パソコンやってる人で、リカバリを体験した人は多いと思う。今までいろいろやってきたデータは、殆どはそのまま引き継げるが、インストールしたプログラムなどは消えてしまう。ダメージは大きい。
セレッソは都並政権ではJ1復帰は望めないと判断し、クルピ政権へとチームのリカバリを始めた。終盤での勝負弱さ、中盤軽視の組み立てという悪癖も振り払えた代わりに、セットプレーでの駆け引き、若手の積極起用など、良かった面も手放した。それでもその方がJ1復帰への近道と、時間と労力をかけて、クルピ監督の目指すサッカーを構築していく事を選択した。
それがいい判断だったのか、それともそうではなかったのか、その判断にはまだ時間が必要だろう。ただ、ことこの試合に関しては、観戦するだけでも苦痛という程、質の低いプレーしか見られなかった。
10年ぶりとなるクルピセレッソの布陣は、ブラジル人監督らしからぬ3バックの3-6-1。
プレーヤーにとってはかつて知ったるフォーメーション、すぐに機能するかと思われたが、これがうまく行かない。特に売りにしていたはずの中盤の組み立てに苦労していた。
藤本が底、アレーがさばいて左右にボールを散らし、柳沢やカルロスへ。隙あらば直接小松、柿谷、古橋へもボールを供給。基本はそんな組み立てだったのだが、これが不思議なくらい機能しない。柳沢はチャレンジせずバックパスを繰り返すし(前線の受け方が不味いというのもあるだろうが、酷すぎた)逆にカルロスは球離れが悪い。
中盤が不安定で、不用意にボールをロストするから、一気に抜かれるのを恐れて、DFラインはズルズルと下がってしまう。逆に前線はボールを欲しがって中盤のすぐ前まで戻ってくるので、ラインのバランスが非常に悪かった。
愛媛の丹念なサイドアタックと、トップに対する執拗なマークが、その悪循環を加速させる。3バックの両サイドを繰り返し繰り返し突かれるので、選手間の連携をとるのが精一杯という印象。
これだけバタバタとしていては集中力も散漫になるのだろうか。この混乱の中、コーナーキックから失点。早々に追う立場になってしまった。
さすがに業を煮やしたか、前半早々ながら、セレッソはシステムを4バックに変更する。山下を下げ、カルロスが左サイドバック、香川が左サイドに入る。既視感があると思えば4-3-2-1の「クリスマスツリー」
これである程度守備は改善されたが、攻撃への連動性はまだ生まれない。
トップの3人のパフォーマンスは、お世辞にもいいとは言えなかった。小松は奮闘していたが、二人、三人とマークにつかれては思うようにプレーが出来ない。サポートすべき二人も動きが重い。特に柿谷は過去最低のプレー。不調なのか、疲労なのか、ともかく精彩が無い。
試合をどうにかするチャンスがあったとすれば、後半立ち上がりだったか。香川がプレーゾーンをぐっと上げ、全体にいい流れが生まれはじめた。
ところが、重点的に練習したはずのシュートの精度が悪い。とにかく枠内にいかないし、枠を捉えても勢いが無い。逆にきれいに右サイドを破られると、センタリングをあわせられて2失点目。
後が無くなったセレッソは、トップに森島康を入れてツインタワーにし、柿谷、香川、古橋にボールを拾わせる策をとる。
この時点でパワープレーに入ってもよかったのだが、その意図が徹底されていたか、少し疑問が残る。ロングボールを入れるでもなし、時にはDFラインでボールをまわすシーンさえある始末。
サポーターもストレスが溜まっていただろうが、選手も気持ちは同じようで、特にカルロスなどは目に見えて苛立っている様子だった。彼が軽率なレイトタックルで退場処分になった時、試合は終わった。
まだ指揮をとってから1週間、前述したとおり、この試合だけでクルピセレッソを評価するのは明らかに早計だ。次の水戸戦まで時間が無いが、少なくとも今日よりは高いパフォーマンスを見せてほしい。
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