'65 KIM SEUNGDAE
若さ、連携不足、シュートへの意識の低さ、いろいろな嫌な部分が出た。しかし、その中でも希望は確かに残った。
スターティングメンバー
4バックは出場停止のゴイコ・カチャルに代わって藤本康太、疲労の溜まっていた酒本憲幸に代わって安藤淳。中盤より前のメンバーは代わらずだが、柿谷曜一朗とディエゴ・フォルランは攻撃時は4-2-2-2で並列に並ぶ時間が長く、守備時だけは4-4-1-1になっていた。
つまづいた前半
ホームの利を活かすことが出来ず、試合の入りからセレッソは劣勢だった。
浦項の中盤、前線のプレッシングは強力で、よく走れていた。ダービーで熱戦を繰り広げたセレッソは明らかに準備不足で、代わって入ったメンバーも試合になかなか入れずにいた。
浦項は29番をターゲットに、生真面目なサッカーでセカンドボールを拾い続けていた。逆にセレッソは2トップにいいボールを入れる機会すらまばらだった。
柿谷、フォルランを近い位置に置いて、そこから攻撃を組み立てたかった。ただ、あてが外れてしまった。DFライン、中盤が4-4-1から4-4と1人少なくなったこと、それも攻撃のキーになるトップ下のポジションに誰も入ってこなくなったことで攻撃がサイド偏重になり、相手の守備ブロックに外に外にと追い出されることが多くなった。
多分それを見越してだと思うけれど、南野拓実と山口蛍は二人してトップ下のスペースに入り込む動きをしていた。どちらかが攻撃を組み立てられていたら、というのがこの試合唯一の「たられば」だ。
前半23分には連携のとれていなかった右サイドを突破され先制を許し、嫌な流れ。
さらに前半41分という早い時間に南野が危険なスライディングで一発退場となってしまう。
前半41分 |
猛攻に耐え切れず1点検上、さらに1人退場。前半終了の時点で厳しい立場に立たされてしまった。
わずかな光明の後半
後半開始からはフォルランを下げ染谷悠太を投入する。フォルランでは運動量が少ないということと、長いボールを入れて柿谷の一撃に懸けるという意図があったと思う。
システム的には4-4-1、ということになるが、ダブルボランチの動きは独特で、山口蛍はトップ下の位置までグイグイと上がり、染谷はバランサーとしてワンボランチになったり3バックの中央のようなところまで下がったりしていた。皮肉なことに、10人になってから選手の動きが流動的になり、相手につかまる機会が少しだけ減った。これは数少ない、しかし貴重な収穫だった。
それでも浦項の守備ブロックは堅く、DFラインの手前で攻撃が失速してしまう。うまく柿谷に縦パスを入れても、そこからミスや余計なパスが入って攻撃が鈍化してしまった。
フォルランや南野、山口蛍の陰に隠れる形だったけれども、柿谷の出来が日に日に悪くなっている。1トップ、トップ下、左サイド、フィニッシャーをしたり攻撃の組み立て役を任されたり、ハッキリとしたこれという役割に専心できず、どっちつかずな状態になっている。
恐らく何かひとつ、シンプルに役割を整理できれば、例えば去年のようにストライカー、ひたすら相手のラインに入って一撃を加える機会をうかがうポジションだと固定すれば、輝きを取り戻してくれるはず。けれど現時点ではフォルランとの関係性がしっかりできておらず、何をすればいいのかがコロコロと変わる面倒な立場にいる。
フォルランにしても、2トップの一角が本来の役割のはずだが、柿谷や他の選手との組み合わせに一長一短があり、どうすればいいか、何をすればいいかがハッキリしていない。
前述のようにこの試合では2人を近くに置いて「化学反応」を期待していた。しかし結果はボールの運び役になる中盤と乖離してしまって、2人まとめて試合から消えてしまう時間が長かった。
そうして10人で掴みかけた流れも不意にしてしまい、前がかりになったところを2失点目、試合を決められてしまう。この失点に関してはリスク覚悟で攻めていたのだから致し方がない、その前後にもキム・ジンヒョンとの1対1を作られるなど危険なシーンはいくつもあった。
0-2になってからの交代は永井龍と楠神順平だった。
後半25分 |
後半31分 |
永井は1トップで苦戦、楠神も体格差と判断ミスで効果的な働きができなかった。試合はこのままクローズする。
後半の染谷のカバーリングと山口蛍の驚異的な運動量がこの試合の福音。それ以外には得るものの少ない試合だった。それでもライバルとなっている山東魯能も敗れ、ブリーラム・ユナイテッドとともに勝ち点5で並ぶことになった。
ACLグループリーグでは勝ち点が同じ場合、得失点差ではなく当該チーム同士の対戦結果が優先されるため、セレッソは次のアウェイ山東魯能戦に勝てばグループリーグ突破が決まる。山東魯能は勝つか引き分けでセレッソの上に立つが、その場合でもブリーラム・ユナイテッドが浦項に勝つと3位になってしまうため他力本願、こちらも勝利だけを狙って試合に臨むことになる。
最終節は激しい攻防が予想される、アウェイということもあり不利な状況ではある、それでも、希望は確かに残されている。ならば掴みとってほしい、今のセレッソにはその力があると信じている。
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