24対3、両チームのシュート数だ。どれだけ試合を支配していたか、どれだけ攻めていたか、この数字が明確に伝えている。ただ、スコアが動かなければ勝利しない、ゴールが無ければ勝てないのだ。その一歩手前まで何度も進みながら、セレッソはついぞ歓喜の瞬間を迎えられなかった。これで新潟戦の丸橋の得点から186分間、シュートが決まっていない。過去4試合で無得点試合が3度もある。これは偶然と言えるのか?
スタメンとベンチを見よう。羽田がベンチに戻ってきた、負傷が長引いているキム・ジンヒョン以外はベストメンバー。
この試合は出足からセレッソペースだった。仙台の攻めに対する意識がとても低い。フェルナンジーニョをサイドに走らせて起点を作り、後ろからの攻め上がりを待つというのが基本なのだが、それ以外にバリエーションが乏しく、関口、梁勇基といったタレントの色が消えている。そのフェルナンジーニョには茂庭がつき、90分間封じることができた。サイドに流れれば高橋、丸橋とシャドーが下がって対応。
もうこれで守備に関してはほぼ言い尽くした。問題は攻撃だ。特に3シャドーのキレの無さはどうしたものか。3人それぞれに、それぞれの課題があって、それがクリアできていない。
家長は勘所を知っているから要所要所に顔を出す。前半だけで3度(精度は度外視すれば)いい形でのシュートシーンを作っているし、後半も一度絶好期を呼び込んでいる。ボールを持っている時の動きはさすがというものだ。
それだけに、ボールが自分の足元に無い時の動きの量、質には不満が残る。後半体力的に厳しいのはよくわかる。しかし、他のチームメイトも苦しいはず。彼等のために相手を釣る動き、スペースを作る動きを増やせれば、セレッソの攻撃の質は確実に上がる。どう動けばいいかわからないという選手より、ずっと解決に近い位置にいるのだけれど。
乾は気持ちが前に出て、ガツガツと仕掛ける時があるかと思うと、ふと淡白になる瞬間もある。中に絞った時は何とか独力で突破しようとするが、相手もよくわかったものですぐ2、3人で囲まれてしまう。
そういう時の清武なのだ。彼はチームが不調の時も、いつもいい位置で動いている。彼のボールタッチが増えれば攻撃のバランスはよくなる。しかしうまくボールを呼び込めない。この3人の歯車が噛み合わず、少しずつズレているから、攻撃の形が作れず、マルチネスのところからしか仕掛けが始まらない。この3人がガッチリとつながった時の破壊力を知っているから、とても悔しい。
前半だけで5度いい形が作れている。前述の家長の他にも、乾のミドル(バーを叩いた!)セットプレーからの家長のヘッド。もう少しコースがずれていれば…。
この歯がゆさは後半も続いた。フェルナンジーニョは茂庭が「連れて消えて」いたから、攻撃あるのみ。家長の中央突破もミス、アマラウのシュート(クロス?)も枠のわずか外をかすめていった。高橋、丸橋は何度長い距離を駆け上がり、クロス、シュートを試みただろう。今、セレッソが持っている攻めの引き出しをすべて開けて、全員で、全力でゴールに向かった。それでも、ゴールの鍵は開かない。
この、万策尽き始める後半15分過ぎあたりが、セレッソの泣き所。効果的な切り札、打開策を持っていない。交代カードを1枚しか「切れなかった」のは必然だ。播戸か、小松か、その二人を同時に投入するしか選択肢が無いし、またその効果が薄い(黒木の2列目投入に期待しているのだけれど、本当にそれが正解かはわからない)
レヴィー・クルピもそれを気にしていたのだろう。今日は少し、手を変えてきた。後半34分乾を下げて小松を投入したのだが、ついたポジションはトップではなく2列目左、動きもサイドを突く形がベースになっていた。家長の足が止まり気味だったので、乾を下げたのが正解だったのか疑問ではあるが。
後半34分
小松個人はいつもの出来。シュートは決めきれなかったが、漫然とターゲットにするよりは、この位置、あの形でのプレーの方が期待が持てた。小松の味はボールが足元にある時に出る。
そう、確かに形はよくなっている。選手の色も生きている。後は結果が出れば、真夏に続いた快進撃が再び始まるかもしれない。しかしそのギリギリのところで、最後のドアが開かない。AT4分が過ぎ、最後のプレー。アマラウのフリーキックがバーを叩いたのは、象徴的だった。
もう少しで殻を破れるかという時に、マルチネスがカードを貰い、出場できない。さらにアウェーでの首位名古屋との一戦となれば、これ以上の危機は無い。正念場と言っていいだろう。ここで何かを突き破れるのか、それともズルズルと順位を落としていくのか。ただただ、チームの健闘を祈り、全力で応援するしかない。強く強く、腕を振る。それに応えるプレーを。
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