9/13/2006

虚学こそ最たる実学。

 割と日本語を気に入って使っています。と言っても他のコトバでは英語が本当にほんの少し出来るぐらいで、後はカタコトのハングルしか話せないのですが。

IMG_446701.jpg


 でも嫌いな単語が有りまして、それが表題の「虚学」という言葉なのです。試しにExciteの国語辞典で検索してみたのですが、載っていませんでした。代わりに対義語の実学の意味を転載します。

じつがく 【実学】<

理論より実用性・技術を重んずる学問。実際生活の役に立つ学問。農学・工学・商学・医学など。


 つまりこれ以外の「学」は虚学なわけです。私が大学時代学んでいた美学なんかは究めつけでしょう。絵を学んでも必ず実りがあるわけではない。

 でも、だからと言ってこれらに「虚」という言葉を当ててしまったのは、残念な事です。文学や、音楽、絵画は世界中にある。権力者の虚栄心で飾り立てられたものも有りますが、純粋に、ずっと昔から、多くの人達が欲するが故に存在しているものも多い。それはこれらが「虚ろ」ではない、何よりの実証かと。


 スタジアムもまた、偉大な芸術の場であると思っています。味方を鼓舞する為、敵を威圧する為、様々なダンマクが端々に掲げられ、何万という人間が同じ歌を歌う。これほど虚学といわれたものが効力を示す場も無い。

 覚めた目で見てみると、成る程それは妙な姿かも知れません。歌声が大きければ得点が入るなんてルールは何処にもないし、ダンマクが与える心理的影響なんて数値化した人もいないし。

 でも私達は経験として、それらの力を知っている。だからいろんな虚学を実践している。数字には出ない何かを示す為に。

IMG_464601.jpg


 何が良いものであるか、そうでないかは、個々人それぞれ違うでしょう。それでも「これはよいものだ」と感じた何かが有るのなら、まず実践されてはどうでしょうか。長居のように何万人もの人間を飲み込むスタジアムで、その効果を目に見えるまでにするのは困難な作業ですが、まずやってみる、これが大事なのです。失敗したとしても、少なくともその経験を次に生かせられる。成功したなら、続ければいい。それだけのことなのですから。

 最も非難されるべきは、実践せぬ者の批判です。何も生まないどころか、生まれそうな芽さえ摘んでしまう(実践している者の批判は、まだ効果が有るのですが…)。真に虚ろなのはそういった手合いなのです。実践し、修正し、また実践する。それでいいじゃないですか。

0 件のコメント :

コメントを投稿