4/30/2011

2011 J1 第8節 C大阪1vs1新潟 組違えたパズル。

前半3分 ブルーノ ロペス(新潟)
前半42分 乾 貴士(C大阪)



個々の力量が去年に比べてダウンしているように感じる。それも気になるところだけれど、それ以上に気になっているのは、各人が適所に配されていないような「違和感」。今のメンバーでももっといい戦い方ができるはず、それができないまま試合を消化している現状が歯がゆい。
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スターティングラインナップに怪我の上本、キム・ボギョンの名前がない。CBのスターターは藤本。3シャドーは右から清武、倉田、乾。ベンチには扇原、山口の名前がある。

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失点はまだ体も温まっていない前半3分。新潟は前半高い位置でプレスをかけていて、チームとしての一体感があった。セレッソはベストメンバーではなかったことを考えても、チームとしての繋がりに欠けていて、迂闊だったとしか言いようがない。どうしても受身になってしまって、中後のミスをカバーしきれなかった。
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今日は精細を欠いた中後


中後は決して悪いプレーヤーではない。右足の精度は素晴らしいものがあるし、展開力もボランチとしては平均以上のものを持っている。ただし今のアンカーの位置にいるとどうしても悪い意味での軽さが見え隠れしてしまって、評価が下がってしまう。本来なら今マルチネスがしている仕事を担う選手で、これが残念。

1トップの位置にいるピンパォンにしても、キープ力があるわけでもないし、一人で何かを済ましてしまうようなタイプでもない。誰か(特に乾)が近くにいる時に見せる一瞬のひらめきこそが、彼の持ち味。

11人いるプレイヤーのうち一人でも適材適所ではない者がいれば、チーム力などとたんに下がってしまう。それが二人いて、どうして試合をコントロールできるだろうか。前半の最初、開始30分までは、新潟が完全に試合をコントロールしていた。セレッソはキム・ジンヒョンと茂庭を中心にひたすら耐える。
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茂庭がいなければ試合の結果は違っていたかも…


そういうわけなのでセレッソの同点シーンを、驚きを持って見ていた。ピンパォンが下がっていてフリーなスペースでボールを受けていた、近くには唯一コンビネーションプレーができるチームメイトの乾がいた、この二つの事象が重なって、乾の素晴らしいゴールが生まれた。これは記録上は乾のゴールであるけれど、ピンパォンの良い面があったればこそのゴールだ。こんなシーンがもっと多く観たいし、観られるはずなのだけれど。
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乾は清武とも親和性が高いので、この3人が中央でうまく繋がれば相手守備がセンターに寄ってサイドにスペースが生まれる、そうして初めて高橋大輔や丸橋の上がりが効果的になる、それが今のセレッソのベストな形。同点になってからは、一気に巻き返すとは言わないまでも、五分の戦いができていた。双方に決定機があり、天を仰いだり肝を冷やしたりと、サポーターとしては忙しい試合になった。



後半になると新潟の運動量が少しずつ落ちてきた。去年のセレッソであればここで一気呵成に攻め立てていただろうが、今の状態では前のめりになってバランスが悪い。ボールが取られた時点で中盤だけでなく両サイドバックも上がっている時が多く、支配率の割に危ないシーンが多かった。キム・ジンヒョンのスーパーセーブが無ければ2点は取られていただろうし、茂庭の超人的な粘りがなければそれ以上悪い結果になっていたかもしれない。

対するセレッソは乾と清武にボールが収まれば、何とか攻めの形が見えてきた。
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乾はこれまでキム・ボギョンや倉田らとシャドーを組んでいたが、清武とが一番やりやすそうだ。やはり昨年から同じチームでプレーしているというアドバンテージがあるのだろう。清武が味方を生かし、自分も生きる献身的なプレーヤーだということも大きいかも知れない。


キンチョウスタジアムがさらに熱を帯びたのは後半21分の交代があってから。倉田、高橋大輔が下がり、小松、酒本が入る。酒本はそのまま右サイドバックに、小松はピンパォンと2トップを組み、4-2-2-2にシステム変更する。
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後半21分


今日の小松は実によかった、独特のストライドでのドリブルで足が止まった新潟守備を切り崩す。右サイドからいい崩しが2度あったと記憶している。トップの小松が相手を引きつけるので乾、清武に対するプレスが緩んで流れがスムーズになった。取られた時のバランスの悪さは相変わらずだったが、前半感じた窮屈さは霧散していた。


後半40分からはスタミナ切れの中後に代えて山口螢登場。

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後半40分


今日の螢はいままで観た中でベストのクオリティだった。選手間のスペースが空いていてタスクがシンプルになったことを差し引いても、よく動けていたし、効いていた。あと5分、10分早く投入されていればと一瞬感じたけれども、清武が足をつるなどメンバー全員が厳しいコンディションであったことを考えれば、妥当なカードの切り方だったかもしれない。結局このままタイムアップ。



90分を俯瞰で見てみれば、失点につながった前半のミスが大きかった。ただ新潟という強いチームを相手に、いい時間で追いつき、イニシアチブを取り返したのは収穫だった。やはりキンチョウスタジアムはいいホームスタジアムだ。リーグ戦の次の相手は今最も組し難い仙台、間にACL、アレマとのアウェーマッチを挟むのも厳しいが、そこを何とかするのが、ホームの力、サポーターの力だと思う。次こそ勝利を、共に喜びを分かち合えるように。

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