5/28/2007

C大阪1VS4湘南 気持ちまで無くしたか?

 遠くからでも、古橋が突っ伏したまま動かないのは、はっきり見て取れた。近くにいた奴なら、事の顛末ははっきり見えていたはずだ。自分のところのキャプテンがやられて、何も感じなかったのか?それとも怖気づいたのか?そんなならサッカーでメシなんて食えないはずだろう?この野郎、このままじゃ終わらんぞって、思わなかったか?思えなかったか?もし誰もそんな事を考えていなかったのなら、チームがどうとか、システムがどうとか以前まで戻って、てこ入れしなければいけない。

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 スタメンは予想通りだった。

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 しかしこのメンバーで戦えたのは、たった3分間だけ。立ち上がり早々に相手キーパーと交錯した古橋が脳震盪を起こし、ダウンしてしまった。痛がりもせず、芝生に倒れこんだまま、少しも動かない。正直見ていてゾッとした。10分以上経ってから救急車がやって来て、そのまま病院へ直行した。幸い今のところ異常は無いとの事だが、場所が場所だけに経過観察が必要だろう。

 このアクシデントにも動揺せず、湘南ゴールを守った金 永基という選手がどんなパーソナリティを持っているかは知らない。ただチームドクターが血相を変えて飛んできても、救急車が来ても、きわめて冷静にプレーしていた。この場合、何をもって普通となすかは判らないが、私ならドクターに声をかけて状態を聞くなりするだろう。故意では無いにせよ、少なくとも自分との接触で怪我をした人間に、一瞥もくれないというのは、どんなものだろうか。


 さて、試合に流れを戻す。このプレーによって5分以上10人で戦っていたセレッソ。古橋の代わりに入ったのは濱田だった。

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 ただ、前述したと通り、この時点で何かが狂い始めていた。連携がどうだとか、そういう次元よりもっと低い、根底の部分が揺らいでいた。

 例えば小松、柿谷のボールチェイスは明らかに緩慢だった。疲れていたのもあるだろうが、明確な意識が無いようにも見て取れた。「こういう時はこう動く」という指示がなされていないのか、どこからプレスに行くのかが非常に不明瞭なままで、湘南の攻撃をディレイさせ切れなかった

 さらに言うと、今日の試合は攻守の切り替えも非常に遅かった。攻めから守りにしても、守りから攻めにしても、安全に行こう、リスクを負わないでいようという意識が先に出て、皆ろくに動かない。結果として、湘南の激しいプレッシングをかわしきれず、非常に危険な位置でボールをロストしていたし、こちらは得点の匂いなどまるで感じられなかった。

 だから前半であっさりと2失点した時点で、試合はほぼ決していた。点差以上の何かが、両チーム間に有った。


 それでも何とかしようと、クルピ監督は早めに策を打った。ハーフタイムで残ったカード二枚を切り、森島康、丹羽を入れて、より攻撃的な布陣へと切り替えた。

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 ただここまで精神的に優劣が決まっている中で、それをひっくり返すには余程の労力が必要になる。そして今のセレッソにはそんなものなどどこにも無かった。だから、この交代も焼け石に差した水のようなものだった。


 この試合で何か得るものがあったとすれば、香川のタフネスさと、森島康の得点、それから、アレー、江添、前田ではカウンターは防げないという事がはっきりしたところだろうか。後半の二失点は教科書に載せたいくらい見事なカウンターだった。

 アレーは守備では生きていないような気がする。どちらかといえば攻撃的なボランチとして威力を発揮する選手だと思うのだが…。そんな選手が前にいても、前田や江添のスピードの無さはカバー出来ない。香川なり宮本なり、守備だけならばアレーよりも長けている選手はいる。ただでさえ薄い選手層なのだから、試してみても罰は当たらないだろう。

 そしてこの並びではサイドの攻守がまるで機能しないようだ。攻撃的な選手が最後尾にいて、守備的な選手がその前にいる。攻撃的な選手が攻撃に絡むためには途方も無い距離を上下動しなくてはいけないし、カバーする選手も同じくらい動く。無駄に動けばプレーの精度も落ちるし、心身の体力も減る。おまけに本業ではない仕事がメインになるのだから、結果は言わずもがな。


 次節は試合が無い為、セレッソは次の試合まで、間隔が空くこととなった。この期間、チームは淡路島で合宿をし、集中的にクルピイズムを浸透させるらしい。そこからが本当のスタートと、上手く切り替えられればいいが、今のセレッソにそれが出来るのか、不安は尽きない。少なくとも戦う気持ちだけは、取り戻して欲しい。

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