8/21/2005

C大阪1VS1清水 またも炸裂小林マジック。

<小林マジック>

単なるドローゲームを必死のクリアや惜しいシュート、ロスタイムでの同点弾などで過剰なまでに演出し、観戦したセレサポに何となく勝ったかのような印象を与えさせる不思議なマジック。


 広島戦に続いて、またしても土壇場で粘りを見せたセレッソ。この粘りが前半から見られたら、もっと楽になるような気がするのだけれど…。

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 久しぶりに布陣。当初廣山が入ると思われた右サイドには酒本。この辺りは小林監督のメッセージ性が有った様に思う。

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 ただ相手が悪かった。マッチアップしたのは「ゴールに迫れ!オレンジの竜!(清水オフィシャル)」チェ・テウク。時折得意のドリブルで右サイドを疾駆するも、スピード、テクニック、経験に勝るチェに押し込まれてしまう。結局後半途中でピッチを去るのだが、良いアピールが出来たとはいえない内容だった。


 先制点もチェ。25分、中盤でのパスミスを左サイドに展開されると、「クロス職人」佐藤由紀彦にスペースと時間を与えてしまう。正確なクロスが吉田と3バックの間をすり抜け、ファーサイドに詰めていたチェのヘディングが決まる。


 こうなってくると清水はお決まりのパターン。深めで人数をかける守備、攻撃はカウンターで早くシンプルに。左サイドの柳本が空中戦での脆さを見せると、ロングボールを集中させてポストプレーヤーの西野を橋頭堡にするしたたかさ。


 対するセレッソはタテへの意欲、シュートに対する意識が希薄で攻撃に迫力を欠く。終了間際にあった前半最大のチャンスも黒部、ファビーニョが決めきれない。0-1で折り返し。


 後半になっても守る清水に攻めあぐねるセレッソという図式は変わらない。もしチョ・ジェジンがいればカウンターにもう少しウエイトを置いたかも知れないが、長谷川健太は1-0の逃げ切りをチョイスした。


 小林監督が重い腰をあげたのは後半19分。相手ラインを破るべく徳重が投入される。動きにキレが無くミスも有った森島が下がった。

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 さらに26分。酒本から廣山。老獪さとプレーの正確性で右サイドに起点を作る。

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 それでも清水の固い守備を崩すのは容易ではない。黒部はポストプレーヤーとしての役割を果せず、ハイボールはことごとく森岡に跳ね返された。人数をかけた守備に徳重、苔口、古橋の推進力は失速させられる。ファビーニョ渾身のミドルも西部のセーブに阻まれた。


 残り時間も5分を切り、諦めの早い親子連れが席を立ち始める。長居スタジアムに蔓延する負けムード。

 ここで小林監督が最後の手段に出る。最終ラインにいながら最もゴールの匂いを感じさせていたブルーノを前線へ上げ、空いたスイーパーの位置に苔口に変わって入った山崎を入れる。

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 もし終了間際に生まれた古橋の同点弾をロジカルに説明するなら、攻め手の数を増やし、相手の守備システムがそれに対応するまでの空白期を上手く利用した、ということになるのだろうけれど、あの場にいた私の個人的な感想を述べるなら、ブルーノが加わった攻撃陣に最もプラスされたのは「得点に対する貪欲さ」とか、「最後まで諦めないハート」といった精神的な部分だったように思う。

 ゴールに至るまでのボールの動きは、決して計算されたもの、意図したものでは無かった。決めたのは古橋だったけれども、それは必然ではなく、多分に偶然の要素が加わっていた。ただそうした強い意識があのゴールを生んだのだと、そう理解している。


 勝ちきれず、負けもせず、それが小林監督の指揮するチームの特色といえばそうなのだけれど、前に、タテに、ゴールにという意識付けが、あまりに低いように感じた一戦だった。何度「何故打たない」というシーンが有ったか!

 ラスト5分の攻めへの姿勢を90分間続ける事は出来無いだろうけれど、せめてそのエッセンス程度はスタートから見せていただきたかった。





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