9/24/2006

福岡1VS0C大阪 彼等は本当に戦力外だったのかい?

 布部が泣いていた。いろんな気持ちがあったんだと思う。自らの誕生日、不甲斐ないチーム状態で対するのは、戦力外と烙印をおされたセレッソ、これで燃えない選手ではない。そんな状態で決めた決勝ゴール、涙を見せてもいい試合だった。


 対するセレッソはどうであったか。正直な話気持ちを感じられたプレーヤーは殆どいなかった。それどころかベンチさえ、この試合を取るんだという気概に欠けていたと思う。例えばロスタイム、傷んだプレーヤーが福岡ゴール前に3人転がっていたが、最後までピッチにいたのは大久保だった。時間が無い事を考えれば無理にでも外に出す、という判断は無かったか。

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角澤シートで観たのがそもそも間違いだったのか?



 スタメン、予想とは大きく外れて3バック、山田、江添、藤本の急造トリオがどれだけ守れるか。

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 ところが蓋を開けると、最近ようやく形が出来ていた中盤に綻びが見られた。大久保、西澤ではチェイシングが甘くなるのか、そもそも前線からの守備が前提になっている中盤の問題なのか。とにかくボールが繋がらず、ひたすらボールを繋げられる。

 特に右サイドが酷い。山田、酒本、宮本の3人にまるで連動性が無い。サケは遡上したままだし、宮本はなかなかサイドのケアをしないし、山田は不慣れなストッパーの位置で四苦八苦。古賀、アレックスといった左サイドのスペシャリスト相手に終始後手に回った。一度酒本からいいクロスが入ったが、本当にそれくらい。


 攻撃は至ってシンプルな、中東勢のようなカウンター攻撃。厚みも何も無い、ただひたすらに前3人に頼るだけのもの。河村、古橋など攻撃にも期待が出来る中盤のプレーヤーも、これだけ単調な仕掛けでは絡めない。


 ここで以前ならブルーノの暴走が始まったりして、何かしら「転調」があったりするのだけれど、江添にそれを求めるのは無理な話だった。スイーパーとしての役割を演じるのに手一杯という様子で、その役どころすら満足のいかないものだった。本当に単調な前半だった。大久保がフリーのヘディングを決めていれば、少しはいい気分だったかも知れないけれど。


 後半はそれ以上に苦痛を感じる45分間だったのではないだろうか。プレーの一つ一つにしても、ベンチワークにしても。

 攻めは塚田監督の言うところの「シンプルな攻め」。意思の感じられないロングボールに、何とか食らいつくFW。これを攻撃と言うのか、言えるのか。

 守備にしてもそのロングボールが収まらないので休む暇が無い。ひたすら耐えるわけだけれども、それにしたって個の力に頼ったもので、その個の力自体小さいのだから、タイトロープを渡るようなギリギリのプレーが続く。


 こんなアンバランスなプレーをしていれば、いかに最下位のチームと言えどキチンとモノにしてくる。後半早々、右サイドが当たり前のように崩されると、クロスをファーから折り返され、FWとして奮闘していた布部が詰めた。湧き上がる歓声。


 ここからセレサポの不快感がどんどん増していく。まずベンチ、攻撃の為にとっておきの名波を投入するのだが、相変わらず森島寛との交代。監督に問いたい、セレッソで一番パスを引き出し、相手の急所で受けられるプレーヤーは誰なのか。

 ヒューマンエラーの次はアクシデント、名波のプレーに反応できる数少ない理解者、西澤が足を痛める。代わりに登場したのは森島康。後半18分にして、2枚のカードを割いた。前節の交代枠繰り越しがあれば、まだ交代枠は3残っているのだけれど、残念ながらJリーグにそういったサービスは無い。

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 さて注目の森島康だが、今の時点では戦力としてカウントするのは酷かも知れない。売りのポストプレーも決して傑出したものではないし、それ以外のプレーでも唸るようなものは無かった。この経験を次に生かすのが、とりあえずの課題だろう。のびしろがまだ沢山有るプレーヤーなので期待している。ただ何故この時間帯、シチュエーションでの投入だったのかは理解に苦しむが。

 名波にしても、単調なキックアンドラッシュでバテはじめたまわりの選手をどうやって生かすのか苦慮していた様子だった。いくらコンダクターが良くても、オーケストラのコンディションやそもそものクオリティーが低くては、いい楽曲を演奏させる事は出来ない。


 そうしてセレッソの悪いクセ、前線とバックの解離が始まる。FWはパスを引き出すわけではなく上がりっぱなし。DFラインはそこまでフィード出来ないので、横パスやバックパスばかり。これには本当に腹が立った。闘う意思も、闘う為に何をすべきかというアイデアも無いのだから。よく覇気の無いプレーを「気持ちが足りない」と評するが、ウィズダムの無いプレーも「気持ちが足りない」ものではないのか。

 こういう時は前と後ろを繋げる選手が必要だと感じていたので、最後のカードはてっきり徳重だと思っていたのだが、意に反して登場したのは柿本だった、森島康、柿本のタワーにロングボールを入れて、こぼれ球を古橋、大久保、酒本が受ける。意図は判るのだが、この交代ではそれ以前の名波投入が無駄になる。11人がしっかり機能しなければ、点を取るのは難しい。これはどうなのか。

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 結局パワープレーは実らなかった。ロングフィードをしなければいけないバックに、しっかりとチェックが入っていたから、パワープレーすらさせてもらえなかったと言うほうが適当かも知れない。そうして、腹立たしい90分が終わった。

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 京都は敗れたが、その一つ上にいる広島が勝った為、いよいよ入れ替え戦枠1を3チームで取り合う様相が濃くなってきた。しかし今のチームに、その過酷な状況を抜け出せるパフォーマンスを見せられる力があるか、正直不安になってきた。

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