45' KAKITANI YOICHIRO
48' DIEGO FORLAN
「塞翁が馬」という言葉は中国で生まれた。いいことがあれば悪いことが、悪いことがあればいいことがあるものだという故事成語だ。南野拓実が出場停止になった時は頭を抱えたが、おかげでなりふり構わぬ采配がふるえ、歴史的な一戦を制することが出来た。
スターティングメンバー
南野が出場停止、さらにホームでの山東戦で相手FW陣を止めることができなかったため、システムとメンバーを大幅に入れ替えた。4-4-1-1から3-4-2-1、実質は5-4-1とも言える超守備的布陣を敷く。守備に難のある酒本憲幸に代えて新井場徹をスタメンにしたのも守備的な理由からだろう。
前半、笛に戸惑う。
山東の試合の入り方は長居でのそれと同じ、長いボールをワグネル・ラブに当てて起点を作り、そこから後ろの押し上げを狙うか、隙あらば単独で突破しようというもの。
山東はとにかく前線に人数をかけて相手を押し込もうとする。それに対しセレッソは意外な方法で対応した。前線からの守備を放棄したのだ。
守備時にはサイドハーフ、さらに2列目の柿谷曜一朗と長谷川アーリアジャスールまで戻り、相手のセンターバック以外の8人を9人で見る形にした。フォルランはフリーな形で1人残る。
これまでの4-4-1-1、または4-4-2のシステムでは前線の2枚のチェイシングがなければ守備が破綻していた。しかしこの形ならフォルランは守備時の負担は少ない。パスの出し手に対してプレスをかける現代的なサッカーを捨てて、パスの受け手全員を封じるという方法を使ったのは驚きだったが、フォルランがプレッシングの軛から解かれたことで、今までよりらしい動きを見せ始めたのはいい副作用だった。
さらに、こちらが守備的に入ったことで山東の前がかりに拍車がかかり、ボールを奪った時に長谷川アーリアジャスール、柿谷曜一朗、フォルランの3人がフリーになる機会が増えていた。山東は前線こそ強力だが、そこを切り抜ければスペースがあって、攻撃陣が動く余裕が残されていた。
だからこそ、前半15分でのPK献上は痛かった。やはりワグネル・ラブは怖い。
しかし、それ以外のシーンで染谷悠太をスイーパーに置いた3バックは破綻することがなかった。右サイドバックに入った新井場がバランスをとるので、両サイドが上がる危険なシーンも少なかった。それが希望の種になった。
後半「必然の3分間」
と、あえて書こう。後半開始からのラッシュにセレッソは全てを懸けていた。そうして、2つのチャンスを2人のエースがモノにした。
後半開始35秒の柿谷曜一朗のゴールは、自身にとってもチームにとっても大きな意味があった。その2分後のフォルランのゴールにしてもそうだ。あの3分間は全てが完璧で、無駄な動きは何一つなかった。
山東はホーム、1点リードというアドバンテージを一瞬で失い混乱した。一番恐ろしかったのが審判の笛というくらい(この日の審判はACL FCソウル対広島で疑惑のPKを2つ献上した審判で、この日もヒステリックなジャッジを何度かしていた)後半30分にはワグネル・ラブの相棒アロイージが負傷交代、いよいよ風が長居に向けて吹き始めた。
キム・ジンヒョンも山下と交錯、負傷するが、気合いで立ち上がり、最後までゴールマウスを死守する。
交代策はスタミナを考えてのもの。フォルラン、柿谷曜一朗、走り疲れたエースに代えてフレッシュな杉本健勇、永井龍。2人とも強いフィジカルで相手と競り合う。
最後の長谷川に代えて酒本憲幸は完全な時間稼ぎ。
見事に厳しい試合をクローズドさせ、ACLグループEを2位で勝ち抜けた。これはリーグ戦から続いていた不信を払拭するいい機会になった。特にフォルランを活かすヒント、攻守のバランスをとるポイントが見えてきたのは大きい。
しかし一方で、このシステムでは2シャドーの選手が疲弊する問題も残る。神戸戦ではどのようなメンバーがどのように立っているのか興味がわくところだ。国内リーグ戦でこの流れを固められれば、広州戦への布石にもなる。
山口選手が上がってきて柿谷選手とフォルラン選手とでトライアングルを作れたら得点に繋がるんですけどね。それには山口選手が自由に動けないとダメですけどね。
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