほど守備をしている姿を観るのは初めてかもしれない。結果的にはこの試合両軍15本を超えるシュート(セレッソ19本、新潟15本)を放つのだが、この時間帯はフイニッシュで終わる形が殆ど無かった。
試合が流動的になったのは新潟の一つのミスからだった。守備陣が不用意なパス交換。ラインに張り付いていた播戸がそれを奪って1対1。冷静さを欠き、シュートは僅かにゴールマウスを逸れたが、ここから少しずつ攻めの姿勢が出るようになった。
先制点も積極性の賜物。アマラウがミドルレンジから思い切ったシュート、GK東口がファンブルしたところろに播戸、今度はしっかり決める。喉から手が出るほど欲しかった先制点を奪う。
好調な時期のセレッソならば、ここで一気に流れを掴み、ボールをまわして相手の体力を奪っていくのだが、今日は焦りがあるからか、これが上手くいかない。慣れないメンバーだったのもあるだろうか、細かいパスミスが目立った。3シャドー同士の細かいパス交換も少なかったし、トップがサイドに流れて時間を作るというところも(そもそも播戸がそのようなタイプのプレーヤーではないので仕方が無いのだが)マルチネスの展開力が無ければ攻撃はもっと窮屈になっていただろう。1-0で折り返せたのは新潟の不調と、ちょっとした幸運があったから。
後半開始からの20分間に、この試合がこじれた原因がある。3シャドーが上手くラインのギャップを突き、それぞれに決定機を作ったのだが、そのどれもが得点に結びつかなかった。丸橋のそれはゴールを逸れ、乾はキーパーの股を抜き切れず、清武のシュートはキーパーの真正面。そのどれかが決まっていたら、もっと楽に勝てたはず。しかしチーム状態が悪いのか、難儀する。小松を入れて局面を打開しようとするが、歯車は狂ったまま。
後半25分
いい流れを掴みそこねれば、しっぺ返しが待っている。唯一機能していた新潟左サイドからの攻めを防ぎきれず、大島に詰められ失点。またかという落胆の色がありありと見て取れた。
しかし、ここはキンチョウスタジアムだ。セレッソの帰るべき場所、ホームスタジアム。そこにはサポーターがいる。数は多くないかもしれないが、気持ちの強さでは負けない。ここが勘所と、ゴール裏が叫び、跳ねた。松井や、茂庭、上本、チーム全体が、この声を聞いていたはずだ。
そうして、この試合のハイライト。乾が右サイドを上手く突破、折り返しをファーで待っていた小松が体で押し込む。ポストに当たった跳ね返りを丸橋。ボールはゆっくりとゴールマウスの中に吸い込まれていった。
なんて不恰好なゴールだろう。でも、それでもゴールはゴールだ。再び奪ったリード、今度は守り通す。チームが、スタンドが、スタジアムが一つになって、守る、耐える。後半43分には守備の切り札藤本をアンカーに入れて4-3-3。新潟のロングボールを徹底して跳ね返す。
前線でのチェイスが無い分際どいボールが次々と襲いかかってきたが、茂庭、上本、藤本の個の強さで跳ね返した。松井もファインセーブ、体をはったプレーでサポーターに応える。
アディショナルタイム、長い長い3分間もやり過ごし、長い笛、ひと月ぶりの勝利。いいゲームなどとお世辞にも言えないが、この結果がチームを強くすると信じる。次はアドリアーノが帰ってくる、家長も戻ってくる。万全の状態で、ダービーを制した浦和に向かう。
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