日曜の昼下がり、長居球技場会議室の外からは、休日の公園を散策する家族連れや、ダンスやリフティングに興じる人達が見てとれた。一方会議室の中を見やると、まるで彼らに幸せを奪われたかのような、厳しい表情のセレッソサポーター達、200人はいただろうか。あまりのコントラストに、私達が腹立たしく思っていること、これからセレッソが、少しでも良くなっていくために、何をすべきか悩んでいることが、少しちっぽけなもののように感じた。
でも、それでも、私は(そして大多数のセレサポ)は、何にも増してチームを愛しているし、その為に何をすべきか、考えずにはいられない。
何があるのか判らないまま、ただ前日にネットで「来い」と言われただけで、決して狭くは無い会議室がすし詰めになったのは、それほど今この状態が不味いものだと、多くの人間が感じている、その何よりの証拠だろう。
しかし今のフロントは、サポーターと比べて、あまりに危機感が無さ過ぎる。やる事なす事、すべてが真摯ではなく、どうすれば適当にお客をあしらえるのか、程度にしか考えていないかのようだ。
時間の12時30分。会議室にやって来たのは、社長ではなく、まだ若さの残るマネージャーだった。何を問いただしても「判らない」「発言できない」の一点張りで、まるで要領を得ない。最後になってようやく社長に談判する事を約束したが、あまりにフラストレーションの溜まる二時間だった。中座した人もいたが、その人達を責める気になれない。
これはマネージャー氏の能力不足だけが問題なのではない。こんな対応で十分だと感じたフロントトップの意識の方が、遥かに重病と言っていい。
実はSBでは、この試合応援ボイコットを行うのかどうか、最後まで迷っていた。選手に罪は無い、などとは言えないけれども、選手だけが悪いわけではない。ならば応援を止める行為は筋違いではないかと。
しかしこの応対で、正直「キレた」スタジアム外でどんな圧力をかけても、まるで効果が無い。それどころか溝が深まっていくだけだということがはっきりしたからだ。
さすがに完全ボイコットは寂しいと、せめて選手のコールだけはする事になったが、この日のスタジアムは、SB以外も、明らかに異常だった。逆さに張られたダンマク、外された大旗、代わりに現れた様々なダンマク、ゲーフラ。
散発の応援、静かなはずなのに、トゲトゲしい雰囲気。まるでいつもの試合ではない。異様な空気がイレブンを萎縮させたのか、それともこれが実力なのか、0-1の敗戦に、ますますスタジアムは殺気を帯びてきた。
そこに来て、社長のあの会見だ。社長にはせめてあんな有体の文章の棒読みだけはして欲しくなかった。しかし現実はアレだ。そこで流れは決まった。
私は自宅に戻って仕事をしなくてはいけなかったが、ギリギリまでスタジアムにいた。皆の決死の覚悟を見て、じゃあ用事があるので、なんて軽く言えなかった。
サポーターは連携し、スタジアムに5ヶ所ある出入り口を全て塞いだ。私はメインスタンド中央、あの降格が決まった試合の日、社長が紫煙を燻らせていた場所にいた。堂々と出てきて、キチンと自分の口で事情を説明するかも、という淡い期待というか、希望のようなものがあったからだ。
しかし私のいる間、社長はおろか、社員でさえ、サポーターの前に姿を現さなかった。タイムアップで自宅にもどった後暫くして、社長が裏門から脱出を図ったこと、見つかって急遽説明会を開いたが、相変わらずの答弁に終始したことを知った。そして、情けなくて、切なくなて、少し下を向いた。
一晩経つと、スポーツ紙各紙がこぞってこの話題を取り上げていた。サンスポ、大阪ニッカン、デイリー面白おかしく書いているところばかりかと思ったけれど、かなり状況を把握して書かれたものもあって驚いた。ブログが更新もしていないのに凄いアクセス数なのにも驚いたけれど。
この騒動は、クルピ(カルビだっけ?)が余程短期間で結果を出すか、フロントが血を流すかしなければ、暫く終わらないだろう。19日もこんな調子なら、長期化するかもしれない。
しかしここで周囲からの批判を恐れたり、逆にストレスを発散するためだけの闘争を行ってはいけない。各自ビジョンは違うだろうが、セレッソの為に何ができるか、セレッソには何が必要なのかを忘れずに、長い騒動になることを覚悟しているべきだ。
そしてそのノルマが達成されれば、速やかに、いつもの、牧歌的で、どうしようもないくらいのほほんとしたサポーターに戻ろう。正直三十路のおっさんにはキツイが、私もそれなりにはがんばらせてもらうつもりだ。
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