6/26/2011

2011 J1 第18節 新潟1VS1C大阪 「勝てた」とみんなが言ったろう。

後半31分 ブルーノ ロペス(新潟)
後半45分+3 酒本 憲幸(C大阪)


ビックスワンを後にするすべてのサポーターに「今日は勝てたよね?」と聞いてみよう。オレンジのユニフォームを着たサポーターも、ピンクのユニフォームを着たサポーターも、皆が皆「勝てた試合だったよ」と口を揃えるに違いない。

色眼鏡で見ればセレッソがほぼ全ての時間で試合をコントロールできていた。マルチネスもキム・ポギョンもいない中盤が、見事に新潟を封じていた。放ったシュート、実に26本。これはやはり評価するべきだ。

それでも、数少ないながら、新潟のカウンターの質、迫力は見事としか言えないものだった、それも事実。パスの出し手であるミシェウ、受け手のブルーノ・ロペスともに素晴らしいプレーを披露していた。両者ともポスト直撃のシュートを一つずつ放っている。これが決まっていればセレッソは無残に敗れていたのだ。

そしてこの混戦を演出していたのは、間違いなく新潟GK、初先発となった小澤の働きによるものだ。ホドリゴ・ピンパォンのシュートを右腕一本で掻き出し、バーを直撃した中後のFKでも、そのすぐ下に小澤の手があった。

両チームのサポーターにすれば耐える時間、外したシュートを恨めしく数える時間が長く、フラストレーションのたまる試合ではあったが、トータルで見ればいい試合だったと思う。


スタメン+ベンチ。乾がいよいよスタメン復帰、マルチネス、キム・ポギョンのいない中盤でタクトを振るう。ボランチにはフィジカルの強い黒木、中後にすればよりやりやすい相方ではなかったか?ベンチでは村田、高橋祐太郎が入り、清武、山口、扇原の五輪組は選ばれなかった。

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前半は一度あったカウンター(ミシェウのパスからブルーノ・ロペスのポスト直撃に繋がったもの)以外は、ほぼセレッソのペースで試合が進んだ。乾は休養十分だからか、意気込みが違うのか、いい動きをしていた。ドリブル、パス、フリーラン、守備でも手を抜くこと無く頑張っていた。そのおかげもあって、急増の中盤でも新潟を制圧し、ゴール前に押し込むことに成功していた。

気がかりはボールロストのポジションくらいだった。やはりマルチネスのような絶対的存在が底にいないので、奪われるとゴールまでは中後、茂庭、藤本の3人しかおらず、両サイドに危険なエリアが発生するシーンが多々。結局そこがポイントになってしまったけれど、あれを危惧していてはセレッソのサッカーができないから、致し方ない。

シュートは、夏のスコールのように、45分間絶え間なく放っていた。永井が前線で頑張って、ピンパォン、乾、倉田が絡む関係性も前節より密になっていた。永井自身も「ゴール以外は」いいプレーをしていた、本当にあとはゴールだけ。

あとはゴールだけ、それはチーム全員の課題なので、永井だけを責めるわけにはいけない。枠外にふかすもの、キーパーの正面に飛ぶもの、オフサイドなどなど、およそ決まらないシュートの見本市のようだった。前半だけでシュート12本、13本?オンターゲットも半分はあった。


監督としてはこういう時が一番困るのだろう、いい流れはできているのだから下手に手を入れて流れを切ることもためらわれる。ハーフタイムの指示でも「あとはゴールに流しこむだけ」と(字面的には)穏やかに選手を送り出している。


後半もセレッソの優位は変わらなかったが、ボールを奪われた時に食らうカウンターが、時折鋭く守備を突いてくるようになった。茂庭とブルーノ・ロペスのマッチアップは見ごたえがあったものの、セレッソサポーターにすれば心地が悪い。

セレッソの最初の交代は、キーパーまで外して作った決定機を決めきれず、動揺のあった永井に変え、ゴールハンターのベテラン播戸。

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後半19分


ただ播戸は「劇薬」のような気がする。永井は前線のあらゆる場所でフィジカルを生かしてプレーをするが、播戸の仕事場は相手DFライン。全体の動きが鈍化し始める後半に投入するのは、個人的には疑問だった。

この交代の前後あたりから中盤が間延びして、セレッソ、新潟ともにシュートまで持っていくシーンがよく見られるようになる。セレッソは前4人にボランチ2枚、両サイドバックまで上がって攻めダルマ、新潟は少し下がって起点になったミシェウ、フィニッシャーのブルーノ・ロペス、川又が脅威。


さて、失点のシーンを書こう。やはりサイドバックの裏のスペースにシンプルに入れられて、高橋大輔とブルーノ・ロペスのマッチアップ。折り返しを気にした高橋、キム・ジンヒョンの選択は間違っていなかったと思う。あの速さであの精度のシュートを放たれて、どれだけのキーパーが防げるだろうか?わかってはいる、わかってはいるが、悔しいものだ。1-0。

直後の小松投入、もし0-0のままだったら下がっていたのはピンパォンだったはず。しかしリードされてプランが狂う。黒木を外して倉田、ピンパォンを一列ずつ下げる攻撃的なポジションチェンジ。

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後半33分


しかしリードされている気負いからか、ボールが繋がっていくセレッソのサッカーが少しずつ瓦解し始めていた。パスはズレ、選択ミスが増え、新潟にイニシアチブを明渡していく。明らかに負けゲームの流れ、歯がゆく、辛い。

最後のカードは酒本。投入は試合終了直前、望み薄の状態だった。

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後半42分


ロスタイムもどんどんと減っていく。細かなプレーで新潟が時間を使うのが面映い。そんな中でなぜ酒本はあのシュートを撃てたのだろう?今まで鉄のカーテンで閉じられていたかのようだった新潟のゴールに、右足アウトサイドにかけたシュートが吸い込まれていった。93分、同点。


この1点、勝ち点1、得失点差1がどれほどの意味を持つのかは、秋も終りになるまでわからないだろう。焼け石に水だった、ではなく、ああ、このゴールがあったればこそなのだなで終われるように、やるしかない。

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