10/29/2006

甲府0VS1C大阪 グッドゲームのバットエンド。

 いい試合だったと思う。甲府の噂に違わぬ激しいプレスと積極性は素晴らしく、結果がわかった上での録画観戦だったにもかかわらず、画面を見ていて何度も肝を冷やしてしまった。

 対するセレッソも、前節に続いていいパフォーマンスだったと思う。ミスもチャレンジしてのもの、前向きなものが殆どだったし、ベンチワークも貪欲に勝ちに行く姿勢が見えていたし。これで審判がカード以外でゲームをコントロールする方法を知っていたなら、もっといい試合になっていただろう。


 スタメンは予想通りだったものの、前は1トップ2シャドーだった。

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 前半、本当に激しいプレス合戦になった。20人のプレーヤーが狭いスペースにひしめき合い、さながら戦国時代の合戦図屏風の様。一人を交わしても次から次に選手が殺到して、ロクに前に進めない。セレッソはセレッソで、こちらも激しく攻め立てて、何とかその壁を突き崩さんと試みる。

 こういう時は、西澤、森島寛のコンビネーションや、吉田と3バックの連携が際立つ。少しのシンキングタイムもない時は、身体に染み付いたと感じられるほど練磨された繋がりしか機能しない。


 逆に守備で不安定だったのは左サイド。ゼ・カルロスが少し軽い。攻めに出すぎて裏を突かれたり、ボールを不用意に失ったり。山崎、下村が頑張っていたので大怪我はしなかったが、とにかく結果をわかった上で観ていても怖いと感じる程の軽さだった。

 それでもこと攻めに関しては、彼はなくてはならない選手。他のプレーヤーとは違うテンポのステップやタッチ、キックがアクセントになって、攻撃に深みを与えていた。最初のビッグチャンスとなった30メートル前後はあろうというフリーキックも見事だった。


 甲府に関して言えば、やはりバレーは怖い。真ん中で構えていても怖いけれど、今日のように暴れまわれるスペースのあるサイドにいても強烈。サイドバックながら積極果敢に攻撃参加する山本も脅威だった。思い切りのいいプレーヤーが揃っている甲府は、前回長居で観た「いいチーム」から、「怖いチーム」へと変貌していた。前半スコアレスながら、かなり濃い口の内容。


 このまま放っておけば両チームともスタミナを失い、ズブズブと消耗戦に移行するのだろうけれど、選手交代如何では、相手の足だけを止める事も、出来ない事もない。

 甲府は全体がコンパクトな分、ラインも高い。その裏にある広大な空間を生かせる、快速を売りにしたプレーヤーをセレッソは持っている。年代別代表で経験と自信をつけた苔口を後半開始早々に投入。ラインに張り付かせて、相手DFを疲弊させる。

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 勿論プレーの質や量に関して、退いた森島寛よりも劣る部分は有るし、カウンター要員として前に残る分、こちらの守備陣もリスクを負う。それでもその圧倒的スピードは魅力。実際意図通りの場面が出ていた。

 また次の交代、ピンゴ→河村も効いた。

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 河村のフレッシュなタテへの圧力が、攻守に新しい風を送り、試合を左右する伏線にもなった。


 そう、後半30分から35分からの流れは、ストーリーだとか、伏線だとか、そういった偶然に見せかけた必然が存在していたと、セレサポの私も感じてしまった。もし甲府を応援していたなら、今でも心の整理がつかなかっただろう。見事なFKが取り消され、その直後に不可解なPK判定。勘繰りたくもなる。

 もしここをご覧の甲府サポがいるなら説明したい。セレッソというのは貴重なベテランや中核選手を繋ぎとめる予算さえ出せなかったチームだから、「そういうこと」は有り得ない。もし本当に有るとするなら、今の今まで何もしなかったことの説明がつかない。ホームでもアウェーでも煮え切らない判定が続いたが、それは全く不運としか言いようがない。


 挙句の果てに古橋が負傷、大久保が下らないカード(少なくともどちらか一枚、特にロスタイムの一枚は防げたはずだ)を貰って退場と、今季初の連勝で勝ち点3を積み重ねたというのに、実に後味の悪い試合になった。

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 古橋は重ねてカードの累積でリーグ戦次節欠場が決定、大久保も天皇杯初戦に出られないなど、代償は大きい。今節もハードだったが、残り5試合、楽なゲームは一つもないと考えてよさそうだ。

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