Arena PernambucoRecife (BRA)14 Jun 2014 - 22:00 Local time
Scorer
HONDA
16'
B. WILFRIED
64'
GERVINHO
66'
スコア以上に厳しい試合で、スタッツを見れば「勝てた」とは言えない。
コートジボワールの拙攻に助けられていてこの数字だ。シュートへの流れは鈍麻していて、このチームであれば、本来は高くあるべきポゼッションでも相手を下回っている。これがカウンター主体のチームであればこのままでもいい、しかしザッケローニが4年間かけて作ったチームはそんなチームではない。
スターターを見て驚いたのは長谷部誠がボランチにいたことだ。状態で言えば青山敏弘の方がはるかにいいし、山口蛍とコンビを組むなら遠藤保仁の方がチームの流れはいい。しかし今になって思うとこのザッケローニの判断は間違えてはいなかったと思う。
対するコートジボワールはスターターにティディエ・ドログバの名前が無かった。この時は「助かった」と感じたが、勝負の文というものは意外なところに潜んでいるものだ。
そのドログバがいない状態のコートジボワールは、攻め手のパターンが少なく、比較的やりやすい相手だった。しかし、コートジボワールの攻めの起点はベースとして右サイドにあり、香川真司、長友佑都、本田圭佑らが中心となる日本代表の左サイド偏重の攻めとバッティングしていた。
相手の10番、ジェルヴィーニョが俊足ということもあり、前半の殆どの時間、香川と長友は本来より低い位置から攻撃参加をすることになった。
ただし穴もあった。日本とコートジボワールはどちらも4-2-3-1のスタイルだが、守備時には4-4-2のコンパクトなラインを敷く日本に対し、コートジボワールはそのままのセットで守備に入っていた。また両サイドハーフの守備意識が希薄で、こちらが4-4であるのに対し、コートジボワールは4-2の6人で守るシーンが多かった。ボランチの両脇には攻撃の起点が作れるスペースがあった。
前半の本田のゴールも長友が左サイドに進出してからそのスペースにカットインしてきたもので、あそこの守備意識の低さを突いたいい攻撃だったと思う。
日本がもし勝つとすれば、その後の10分間にもう1ゴール決めて、アフリカンのメンタルを低く抑える必要があった。しかし1点入ったことで日本代表は逆に「しっかり守って攻めに入る」という意識が固着していたように見えた。調整のための直近二試合で失点が多かったことが悪く転がっていた。
結果として、ドログバがいないため攻撃のパターンが作れないコートジボワールと、1点リードで萎縮してしまった日本が拙攻を繰り返す形になった。
後半7分、日本は万全ではない長谷部を下げ、遠藤を入れた。
その8分後にコートジボワールはドログバを投入、ボランチを1枚削っての攻めに出た。精神的な支柱を失った日本と、精神的な支柱を得たコートジボワールの流れがここで決定的になってしまった。
失点はどちらもコートジボワールが得手としていた右サイドからのクロスに対応しきれなかったもの。前半はしのげていたが、この時は後手を踏んだ。ドログバがいる時といない時ではスピードがワンテンポ速く、そのワンテンポに日本代表の守備陣はついていけなかった。同点に追いつかれた直後にチームを鼓舞するはずのキャプテンは、ベンチに下がってしまっていた。ピッチ上でコートジボワールの攻撃をけん引するドログバとは好対象になってしまった。
後半22分には大久保嘉人を1トップの位置に入れる。
これに効果が無いと分かると、ザッケローニは本田を1トップ、トップ下に香川真司、左サイドに大久保を回す。しかしジェルヴィーニョ、ボカの攻撃に応対していた香川にはキレが無い。
最後には柿谷曜一朗が1トップに入ったが、高さが無いためDFの吉田麻也をパワープレー要員として前線にあげていた。しかし身体能力で勝るコートジボワールに競り合いで満足な勝利を得られるわけでもなく、柿谷が得意とするようなスペースでの動きもできずじまいだった。
前半、本田の得点まではいい動きをしていたが、あのペースを維持できていたとしても、ドログバが入り、精神的にもチームのシステム的にもレベルが上ったコートジボワールとやりあえたか、あまり自信がない。それほど違うチームに変貌してしまっていた。日本代表の萎縮も気になった。
残り二試合は勝利が至上命題、1勝1分けでも厳しい。それでもまだやれると信じよう。今日の代表ではなく、今まで築き上げてきた代表を再現できるのであれば、まだ十分出目は残っている。
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